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「有名どころの漫画」とマーケティングをつなぐ『ストーリーブランド戦略』

読了後に「あ〜、海外に先を越されてしまった」という悔しさと共感を味わった、ドナルド・ミラー著『ストーリーブランド戦略』についてまとめます。
ブログ運営などにもとても有用な考え方なので、興味持たれた方はぜひ読んでみてください。

さて、何かと忙しい昨今の社会において、私たちが消費者として思うのは「広告なんて読みたくない」「お前の売上のために私の時間を割くなキレるぞ」だと思います。しかしいざ提供者になってみると「この商品はここが良くてね」といった自分語り・商品語りが多くなってしまうことが多いです。
そこで、映画などで用いられる手法を転用して、「あなたの人生・物語がハッピーエンドを迎えるにはこの商品が必要ですよ」と訴求するためのフレームワークを提供しているのが本著になります。

具体的には、消費者を「主人公」、自社や自製品を「導き手」として以下のように構築していきます。
・何らかの目的を持つ主人公
・それを達成する前に問題に出くわし
・主人公が絶望の淵に立たされた時に導き手が現れ
計画を授け
行動を促す
・その行動によって主人公は失敗を回避し
成功に至る

注意すべきは物語のように「問題や解決が1つでシンプルであること」です。
例えば『NARUTO』の主人公(ナルト)が「里のみんなに認められるヒーローになりたい」と修行している間に「上手いラーメンが作れるようになりたい」と言い出したらストーリーがブレます。
多くの問題に言及すると物語として分かりづらくなってしまうのと同じように、主人公の悩みや導き手としての役割も1つに集約しましょう。
どうしても複数伝えたい場合は、それらをまとめ上げる上手い表現を探しましょう。

そしてこのフレームワークですが、マンガ大国の日本ではとても多用されており、おそらく小学生でも(感覚的には)理解していると思います。
例えば『ワンピース』の有名な修行シーンは、以下のようにストーリーを整理できます。
・兄弟・仲間・友達を助けたい主人公(ルフィ)が
・自分の力では勝てない悪役に打ちのめされたところで
・自分を鍛えてくれる導き手(ライリー)に出会い
・3年間の鍛錬を提案され
・また負けてしまう未来を回避し
仲間を守れるようになるために
・主人公は鍛錬を決意した
少女漫画や日常系漫画でも同じようにストーリーを整理することができます。つまり、この手法は「消費者をマンガの主人公に仕立て上げる」手法と解釈すると、その強力さがわかります。
「本を読むのが辛い人でもマンガを読むのは辛くない」という人は多いですし、同様に「マンガの主人公になりたい」と思う人も多いですからね。(だからこそ、この手法は日本から生まれてほしかった)

応用範囲はかなり広く、ブログ運営に用いられることはもちろん、TVCMなどのクリエイティブ作成などにおいても有用性を発揮すると考えています。スクラビングバブルのCMとかは特に顕著ですよね。
・トイレの汚れは気になるけど手で掃除したくない主人公(画面内の消費者)が
・掃除を先延ばしにしていて悪役(トイレの汚れの擬人化)が拡大し困る
・ここで導き手(スクラビングバブルのキャラクター)が登場する
・「そんな時には!」と利用を提案される
・このまま放置するのは不快だが (←ここは暗示的です)
・利用することでトイレはキレイになる
・主人公(消費者)は利用を決め満足する

もちろん伝え方の細かい調整は必要になりますが、読者としての「面白いマンガ」を思い出しながら戦略を適用することで、消費者に「この物語に参加したい」と思ってもらえるようになるのではないでしょうか。

私もこちらに沿って、「相手をどうマンガの主人公に仕立て上げるか」という視点でポートフォリオを作成してみようと思います。

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