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映画「マッチング」レポ

はじめまして。

あなたとマッチング出来て嬉しいです。


こちらはただのヲタクが映画「マッチング」を鑑賞したレポートになります。いや〜、凄かった。

※若干のネタバレがあります。


・見たけど感想言い合える相手がいないよ〜!
・ホラー系苦手だけど見たい!気になるな〜!
・他の人の考察や感想が知りたい!

そんな皆さんと出会えることを願って。


①え、結構怖くね?

こちらの作品、括りとしては「サスペンス・スリラー」ですが、スリラー超えてホラーです。

と言っても、臓物飛び出したゾンビが出てくるわけでも、包丁持った女が追いかけ回すような映画ではありません。何がホラーなのかと言うと、人間の欲。映画のテーマとして、大きく掲げられるのは「愛」。この映画に登場してくる人物たちは、愛の為に狂い、壊れ、理性を失う。

当方、某有名な海外のゾンビドラマや、人間を食わなければ生きていけないアニメ等を拝見した事のあるくらいにはホラー要素に耐性があるので、「まあ…サスペンスだしな…」とそこまで構えずに映画を見に行きました。

いや怖いよ。怖いって。人間…怖。


劇中で起きる「アプリ婚したカップルが惨殺される事件」。
被害者の顔面には生きたまま刃物でバツ印が刻まれ、鎖で繋がれ、最後は結ばれたお互いの手首は切られ失血死させるというもの。字面だけでもまあまあエグいのだが、殺人のシーンが細かく映像化されている訳では無い。じゃあ何が怖いの?と思うだろうが、音だ。人の皮や肉が裂かれる音、骨が折れる音。痛みに悶える、声とも言えない悲痛な叫び。
特に刃物が皮膚を引き裂く鈍いその音は、わざとらしくもリアリティがあって気色悪い。

その「音」の気色悪さと共に恐怖への拍車をかけるのが映像の空気感だと思う。
ホラー要素のない日常的な場面でさえもなにか違和感がすごい。ごめん、理由は分からん。
その場所にいる人物達のせいなのか、映像の色味なのか、分からないが映画が始まってから終わるまでずっと「違和感」が凄い。見てもらえば分かるとは思うが、何かが歪んだ独特な空気感だと思う。

②俳優陣の演技力


はい!!来ました!!!
この作品、ヒロインは我らが土屋太鳳さん!!
もはや、様!!!!



憑依型と言う言葉がピッタリな彼女は、今回もすごい。唯島 輪花という不運な女性が生きていた。たしかにあそこには。
普段は柔らかくにこやかで穏やかな土屋さんが、こんなに顔を歪ませ、泣き叫び、怒り、虚ろな表情を見せてくれる映画「マッチング」。とんでもない。
巻き込まれる状況がなんとも目まぐるしく、可哀想で残酷なのだが、最初はバリバリ働けます!みたいな凛とした女性が段々と堕ちていく姿は皮肉にも美しい。

みんなも太鳳様のぼそっと吐き捨てるようなセリフ、聞きたくない?ほんと凄いよ。
私は水族館でクリオネを見た時に言った「…ちっちゃ。」が好きです。マニアック。

そして来ました。強烈な人物。


土屋さんが演じる唯島 輪花のストーカー、
永山吐夢。

みんな〜!!!!!
イケメンの儚いストーカーがいるぞ〜!!!
ヤンデレだぞ〜!!!!!!(うるさい)

当方オタクということは先に宣言しましたが、そうです。
佐久間大介さんを応援する、しがないオタクです。

演技は初めてでは無い。だが経験が多い訳では無い。

そんな佐久間さんの映画出演がわかった時、狂喜乱舞したオタク達は多かったはずだ。

なぜなら、彼の「憑依力」を知っているから。
本職はアイドル、しかし彼の表現力は飛び抜けた何かがある。実質、私が彼に惚れ込んだのは、楽曲の世界観に溶け込みまくった佐久間大介という男のパフォーマンスを見たからなのだ。

彼は「2000個フリーポーズがある!!」と各方面で宣言しているが、彼の見せる表情はその数をはるかに超えると思う。


それくらい世界観に入り込み、表情や動作で魅せるのが上手い。
そんな彼が……ストーカーを演じる……だと……?

トレンドマークのピンクヘアは銀髪へと変わり
劇中ではその性格や佇まいとは真反対のその色がより違和感を際立たせていて良かった。
ちなみに永山吐夢の髪色が何故あんなに派手なのは、小説版マッチングを読めばわかります。

そんな彼の演じる永山吐夢を見て思ったこと。

コイツ…狂ってやがる…!!

設定もストーカーなのでもちろん狂えば狂うほどいいのだが、その狂い方がすごい。そして彼を狂わせているのも「愛」だというのがまたおぞましい。
予告編ではチラッと輪花を助けている…様なシーンも見れるので是非見て頂きたいのだが、彼が輪花にとって敵なのか味方なのか。そんな甘い考えが無くなるくらいには衝撃的なラストである。

本物の愛とは何か。

吐夢はその答えを、無邪気に、切実に、何も知らない子どものように探し求めている。故に、ああいった行動も起こしている訳なのだが。
作中でも、純粋な愛を1番求めているのは彼なのかもしれない。なぜなら誰かを本当に愛することも、愛されることも知らないから。

彼のことをすべて話しすぎると、映画の全容が見えてつまらないので諸々は留めておくが、火曜日の朝に「ラヴィット‼️」とにこやかに笑う彼はそこに存在しないので覚悟して欲しい(?)

そして来ました。全世界イケオジ選手権で是非優勝して頂きたい金子ノブアキさん。

私の印象としては、ワイルドな見た目と裏腹に物腰柔らかい優しい方、というイメージだったので、最初に出てきた影山剛という男には非常に馴染みやすかった。
優しい声、恥じらう笑顔、
輪花に告げる「守ります」の言葉。甘い。
この時だけは、これロマンスはじまるんちゃうか?ほなこの映画はサスペンススリラーとちゃうなあ〜、と心の中のミルクボーイが顔を出したのも仕方ない。

いや〜、素敵な男やないか。

そんな温い考えは一瞬で消え去る訳ですが。

愛する母の為に誓う復讐。幼い頃に愛に狂い、壊れた母を見ながら、逃げることも見捨てることもせず。自らの手で誰かを傷付けることを躊躇しない。これもまた彼が母へ捧げる愛ですよね。
物語後半までそんな恐ろしい一面を持ってるなんて感じさせないあの物腰の柔らかい素敵な男性はどこへいったのやら、廃墟の一室で狂い涙を流す影山という男は、とても小さく可哀想に見えました。

輪花の父親役にはあの名俳優、杉本哲太さん。
そして謎の女性、節子を演じたのは斉藤由貴さん。


サブキャラ、こんな豪華なことある?


御二方とも、総出演時間の割に
その存在感と、レベルが桁違いでした。

爪痕の残し方がえぐい。ライオン以上の攻撃力。
豪華すぎて胃もたれするかと思った。

といっても、2人とも話が完結するためには、
とても重要な人物ですので。
注目して欲しい事に変わりはありません。


③最後に

結論、多少の耐性があるなら心配なく楽しめると思います。血や怪我、死体などの演出はありますが目を瞑るような酷い描写はありません。
ただ不安を募るような音楽、効果音は多いので聴覚的に敏感な方や苦手な方は注意してください。

話の展開は一つ一つきちんと線がつながるように進んでいきます。あ、そういうことだったのか。という伏線回収が毎度あるので、非常に優しい作りです。但し本編の内容は優しくありません(!?)

映画を見ると、所々「この人はどうしてここでこうしたのか」「この場面はどういう事なのか」という疑問は出てくるかと思います。そこで登場するのが、小説「マッチング」です。内田英治監督、これが仕事のデキる男…(偉そうにすみません)小説版では一人一人の生い立ち、思考、時系列事にきちんと書かれています。この人がこうなっていた時、この人は何をしていたのか。何を考えていたのか。
たとえば伊藤 尚美。映画本編で起きた事件で、彼女は何故こうなってしまったのか。映画の中では、吐夢と鉢合わせた後、彼女が起こした行動は細かく描かれていませんが、小説ではきちんと書かれています。
映画と小説、両方組みあわせて見ることで色んな「真実」が見えると思います。解像度をあげたい方は、是非!


愛するということ。愛されるということ。
本来幸せであるはずなのに、何かがきっかけで崩れてしまう。

そんな愛に狂ってしまった物語。

是非たくさんの人に見て、考えて欲しいです。


長々と語りましたが
マッチング2が実現するようにオタクたちで経済を回していきましょう。
投資することはあなたの幸せです。(宗教か)


では!



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