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私は、綾小路龍一として産まれた

訳では全然無い。驚く程、本名と違う。元々、綾小路龍一という名前を使い始めたのは、バンド活動をしている頃、色々と広報活動の際に使用する為の名前として作ったことがきっかけである。

「ペンネームを作るなら、かっこいい名前よりもむしろふざけて、ちょっと胡散臭くしないとオモシロクない。けど、文字面になんとなくの説得力も欲しい」

というコンセプトを決め、10秒ほど悩み抜いて綾小路龍一という名前に決めた。以上が文筆家・綾小路龍一の誕生秘話である。おわり。

綾小路龍一として稼いだ額など微々たるものだが、10秒で考えた割に10年以上各所で使っており、非常にコスパの良い名前である。文字面に「一見堅そうだが、よく見ると胡散臭い」感じが出ており、結構気に入っている。音数の多い名字には、インパクト、堅さ、そして若干の胡散臭さがある。代表的な例で言えば、佐村河内などである。カタカナでいえば、ダレノガレもこれに含まれる。

曲がりなりにもライターの名刺を持ちながら、自信満々に言うのもおかしな話だが、私は昔からネーミングセンスがない。中高生の頃に組んだバンドの名前は「DEEP KISS」や「ママレード・ボーイズ」だったし、小学校の頃飼っていたうさぎの名前は「魔王」だった。DEEP KISSはお披露目ライブで解散したし、魔王は数日でひっそりと小屋を抜け出し、闇夜に消えた。当時は、カッコいいと思っていたのだと思うが、今考えると、恥ずかしさで地震が起きる。運命の悪戯により、「DEEP KISS」がとんとん拍子でメジャーデビューすることなく、「DEEP KISS」という名前が一生の付き合いにならなくて本当に良かったと思う。

ただ、私のネーミングセンスだけが特別悪いわけではない。世の中の人のネーミングセンスも、よくよく考えたら大したことはない。事実、学生時代の友人がつけたバンド名の「パット・デル」は、

「バンド名考えてたんやけど、全然思い浮かばへん。なかなかパッとでぇへんなぁ、パッとでぇへん……パッと、出る。そうや!パットデルや!」

という、ゲロみたいな由来だったし(その後パット・デルは音速で解散)、最近のバンド名やアイドルの名前も、「ゲスの極み乙女」前後から急激に怪しくなっている。ふた昔前くらいは、「JUDY AND MARY」や、「THEE MICHELLE GUN ELEPHANT」、「BLANKEY JET CITY」など、正面から堂々と格好付けた名前が多かったのに、今は「ヤバいTシャツ屋さん」、「Official髭男dism」など、アレ?と思うような名前が多い。

しかし、最初は、なんだそのネーミングセンス!と思ったけれど、これはこれでインパクトが強く、覚えやすい名前である。そう考えれば、逆にネーミングセンスがあると言えるのかもしれない。ならば、「DEEP KISS」は逆に今風か?時代の先取りか?と思ったけれど、よく考えたらダサいだけで個性もなく、恥ずかしく、インパクトがないから覚えやすいわけでも無いので、改めてネーミングセンスのなさを実感しただけで終わった。死んで出直したい。

今の時代、正面から格好付けた名前というのは流行らないのかもしれない。「如月翔」とか、「滝川夢路」みたいなキラメク名前ではなく、やはり「綾小路龍一」という名前はちょうど良い気がする。自画自賛で申し訳ないが、一見格好付けた風だが、キチンと狙ったダサさが内包されており、そういった意味で「きゃりーぱみゅぱみゅ」や「ダレノガレ明美」的な計算された胡散臭さがある。これからも、そんな名に恥じぬよう、胡散臭く、しょうもない記事をダラダラと発散していきたい。

因みに、今調べたところダレノガレ明美は本名だった。ごめんね、明美。

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