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単純作業こそクリエイティブになれ。お弁当工場体験記

こんばんは。
つくらずつなぐを大切にしたいインテリアデザイナーRです。

私、人間関係に行き詰まると決まって思う事があります。

ただただベルトコンベアーに流れてくるおかずを詰め続けるお弁当工場で黙々と働きたいーーーー

その光景を見たことも無かったのですが、誰とも話さず、目の前に流れてくるおかずに対峙したいくらい滅入る時が年に数回訪れるのです。

突然叶うお弁当工場デビュー

フリーランスという名の自由な身。
遡ること数ヶ月前のある日、1日ポッキリの仕事ってあるんだろうか…なんてふと頭をよぎった事がありました。

ポチポチと探す中で出てきたのが、夢にまで見たお弁当工場の求人!
しかも簡単作業って書いてるし!(やっぱりね、と思う甘さ)

時給の単価どうこうより「え。面白そう」だけの動機で申し込み、難なく働けることになりました。

もはや気分はイベント参加

ドキドキしながらお弁当工場に着いてまずは着替えます。
かつて見た給食のおばちゃんスタイルです。
髪の毛1本たりとも飛び出てはいけません。海女さんのように最小限の顔出しした帽子を被って、いよいよ工場に入ります。

待ちに待ったベルトコンベアーデビュー

おお〜、です。
想像以上にイマドキな機械でした。
おかずごとに分かれてスタンバイします。
最初にベルトコンベアーにお弁当の容器が乗せる所から始まり、どんどんベルトコンベアーが流れ進むにつれて、それぞれが担当のおかずを入れてお弁当が完成されていきます。

じきに背中崩壊

微妙に前かがみの体勢が続くこと30分、早くも背中が悲鳴を上げ始めます。

始めの頃は控えめに背中のストレッチをしていましたが、もうそれじゃあ私の背中の状況と追いつかない。

[ええい、この人達と一生会わないはず。]と隙あらばイカのように全身をぐにゃぐにゃに動かすストレッチ法を編み出し、なんとか初動の辛さを乗り越えます。

老若男女、多国籍がチームとなって黙々と詰めるおかず

チームリーダーは渥美清さんにそっくりなおじちゃん。渥美さんは、個々のおかずの量と盛り付けのクオリティーに目を光らせます。

私は酢豚パートのピーマンを入れすぎて一度、配置替えになりました。(無意識に個人的な好みが出てたようです)
だんだんと要領を掴み、せっせせっせと目の前に流れてくるお弁当箱に担当のおかずを詰めます。
1日の終わりには渥美さんに「明日も来て欲しいわぁ」と言わしめました。
(えっへん)
マスクをしているから目だけで精一杯笑ってお礼を告げてベルトコンベアーを後にしました。

お弁当の行方

(やや語弊はあるけど)私が今回作ったお弁当は、「どこへ行くのか」とベテランスタッフさんに聞いてみたら、冷凍されて全国に運ばれるのだそうです。
(伝わるか未知ですが)

それ・・・なんか夢ある(遠い目)

どんな人が食べてくれるのかなぁ。

結論、単純作業ではなかった

ベルトコンベアー体験の夢が叶った私。
夢にまで見た黙々作業。

私の頭の中は、
「待ってぇ〜」
「もうちょい上手く詰めたい」
「(美味しそうなおかずを目の前にして)お腹すいた〜」

ほぼその繰り返し。

多種多様なおかずを扱うベテランスタッフさんの手先は、もう職人芸。美しい。
それとチームの団結力がめっちゃ必要。
息を合わせないとベルトコンベアーが止まってしまうのだから。
想像していた単純作業では無かった。
だから冒頭の私の想いは間違いだったのです。
甘かった。でも楽しかった。

「世界は誰かの仕事でできている」

缶コーヒーのCMであった、あのコピー。まさにそんな感じ。

今日も目にするスーパーのお弁当に誰かの仕事の気配を感じて、愛おしくなると共に「これは新人さんの仕事やな」などと、たかが数時間お弁当詰めただけなのに先輩風を吹かし始めるようになったのでした。

なんでもやってみて分かる事って多いですね。
ではまた。


あ、一応念のため申し上げますと私の仕事はインテリアデザインです。



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