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VTuberが格闘ゲームをプレイする時代

以前こんな記事を書いた。

VTuberにギルティギアを、ひいては格闘ゲームをプレイして欲しい、という個人的な願望で書いたものだった。


あれから1年ちょっと。気がつけばVTuberが当たり前のように格闘ゲームをプレイする様子を配信するようになった。

企業所属や個人勢のVTuberが、格闘ゲームをプレイしている。しかも「お試しの1回」ではなく、定期的に、ランクマッチなどをプレイしている。かつてマニア向けとされていた格闘ゲームの歴史を思えば、まるで別の世界線に来てしまったようだ。

ブームのきっかけが『ストリートファイター6』の発売、そしてCRカップスト6のかつて無いほどの盛り上がりであることに、異論がある人はいないだろう。


VTuberやストリーマーと、格闘ゲームプロとの交流も行われるようになってきた。

自分が注目しているのはハイタニ氏。元プロプレイヤーで、現在はストリーマーや格闘ゲーム大会の解説役として活躍している。

自身をプロと称さなくなったが、格闘ゲームの実力は現在もトップレベルであり、EVO2023に出場し5位の成績を収めている。

ハイタニ氏は実に様々なストリーマー、VTuberに、ストリートファイター6のコーチングしている。

  • おぼ(Crazy Raccoon所属ストリーマー)

  • だるまいずごっど(Crazy Raccoon所属ストリーマー)

  • takera(忍ism Gaming所属スマブラプレイヤー)

  • 天鬼ぷるる(個人勢VTuber)

  • もこう(ゲーム実況者)

  • Zerost(Sengoku Gaming所属ストリーマー)

  • XQQ(FPSゲーミングコーチ)

  • よしなま(UUUM所属ゲーム実況者)

  • 椎名唯華(にじさんじ所属VTuber)

それぞれのプレイヤーのタイプや長所に合わせた指導により、着実に実力を伸ばすことに成功している。

ハイタニ氏自身が全キャラクターでマスターランクに到達し、クラシックとモダン両方の操作タイプも使いこなしており、その経験がコーチングに活きている。もはや誰もが認める名コーチになった。

それにしても、かつて「クレイジーラスカル」とあだ名されたハイタニと、あのにじさんじの椎名唯華が関わるのを見ることになるとは。なにがなにやら。


なぜVTuberやストリーマーが日常的にプレイするほど『ストリートファイター6』が流行ったのか。

まずなによりスト6がよくできたゲームだったことが最大の要因だろう。

中でもモダンモードの功績はとてつもなく大きい。ワンボタン必殺技やアシストコンボのおかげで、全くの初心者でも格闘ゲームの楽しさにタッチすることができる。

似たようなシステムを搭載した格闘ゲームは過去にもあったが、それらがドライブインパクトやドライブラッシュといったシステムと相乗効果をなすことで、結果的にかつて無いほど初心者にとってのハードルを下げている。

しかもモダンモードは、ゲームバランスを崩すこと無く、既存の操作タイプであるクラシックモードと共存している。自分もモダンとクラシック両方で対戦しているが、それぞれに長所と短所があってどちらが強いとも言い切れない。バランス調整の妙に、ただただ感嘆するばかりだ。


プロを始めとするプレイヤーたちの広報活動も確実に現在の好況に寄与している。

ハイタニ氏や、Crazy Raccoon所属となりCRカップスト6開催に関わったどぐら選手、ストリートファイターリーグ出場選手や実況解説者、その他数多くの関係者が盛り上がりに一役買った。

特にCRカップやRFNなどの大会の練習配信において、多くのトッププレイヤーが出場選手に手厚いコーチングをしたことで、初心者プレイヤーに向けたウェルカムムードを作ったことが、大きくプラスに働いたのだろう。

トッププレイヤーたちは、己の名誉や活躍のためだけでなく、「このままだと格闘ゲームは衰退するかもしれない」という危機感を持って活動している。その成果が確実に現れている。


なによりも、格闘ゲームは、昔も今もずっと面白いままだった。少なくとも個人的な感覚としては。

それが『ストリートファイター6』というタイミングで、より多くの人に知られるようになったのだと思う。製作者の努力やプロゲーマーの宣伝活動などのおかげで。

本当に、いい時代になったな。

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