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夢の残滓

新卒で地元の新聞社受けようとしたことがあった。帰省して会社説明会に参加したものの、結局、ある理由により完成した応募書類はポスト投函せず。

新聞記者として働いたあと、フリーのルポライターなりたいなって思っていた。自分で見た世界を自分の言葉で発信したいなと。そんな夢。が、今は簡単に叶ってしまう。webでやればいいだけなんですよね。そこに金銭が発生するかどうかの切実な問題はあるにせよ。

夢が、あっという間に手に入る時代に。そこにハードルはなんもなく。これがわたしの夢だったんか。

人は、ハードルの高さに夢を「夢」として置いておけるのだと思う。簡単に触れられるものは、夢なんかじゃない。

わたしの夢は、どこいった。そもそも、わたしの見た夢とはなんだったのか。蜃気楼のように、決して触れられないものが夢としてあってほしいという、そういう夢。踏み込めないからこそ、圧倒的な聖域としてそこにあったんではないか。

目指したい場所なんてない、もはや、毎晩セミダブルの中途半端な世界に沈み込み、つかの間の現実からの離脱こそが、わたしの夢。刹那に、永遠を夢見るんだ。


※本記事は、2018年5月21日に自サイトにて投稿した文章を加筆修正したものです。


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