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【雑記5】信じられる司法のありかた~「乳腺外科医師冤罪事件」について思うこと3

1年以上、noteと離れていました。
コロナ禍でメンタルがモヤモヤしっぱなしで、何となく書く気も起きず。でもそれよなにより書く方へと気持ちが向かわないのは、自分の乳癌への感情が少しずつ落ち着いてきているからかもしれません。
今年の術後3年目検診は無事クリア。毎回、そんなことないだろうと願いつつ、再発や健側の乳癌告知の覚悟を心の中に秘めて向かう診察室。
それでも去年よりその気持ちは薄らいできてる。来年はもう少し気楽に受診するようになるのかな…。

そんな中でもずっと気になっているあの事件。
来年1月に動きがあるとの情報で、年が変わる前に、書こうと思いつつそのままになっていたことを記しておこうと思います。

去年自分で書いた記事(※「乳腺外科医師冤罪事件について思うこと」1と2)を読み返してみると、こんなに頭悪かったんだ(恥)と思うくらい、何が書いてあるのか分からない!
当時の自分にはあまりに事件内容が身近に感じられて、気持ちが入り込み過ぎて、冷静になれないことが多かった。
記事内容は、その後自分の間違いに気付いたり、分かったこともあったけど、この記事を書くために、とりあえずまだ残しておきます。


冤罪事件はどうして起こるのか


「冤罪事件」と聞いてすぐに私の頭に受かぶのは、「郵便不正」で逮捕勾留された、元厚労省の村木厚子さんの事件。
無罪を勝ち取り、厚労省の入口を職員に拍手で迎えられながら職場復帰を果たされた姿がセンセーショナルでした。
しかし事件内容自体はあまり記憶になかったので、今回の事件とも相関することがあるかもしれないと思い、村木さんの書かれた本を読んでみました。

私は負けない 「郵便不正事件」はこうして作られた                   村木厚子著 (聞き手・構成 江川昭子)

この本は、一つの出来事(結果的に不正だった)がどのように「事件」になっていくのかを、村木さん自らが時系列に沿って書き記したもので、事件に直接関わった部下・上村勉さんとの対談も掲載されています。

逮捕されたらどうなるのか。取り調べは?検察ってどういうものなの?
この本から感じられるのは、怒り、落胆。もしくは恐怖。
読んだことのない人は、是非一度読んでみてほしい。怒りですぐ読めちゃうから。

事件が起こる。それに対して検察の考え方はこう。

●まず事件に対して結論を出す→
●それに当てはまる可能性があるストーリーを作る→
●そこに出てくる登場人物が犯人!

事件が起きたら犯人は必ずいるという思考。捕まえた人が本当にやったかどうかは関係ない。ストーリーに矛盾が出てきても改ざんすればいい。
兎に角、自分達の作った結論に当てはめることが重要で、それを達成することが、事件解決。

だから取り調べは理不尽でしかない。話しても通じない。出来上がったストーリーを認めるまで終わらない心理戦。
上村さんが’’落ちる’’までの間に書かれた被疑者ノートを読むと、追い込まれていく様が生々しくて、やるせなくなります。

''解決''件数を何件こなすかに重きを置き、中身はどうでもいい。
これが検察の仕事かよ!?


布川事件

同じ頃、丸山ゴンザレスさん(好き♡)のYou Tubeで、布川事件について取り上げられているのを偶然目にしました。
この布川事件の当事者・桜井昌司さんがゲストの、事件についてご本人の口から説明されたショッキングなものでした。

1. 【無実の罪で無期懲役】警察の証拠捏造で29年間を奪われた男

2. 【国家権力の闇】裁判で明らかになった警察の嘘が恐ろしすぎる

3. 【賠償金額1億3000万円】国が支払った人生の値段とその使い道


この中で桜井さんが語られる検察の調書の取り方や、冤罪が成立する過程が、まるで村木さんの事件と同じ。杜撰で禍々しい。

とすると、自分が今まで漠然と信じていた検察って、裁判の公平性って、何だったんだろう。こんなに危うい中で守られていたのか。

知らなかったのは、たまたま自分が事件に巻き込まれてこなかったから。
いつか自分もいわれなき事件の当事者になってしまうことがあるかもしれない。


じゃあ、乳腺外科医師冤罪事件は?


内容の枝葉の信憑性ばかりが気になっていたけれど、注視しなければならないのはそこではありませんでした。

●検察は正当な取り調べをしているか
●裁判所は正しい証拠を採択し、正当なジャッジを下しているか

「事件」は実は起きてなかった。
それは術後に起きたせん妄で、患者と病院側で行き違いが生まれてしまっただけ。裁判はその溝を途方もなく大きく広げてしまった。

被害女性と病院側がどうしてここまでこじれてしまったのか不可思議なところは多々あるけど、裁判にまでなってしまったものを解くのは難しいかもしれないけれど、本当は原告に取り下げてほしいなと強く思います。
「事件」は本当はなかったのだから、医師を訴えるのは止めて、病院側と揉めた件については、別のかたちで解決の機会を持ってほしいなと思う。
無駄な戦いを止めて、生まれた「溝」を浅くするのはどうかなぁ?


司法のありかたを考える

検察や裁判所の全てが、今まで書いたようなものだけの組織だなんてことは勿論ないでしょう。全ての事件の中で、冤罪はごく一部(であると信じたい)。でもごく一部あっても、冤罪は絶対にあってはならない。

自分がすぐに何が出来るのかは分からないけど、こういう事件が起きた時に、他人事として済ますのではなく、正しい判断をしているか、その根拠を見つめることを怠らないことが重要ではないか。

この乳腺外科医冤罪事件も、裁判の流れをきちんと記憶しておこうと思います。正しいジャッジが下され、原告被告両方に平穏な日々が訪れることを切に願っています。


LINK
●HP 外科医師を守る会
●Blog 本当は誰も悪くない
●HP 乳腺外科医師の高裁判決に対する日本医師会、日本医学会に賛同する医師の会

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