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ピリオダイゼーションの組み立て方

【ピリオダイゼーションについて】

ピリオダイゼーションという言葉を聞いたことがありますか?
ピリオダイゼーションとは目的とするトレーニング効果を獲得するために、トレーニング計画を期分けし、トレーニングの強度、量、種類を変化させることを言います。
つまり、トレーニングで狙った効果を獲得できるように時期をわけてトレーニング内容を変化させていくということです。

そして、ピリオダイゼーションを理解するうえで重要なものがGAS理論です。
これはカナダの内分泌学者のセリエが提唱している考えで一般適応症候群ともいわれます。
簡単に言えば、外的な刺激(ストレス)にどう反応するかを説明したものになります。

このストレスは3段階に分類できます。

・警告段階
ストレスを受けた直後でパフォーマンスが低下しやすい段階。この段階ではストレスに体が適応できていない

・抵抗段階
警告段階の後に、体が刺激に適応して正常な機能の回復を図る段階。この時期は筋自体の変化よりも神経系の適応が早く、トレーニング初期には筋肥大は見られないが筋力は増強する。

・疲憊段階
抵抗段階を過ぎてさらにトレーニングを継続すると十分な機能回復が図れずにこの段階に移行する。つまり、抵抗に体が耐えられずにパフォーマンスが低下する警告段階と同様の症状が生じる。この状態が続くことで、「オーバートレーニング症候群」を引き起こしてしまいます。

以上の段階に分けることができます。
トレーニングを行うことでこのサイクルが繰り返されるので高重量やハードなトレーニングを行った次の日は休息を入れて体力回復に努める理由はこういった背景があります。

体に負荷がかかりすぎるのを防ぐためにピリオダイゼーションを考える必要があります。
さらに、ピリオダイゼーションは大きく3つの段階に分けることができます。

・マクロサイクル
・メゾサイクル
・ミクロサイクル

この3つもトレーニングを計画していく上では非常に重要な考え方になります。
是非覚えていきましょう。

・マクロサイクル
長期的な計画を立てることをマクロサイクルと言います。
これは競技レベルによって変わってきます。例えば、オリンピックレベルの選手なのか大学生レベルの選手になるのかで、年単位や数か月単位になったりもします。

・メゾサイクル
数か月から数週間単位のことをメゾサイクルと言います。

・ミクロサイクル
1週間~1日の計画に分けることができる。

この3つのサイクルの中で筋肥大や筋力強化、パワー、スピードを向上させていきます。そして、目標とする大会や試合に万全の状態で臨めるように計画を立てていきます。

では、どの時期にどんな負荷で、量で、強度、種類でトレーニングを行ったらいいのでしょうか?
これはチームやレベルによっていろいろな考え方がありますが、一般的には、
基礎筋力強化→専門的体力向上→獲得した能力を維持する
このような形でトレーニングを進めていきます。

基礎筋力強化は専門的な動きをあまり取り入れるのではなく、低強度の有酸素運動やレジスタンストレーニングなど体の土台となる部分を作っていく段階です。この時期は筋肉を大きくさせたり(筋肥大)筋力を強化させる時期でもあります。トレーニングは低強度・高回数で行っていきます。

専門的体力向上はトレーニングの量を下げて負荷を高めていきます。例えば、スクワットを行うときは90%の強度で1~3レップ、1~3セット行うことで強度を高めていきます。こうすることで短い時間に集中して効果の高いトレーニングを行うことができます。

そして、最後に獲得した効果を維持する時期です。
この時期は基礎筋力、競技専門スキルで得たことをもとに競技力を向上させる時期です。
この時期は戦術やテクニック、スキルなどを磨く時期になります。
パフォーマンスを最大に持ってくるためにコンディショニングの調整も非常に重要なものになってくる時期でもあります。


<まとめ>
・ピリオダイゼーションは期分けを行いトレーニング効果の停滞を防ぎ、効率よくトレーニング効果を得られる重要なトレーニング計画

・トレーニング後は、警告、抵抗、疲憊段階の順番に変化していく

・マクロサイクル、メゾサイクル、ミクロサイクルに分けて時期に応じてトレーニング内容を変化させる


・参考文献

公認アスレティックトレーナー専門テキスト6 予防とコンディショニング

河森 直紀:競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方

The Science and Practice of Periodization:A Brief Review

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