見出し画像

AIに呪文唱えただけでクリエイター足り得ない

 AI画像生成の技術は凄いとは思う。それは間違いないし科学や文明の進歩で1,2ヶ月の遷移はとてつもない。
 個人的にはどうも興味が湧かないし食指が動かない。今、私がイラストを描いているのは自分で描くことに自分なりの楽しさとか意義を見出しているからだ。AIを否定するつもりもない。デジタルでイラストを描いている以上、アンドゥ機能とか線補正とかバケツ塗り潰しとかぼかしフィルターとかのツールに頼っているわけだし。
 今後、価値や活用法を見出している人達によって実用性なり著作権なり議論と推敲を重ねて商業利用されていくんだろう。

 しかしただただpixivでイラストを検索する時に邪魔だしストレスフルである。
 自称AI絵師とやらが呪文だの詠唱だの宣ってプロンプトの組み合わせでAIに出力させたエロイラスト。一回の投稿に50枚100枚200枚も上げてそれが直接的なエロワードでもないタグ検索のページを数人、ないしは一人の投稿者による連投でほぼほぼ1ページ埋め尽くすことが最近ままある。
 私なんかが描くよりずっと塗りやバランスは小綺麗な絵ではある。でも魅力を感じない。自分の性癖に合わないのもあるが、今時のトレンドの絵柄のアニメ風の顔とリアルで肉感的な体の美少女の絵だ。ビッグデータを取り込んだ結果、中庸で尖った所がない没個性的な絵に見えてしまう。やり方によってはもっと尖らせることはできるんだろうけど、AIイラストだという先入観があるにしても「フーン、スゴイネー、AI技術ー」としか感じない。ここまでやられるとその絵柄は本当に魅力や価値のあるものなのか疑問に思えてくる。元々そういう絵柄で描いていた人はあがったりだろう。

 閲覧数に加担するのも癪だが、色々な怖いもの見たさで投稿をクリックしてみる。何十何百の中には案の定、指がぐにゃぐにゃな塊になっているものやヘソが2つあるもの、場合によっちゃ初音ミクだって言っているがどう見ても『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』のヘスティアにしか見えないもの等混ざっている。(『ダンまち』を観たことないが、それでもそう認識できてしまうくらいの描き分けである)

 AI絵師だかなんだか勝手に自称するのは構わないが、最低限、人間の判断と作業でやるべきことを放棄している。最低限の選別すらせずただ垂れ流されたように出力されたエロイラストをまとめて投稿している。その行為は考えなしで創作ではなく排泄や射精に近い気がする。ただただ自分のリビドーをぶつけているだけ。詠唱とやらもポルノサイトで性癖に合うエロを求めてエロワードを打ち込んで検索しているのと同義だ。マナーとか著作権意識とか関係なく自分の快楽に沿う画像がいっぱいあれば幸せなんだろう。そして直接関係ないタグの検索ページを美少女がイチモツ生やしたイラストでいっぱいにしたりして私を不愉快にさせる。
 これが中学高校生とかなら(利用規約的はアウトだが)まだわかるが、プロフィールを見ると普通に20代30代だったりするしクリエイター業を自称していたりする。アホ抜かせ。

 一連の行為をする輩って今まで創作というものをしてこなかったんだろうなと。絵の上手い下手じゃない。何かしら真面目に創作しようとしたら生粋の天才でもない限り、悩んで何かを生み出すなんて当たり前だ。数時間かけて作った絵でも文章でもパフォーマンスでも人からダメ出しされたり自分で見返してやり直したりすることだってある。写真や映像を撮れば何十何百の中から見極めて切り捨てずに残すもの、人に見せるために公開するもの、素材として用いるものを選別する。吟味することでそこで何か学ぶものを見出したり、辛さや楽しさを感じたりする過程がある。
 AI絵師にはその吟味や過程がまるまるない。創作者気取りをしながら絵師という肩書に浸るため、自分の欲情や承認欲求を満たすため、酷いとFANBOXやskebで小銭を稼ぐためにしかAIを利用していない。

 一億総クリエイター時代と言われて久しいが、そんなのはずっと幻想だ。技術の腕前やプロアマの立場ではなく絶対にクリエイティブになれない層が存在する。AI技術がいい悪いじゃなく、それによってクリエイター足り得るかが浮き彫りにされている気がする。

 とりあえずpixivやその他サービスは然るべき処置を進めてほしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?