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【映画レビュー】ホラー苦手な私が観ることを避けられなかった「サスペリア」

noteでの記念すべき映画レビュー1本目!

2月2日(金)のSIerIoTLT女子部で「GoogleAssistantから映画レビューできるようにしたった」というタイトルで登壇してきたのですが、その中で人生初のデモをしたんですよ。

「映画レビュー ほにゃららら」とGoogleAssistantに話しかけると、Googleスプレッドシートに短文(ほにゃららの部分)の映画レビューが書き貯められる、というIFTTTのレシピを使ったデモだったのですが、そのデモで「映画レビュー 土曜にサスペリアを観にいく」と言ってしまったんですよ。登壇者に二言はありません。
デモをした通り、サスペリアを観てまいりました。

とにかく、私はホラーが苦手です。映画会社に入りたいと思っていた時期もありますが、趣味で映画を観るのであれば作品を選ぶことができるけれども、仕事となるとそうはいかない。当然、苦手なホラーも観ないといけないんだろうなぁ…という理由で、その思いをかなぐり捨てました。

なんせグロ体制がないんですよ。血は大丈夫なんです。
はらわたを取り出したり、骨がバキバキに折れたり、舌をちょん切られたり、歯を抜かれたり、カニバリズムだったり、そういうのがしんどいんです。画面を直視できない。音もツライ。

もちろん作り物と分かっていても、観ている最中は映画の世界にどっぷり入り込んでしまうから、本物に見えてしまってダメなんです。

とはいえ、好奇心が勝った場合は、ホラーも観にいくんですが。

さて、今回のサスペリアです。トラウマ級のホラーです。
「君の名前で僕を呼んで」のルカ・グァダニーノ監督が1977年に大ヒットした「サスペリア」をリメイクした作品。

「君の名前で僕を呼んで」があまりにも映像もお話も美しく素敵なお話だったので、今回ホラーでやると監督は一体どう撮るんだろう?という好奇心の方が勝ってしまい、劇場に足を運びました。

いつもホラーを観にいった時に思うんですが、若い人が多いんですよね、観客が。
「怖いもの見たさ」的なノリで観に来るんでしょう。
「ドントブリーズ」の時もそうだった。

今回は渋谷のヒューマントラストシネマで観ましたが、土曜の18時35分という、終わってから軽く飲みに行ける絶妙な時間の回にも関わらず、7割くらいの埋まり具合。そして、やはり若者多し。

***

あらすじ


時は1977年。ベルリンの壁がまだ存在していてドイツがゴチャゴチャしていた時代。錯乱状態の女の子が精神科医の元に訪ねて来るシーンから始まります。

どうやらどこかの施設から逃げてきたのか。訳のわからないことを呟き、どこかに消えます。そしてそのまま行方不明に。

一方、舞踏集団の門を叩く美女・スージー。自信満々にオーディションを受けに来た様子。
オーディションで激しく踊るその様子を見ていたその劇団のチーフディレクターの女・マダム・ブラン。彼女はスージーを合格させます。

その舞踏集団で踊る女の子たちは、その館で集団生活をしており、そのお世話をするのも全員女性。いわゆる寮母たちです。寮母たちはマダム・ブラン含めて全員魔女(だと思われる)。

物語は、気がおかしくなって舞踏集団から足を洗おうとする女の子がトラウマ級の大変な目にあったり、不可解なことがたくさん起こっていきます。

精神科医の博士が、自分のところに訪ねて来た女の子がその舞踏集団にいたことを手帳から知り、彼女の行方を探しに真相を突き止めていこうとするのですが、これがまた色々な波紋を呼びます。

そうこうしている間に起こったいろんな怪事件は、全てただ一つの世にもおぞましい目的を果たすために行われていたこと。そして、その
準備が整った夜、阿鼻叫喚のクライマックスを迎えるのです。

***

始まって、いつかいつかと思っていたら、30分くらいで最初のエグいシーンが来るんですよ。
私が無理と言った中のどれかが描写されるのですが、途中退席も辞さないレベルです。めちゃめちゃトラウマです。

ただ、さすがはルカ・グァダニーノ監督!
表現の力というか、圧がものすごいです。映像の美しさと踊る時の息遣い、音楽がマッチして画面から目を逸らすことを許さないのです。

その後も、たくさんそういった類のグロシーンが出て来ます。
スージーは、どの段階かわかりませんが、魔女に魂売ってる状態になるので、寝ている間に毎夜悪夢を見てうなされるんですが、その間にフラッシュバックする短い映像も、ちゃんと一つ一つ見て行ったら、かなりエゲツないものが多いんだろうなぁ…。

私がこの映画の中から受け取ったメッセージとして、一番強烈だったのは、「女、やっぱ強えな」ということです。

魔女だから当然女性ばかりで、普段はキャッキャしてビストロで酒をかっ食らったり、ちゃんとヘアメイクの仕事したり、踊り子たちの面倒を見たりしている。その姿はどこにでもいるうるさいおばちゃん。

でも、エゲツない目に合わせて、ほぼ瀕死状態の人間に最後のとどめを刺すことができるんですね。躊躇わずに。

阿鼻叫喚の地獄絵図の後も、サクッと血祭り状態の部屋を片付けたりするへっちゃら感。

その辺りの、クールで現実的で割り切った感じはとても女性っぽいなと思ったりしました。

代表取締役CEOが一人なように、この物語において、母も一人である必要があるのですが、その母が死なないことが前提なんですよね。
「死なない」=「生き続けなければいけない」これはツラいことだなと思いました。

人間は限られた時間の中を生きるからこそ幸せなのであって、無限に生きながらえなければならない業を魔女たちは背負っていかなければならない…。

ここもグッと来たポイントでした。

また、魔女自体はとても西洋っぽいアイコンなのですが、そんな物語のベースにずっと続いていく「おどろおどろしく、ネバネバした不快感」は江戸川乱歩や横溝正史っぽさも感じました。

博士が生き別れた女房をずっと別荘で待ち続けているんですが、その女房がまさかの何十年ぶりに帰って来て、二人でラブラブで雪の中を散歩をするのですが、歩いてたどり着いた先が舞踏集団の館だった、そして女房は消えているというシーンは、宮沢賢治の「注文の多い料理店」の読後感と通じるものがありました。

この映画を観た人が、この辺りどう感じたかをすごく知りたい。

ラストシーンは町山さんが泣いたとおっしゃっていた通り、劇場ではすすり泣く声がかすかに聞こえたのですが、私は残念ながら、グロシーンはじめ映像と物語と音に圧倒されてしまったので、そこで涙腺を緩ませるような豊かな感性は持ち合わせていませんでした…。
まだまだ、修行が必要なようです。

長くなりましたが、「サスペリア」2019年始まって早々になんだかすごいものを観てしまったので、書かずにいられませんでした。

ちなみに、Google Assistantから入力したこの映画のレビューはこちら。

ここからよく膨らましたもんだわ…。


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