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来年の春を無事に迎えられますよう・・次は攻めの施策を

日本航空がパイロットなど一部職種を除く新卒採用を見送る方針を表明したようです。理由について読売新聞の質問には「今の状況を考えると、来年入社してもらっても新人の方には仕事がない。大変申し訳ないが、採用は難しい」と答えています。「仕事がない」というのは最大限に柔らかくした表現だと思います。実質的には新卒採用するほどの予算上の余裕が無いのだろうと想像をするのが自然です。

日本航空のこの対応は言わずもがな、中国武漢市を発祥とする新型コロナウイルス感染症の感染拡大とその対策による影響でしょう。旅行者は国内外合わせて8割から9割も減っているようです。観光産業における起死回生の策であるGoToトラベルキャンペーンも政権批判の的となってしまいました。最悪の結果を招かないようにだけ注意が必要です。最悪の結果というのは観光産業を核とした連鎖倒産で大規模な失業者と自殺者を出してしまう事態です。

現状の日本の経済は瀬戸際で持ちこたえているようです。失業率も大幅に増えておらず、自殺者はむしろ昨年より減っています。雇用を守るのを最優先とした雇用調整助成金などの対策が効いているようです。

日本航空の話題で気になったのが来春への影響です。ディスコの学生モニター調査によると、新卒の内定率は7月1日時点で77.7%だようです。最終的に98%となった前年の同時期は84%でした。絶望的ではないにせよ、新卒の就職状況の厳しさを伺えます。もし低水準のまま彼らが卒業を迎えてしまうと、失業率を後押ししかねません。コロナ禍によって苦境に立たされている企業が多いと思います。追い風を受けている企業もあります。上手く人材が均されれば結構ですが、何とも予想しきれません。

景気の動向を握るのはコロナ禍だけではありません。米中対立とそれに伴う中国外しが激化しています。中国は自然災害の影響も受けており、最悪の場合は中国経済が崩壊する可能性も視野に入れる必要があります。特に海外と繋がりのある企業においては複数の大きな局面を前にして難しい判断が強いられています。

コロナ禍における日本政府の守りの施策は成功しました。今度は攻めに転じなければなりません。本来ならばGoToキャンペーンが最初の攻めの施策だったのでしょう。実際の効果は蓋を開けてみないと分かりません。少なくとも、官製の施策だけでは日本の経済は回復しきらないとは思います。

来年の春を無事に迎えられますよう。

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