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パートナー(代理店)との共同マーケティング施策まとめ①

皆さんこんにちは。
パートナーセールスの葛西です。

先週はどのSaaSベンダーさんでも必ず実施されている鉄板施策、「パートナー(代理店)勉強会」の実施のポイントについて書かせていただきました。

前回に引き続き、今回はこれもパートナーとの施策としては鉄板である「共同マーケティング施策」について、前編(①)では共同マーケティングを行う意義・目的や具体的な共同マーケティング施策の種類を、後編(②)では共同マーケティング施策を行う上でのポイントを書かせていただきます。


パートナー(代理店)と共同マーケティング施策を行う意義や目的

自社の直販で、ある程度の顧客開拓が進み、特にSaaS界隈では昨今、販売チャネルを広げる手法として多くのSaaSベンダーがパートナービジネスに取り組み始めています。そんな中で、パートナーと契約してもなかなか案件化に繋がらないという課題をお持ちのパートナーセールスの方も多いのではないでしょうか。

その課題解消のための手段の1つとして、パートナーとの共同マーケティングに取り組むという施策は非常に重要な施策の1つです。SaaSベンダーの中には、「マーケティングパートナー」というパートナーの種類を別途設けているSaaSベンダーもあったりするくらいです(マーケティングパートナーの詳細は、こちらのnoteを参照ください)。
このパートナーとの共同マーケティング施策を行うべき理由・目的としては、大きくは下記の2つです。

目的①パートナーの顧客獲得支援(≒自社商材提案のためのリード獲得)

パートナー企業にとっての新たなリードを獲得(顧客獲得)するという目的に加え、既存顧客へのアップセルのきっかけを創出するという目的もあります。自社(ベンダー側)にとっては自社商材を提案できる新たなリードの獲得(案件獲得機会の創出)というのが主な目的となります。

目的②パートナーの営業担当への商材認知度向上と商材インストール推進

パートナーとの共同マーケティング施策を実行することで、パートナーの社内で「●●(自社商材名)」というワードが出てくる回数が多くなるため、必然的にパートナーの営業担当の皆様の中での商材認知度が上がってきます。「商材認知度が上がる=提案回数増加や商材に関する質問回数増加(興味関心度合いのUP)」につながるチャンスが広がるわけです。
また、実際に共同マーケティング施策を通じて獲得できたリードに対して、パートナーの営業担当(もしくはインサイドセールス)から必ず顧客へアプローチするという機会が生まれます。顧客へのアプローチの機会が生まれるということは、必然的に(言い方は良くないですが半ば強制的に)パートナーの営業担当の方々が自社の商材を提案する機会を創出できるため、パートナーの営業担当の方々への商材インストール・提案慣れが進み、自社プロダクトの拡販が進むきっかけにもなったりします。

具体的な共同マーケティング施策の種類

具体的な共同マーケティングの施策としては、下記のような種類の施策を現職では取り組みました。

1. パートナーのHPやカタログ等に取り扱い商品として掲載

パートナーさんのHP上の商品ラインナップへ掲載いただいたり、商品カタログ一覧に入れていただいたりする方法です。掲載していただくことで、エンドの顧客に自社商材を取り扱っていることを認知いただき、興味喚起や問い合わせに繋げることができます。

私の現職でも重点支援パートナーへはこちらをご依頼させていただいておりますが、たまーにパートナーさんへ問合せが入る程度です(非常に有名な、誰しもが知ってるようなサービスだったら別かもしれないですが、、)。なので、パートナーさんのHPや商品カタログに掲載して爆発的に問合せが増えるというケースは稀ですが、露出を増やす(取り扱っていると認知される)ためにやっておいてマイナスはない施策ではあるかと思います。

2. 共催セミナーの開催

直販のマーケティングにおいても多くのSaaSベンダーが自社セミナー・イベントで集客を行って案件創出に繋げているため、想像がつきやすいかもしれませんが、共催セミナーを行うことでパートナーの既存顧客やハウスリストに対してアプローチを行うことは、潜在的な課題掘り起こしにつながる可能性がある=商談機会の獲得につながりやすいため、非常に有効な手段です。

私の現職でも重点支援パートナー様と定期的に共催セミナーを開催させていただいております。その大半は、自社セミナーのコンテンツをパートナーさんとの共催セミナーにおいても使いまわしているケースが多いです(そうすることで、業務負荷を削減しています)。一方で、そのパートナーさん用に新たなセミナーコンテンツを作ることもありますが、その共催セミナーで成功したセミナーコンテンツを自社セミナーの方にも流用する(前者の逆パターン)ということも行なっています。

また、直販でのセミナーでも同様ですがパートナーとの共催セミナーにおいても、セミナーのテーマによってSQLが中心のセミナーとMQLから幅広くリードが集まるセミナーが分かれます。ここでSQL中心のセミナーとMQL〜SQLまで集まりやすいセミナーのイメージ例を挙げさせていただきます。

▼SQLが集まりやすいセミナー
WEB で受ける kintone セミナー ~ kintone の作り方と事例紹介 ~(ソフトクリエイト様×サイボウズ様)
→このセミナーは、サイボウズ様のパートナーであるソフトクリエイト様が主催で開催している「kintone」に関する共催セミナーです。そのため、kintoneという商材について知りたいというニーズがある顧客が集まる、つまりSQLが中心となる。

▼MQL〜SQLまで幅広く集まるセミナー
生産性向上を実現する、これからの人材マネジメントとは? (リコージャパン様×カオナビ様)
→このセミナーは、カオナビ様のパートナーであるリコージャパン様が主催で開催している「生産性向上を実現させるための人材マネジメント」に関する共催セミナーです。そのため、(おそらく)カオナビという商材説明を中心に据えるのではなく、生産性向上させるための従業員のスキル可視化やキャリアアップに向けた導線作りなどのやり方を事例を交えてお話し、最後にタレントマネジメントシステムのカオナビの紹介に落とすというような構成かと思われます。そのため、カオナビさんのサービスを知りたいというSQLもあれば、一方で人材マネジメントの方法について知りたいというようなMQLも集まっているのではないかと思います。

(注)上記2社のセミナー事例の解説ですが、2社に直接集まったリードの種類について聞いたわけではございません。あくまでSQLが集まりやすいようなセミナーとMQL含め幅広いリードが集まるセミナーののイメージ例としてわかりやすい例をピックアップしたまでです。ですので、両社の方々、万が一私の解釈が違っておりましたら仰ってください。


パートナーさんと共催セミナーを開催する際には、前者の例のようなその商材に関する顕在ニーズのあるSQL獲得を目的にするのか、それとも後者の例のような潜在ニーズまで含めたMQL〜SQLまで幅広いリード獲得を目的にするのかにもよって、セミナーのコンテンツ内容が変わってきます。加えて、基本的には前者のようなその商材に関するセミナーの方が参加人数が絞られ(その分入ってくるリードはSQLが多い)、後者のような決められたテーマについて話すというようなセミナーの方が参加人数が多くなる(その分入ってくるリードはMQLも多い)傾向にあります。
※もちろん大前提、その商材のブランド認知度や共催セミナーを実施するパートナーさん側(時には自社も)の集客力にもよって変わってきます。

ですので、パートナーさん側としっかり双方Win-Winとなるように、セミナーコンテンツの中身や集めるリード属性(SQLのみに絞るか、MQL含め幅広く集客するか等)など、何を目的(成果)と置くのかをしっかりと協議するべきでしょう。
現職でも上述の2パターンのような共催セミナーは行いましたが、商材の特性もあり、前者のようなSQLに特化した自社プロダクトの説明会・運用方法などのセミナーにおいては獲得できるリード件数がわずかであったことから、後者のようなMQL〜SQLまで幅広く集まるようなテーマのセミナーが今は中心になっています。

3. 展示会への出展

パートナー企業が主催(共催のケースもあり)する展示会(イベント)へ出展させていただくというパターンと、パートナーの展示会出展を支援するというパターンの2つがあります。どちらのパターンにせよ、展示会の出展は新たな顧客の獲得のために見込み顧客と対面で自社商材を提案できる機会となるため非常に有効です。

日系のSaaSベンダーだと前者が一般的かと思います。私の現職でもパートナー企業さんが主催する展示会には定期的に出展させていただいており、新たなリード(提案先)を何社も獲得ができています。パートナーさん主催の展示会(イベント)に出展するイメージですが、下記のようなイメージです。

また、主催するパートナー企業の営業担当の方が自分の担当企業をブースへ連れてきてくださるということも結構あったりします。その場合は、連れてきた企業さんはもちろんですが、そのパートナー企業の誰が連れてきたのかをしっかりとメモし、ブースに連れてきた翌日にでも必ず電話等でフォロー(提案方法を伝授するなど)しましょう。ブースへ自分の顧客を連れてくる営業=ファン化しやすい(拡販してくれる可能性の高い)営業担当であるためです。

4. パートナーの既存顧客やハウスリストへのCRM配信(メルマガ配信)

パートナーさんの既存顧客や保有しているハウスリストにCRM配信いただくという方法は、新たな案件の創出に繋がる可能性があるため、非常に有効な手段です。配信する内容としては、わかりやすいものですと、例えばキャンペーン開始の案内や新機能のリリース情報、導入事例などです。配信するコンテンツにもよりますが、SQLリードが獲得できる可能性もあるため、取り組むべき施策であるといえます。

私の本業でも一部の重点支援パートナー様には定期的に配信していただけておりますが、あまり頻度が高くなりすぎないようにパートナーさん側と調整しながら、進めると良いでしょう。
また、CRM配信から問い合わせに繋がった企業様へのアプローチについては、現職ではパートナーさん側の営業担当(もしくはIS)の方へ基本的には対応いただくようなフローとしています。実は元々は、自社のISが対応していた時期もありましたが、上述の「目的②パートナーの営業担当への商材認知度向上と商材インストール推進」を進めるためにも、途中から自社のISでの対応ではなく、パートナーさん側の営業担当に対応いただくフローへ変更しました。

5. (パートナー側で自社メディア保有の場合)パートナー側の自社メディアへの記事掲載や自社プロダクトへの導線となるテーマの記事の作成

もしパートナーさん側が自社のメディアを持っているようであれば、自社プロダクトで解決できる課題テーマの記事などをそのメディア内に制作・掲載していただき、自社プロダクトへの導線を入れていただくという手段は非常に有効な手段です。特に、そのパートナーさんが保有しているメディアのセッション数やPV数が高かったり、SEOが強かったりする場合は絶対に取り組むべき施策であるといえます。

私の本業でも一部のパートナーさんのメディアにてこのような取り組みを行なっておりますが、すぐの効果にはなかなか繋がりづらい部分もありますが、徐々にじわじわと効果が出始めてきています。メディア記事の内容についてはパートナーさん側と協議し、自社のコンテンツも提供しながらパートナーさん側に制作いただくのが良いかと思います。

前編の最後に(後編へ続く)

長くなってしまうため、前編(①)の「共同マーケティングを行う意義・目的」「具体的な共同マーケティング施策の種類」については以上とさせていただきますが、ここに載っていないような共同マーケティングをしたよーというようなパートナーセールスの方がいらっしゃいましたら、是非このnoteのコメントやTwitter・メッセンジャーで教えていただけたら嬉しいです!

来週は後編(②)として、「共同マーケティング施策を行う上でのポイント」「MDF(マーケティング・デベロップメント・ファンド)について」、そして「最後のまとめ」を書かせていただこうと考えています。

それではまた次回の更新をお楽しみに!

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