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カッコつけの読書術―哲学書を読んでみよう!―

 これから読書をしてみようかな、と思っている方、本は読んでるけど小説ばっかだなあという方、ちょっとカッコつけて「哲学書」を読んでみませんか?


 哲学書と聞くと難しい・難しい・難しいの3拍子が揃っているので身構えてしまいがちですが、大丈夫です。わからなくていいんです。あくまでもファッションで読むだけですから。――というよりも、哲学書を読んで「わかった」と言える人は、僕はどうも信用できませんね。


 想像してみてください。たとえば学校や職場で哲学書を読んでいる。「なに読んでるの?」と訊かれたときに、いちびりまくって本の表紙を見せてやりましょう。スタバに行って、プラペチーノと一緒に本を撮って、InstagramやTwitterにアップしてやりましょう。……どうですか? めちゃくちゃカッコよくないですか?


 まあ、それはそれとして、カッコつけで読むにふさわしいと思う哲学書を3つご紹介します。独断と偏見ですので、異論は認めますが、批判は受け付けません。それと、これはどこまでいってもカッコつけなので、ガチで哲学を勉強してみたい、という方には対応していません。一番最初の取っ掛かりにはなるとは思いますが、この記事は「カッコつけの読書術」なので、あくまでもファッションであることを頭に置いておいてください。


さて、ここからは3つの哲学書の紹介と、読み方、そして次へとつながるために、という内容をお送りします。


「読書でカッコつけたい!」「周りとは違う本を読みたい!」あるいは「哲学書を読んでみたいけど、なにを読めばいいのかわからない」という方はぜひ読んでみてください。






 では、ランキング形式でご紹介したいと思います。


 第3位!


 カント『純粋理性批判』光文社古典新訳文庫


 これはもう、読まなくてもいいレベルでカッコいいです。持っているだけ。なぜなら、読んでも理解できないからです。とにかく難解。そして全7巻と長い。本当ならば1位にしてもいいくらいカッコいいのですが(だって、タイトルが『純粋理性批判』ですよ? しかも著者は超有名)、難しすぎる点と長すぎる点で3位にしました。


 ちなみになぜこんなにも長いのかというと、1冊のうち、およそ半分は解説なんですよ。特に前半は超丁寧に解説してくれています。でも、難しい……。


 読み方としては、まず最初の1巻は「いやー、名前は聞いたことあったから、試しに読んでみようと思って」とかなんとか言って、読み始めましょう。そして、大変ですが、最悪でも5巻までは読んでください。5巻がキモと言っても過言ではないからです。5巻は有名な「理性の二律背反(アンチノミー)」の部分なので、5巻を読んでいるときに「人間って本当に自由な存在なのか、それとも自然法則に縛られてるのか、どっちなんだろう」とSNSやそれかリアルの友人にぼそっと呟いてみましょう。それから、「いや、この本(純粋理性批判5巻)に書いてあるんだけど、難しくてよくわからないんだよねえ」と、スッと本を取り出します。


 するとどうでしょう。周りは「えっ、あんなに超難しそうな本を5巻まで読んでるの!?」と、あなたを羨望の眼差しで見つめることでしょう。そして注意点ですが、知ったかぶりは絶対にやめましょう。一気にメッキが剥がれます。わからないことは、正直にわからないと言う。これは哲学の基本姿勢です。


第2位!


 ニーチェ『ツァラトゥストラはかく語りき』河出文庫


 どうです? タイトルからしてカッコいいでしょう。「なに読んでるの?」「ん? いまツァラトゥストラはかく語りきを読んでるんだ」


 もう、このやり取りだけで充分イキれます。光文社古典新訳文庫や岩波文庫では『ツァラトゥストラ』というタイトルになっているのですが、個人的には「かく語りき」も入っていたほうが映えると思ったので、河出文庫をご紹介しました。


 内容は小説のような感じでニーチェの思想に触れることができるので、読みやすいです。ただ、「ちょっとなに言ってるかわからない」という状態にはなりやすいです。でも、「超人」とか「大いなる正午」とか、パワーワードが出てくるので、読んでいる最中も、読み終わったあとも語りやすいです。


 ちなみにニーチェは、いわゆる論文的な哲学書を書くのを嫌っていたので、この『ツァラトゥストラ』がオレの哲学の集大成だ! と息巻いていたのですが、周りから「ごめん、ちょっとなに言ってるかわからない」と言われて、渋々、補足的に論文を書いたといういきさつがあるので、「哲学に興味はあるけど、なにから読めばいいのかわからない」という方にもおすすめです。ニーチェの哲学を『ツァラトゥストラ』から始めて、そこから『善悪の彼岸』『道徳の系譜』(どちらも文庫本で手に入ります)を読んで、理解を深めるのもいいかと思います。


第1位!


 プラトン『饗宴』(光文社古典新訳文庫)


 プラトンの著作は数あれど、カッコつけでいくなら『饗宴』を推します。


 プラトンの著作は戯曲形式になっているので、非常に読みやすいです。しかもこの『饗宴』はテーマが「愛」や「美」についてなので、恋愛話になったときにチラッと「そういえばプラトンの本でこんなこと書いてあったよ」なんて言った日には!もう!!


 しかも古代ギリシャ哲学なので、それだけでもめっちゃカッコいい。「古代ギリシャ哲学」。どうです? カッコよくないですか?


 ただ、プラトンの時代と現代では無論のこと文化や価値観が違うのと、まずプラトンを読むにあたってソクラテスという人物を知っておかなければなりません。なので、まず、『饗宴』を読み始める前に、準備運動として同じく光文社古典新訳文庫から出ている『ソクラテスの弁明』を読んでおきましょう。解説が丁寧なので、とりあえず、ファッションで読む分には、これで充分です。


 いかがだったでしょうか。どれも文庫本で買えるのでカッコつけるには、服を買うより安く済みます。


 そして、これらの本をキッカケに、いろいろな疑問や興味が湧いてきたなら、そこから掘り下げていくといいと思います。


 みなさんの素敵な読書ライフの役に立てることを祈り、終わりにしたいと思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 それでは、ごきげんようさようなら。

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