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【育成担当必見】新入社員研修のユニークな他社事例7選

ほとんどの企業では、新入社員の入社時に新入社員研修を行っています。

企業の育成担当者は、自社で行う研修内容について頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。

新入社員研修は、”企業の目的を達成するビジネスパーソン”を育成するための研修です。

新入社員研修を考える際は、自社の目的を再確認し、目的達成のために新入社員にどのようなことを求めるかを整理し、どのような研修内容であれば効果的か考えていく必要があります。

研修内容を考える際、他社事例を参考にして気づきを得ることも多いです。

今回は、新入社員研修の他社事例について解説していきます。

他社事例から自社に取り入れられそうな要素を考え、充実した新入社員研修の構築の材料としていただければと思います。

①新入社員研修はマニュアル通りの形である必要はない

冒頭でもお伝えした通り、新入社員研修は”企業の目的を達成するビジネスパーソン”を育成する機会です。

新入社員研修を考える際、この本質を忘れてはいけません。

新入社員研修では、”こうあるべき”といった固定観念は不要です。

座学でなければならない、⚪︎ヶ月以内に終わらせなければならない、社内で研修しなければならない。こういった固定観念を持って狭い枠の中で研修内容を考えていては最適解を見つけることはできません。

どのような内容の研修であれば、自社が求める社員を育てられるかを考えましょう。

他社事例を参考に、柔軟な発想で研修内容を考えていきましょう。

②ユニークな新入社員研修の他社事例7選

  ①TDK株式会社       「竹とんぼ研修」
  ②株式会社アップガレージ   「漫才研修」
  ③日置電機株式会社      「座禅合宿研修」
  ④伊藤忠商事株式会社     「タフネス研修」
  ⑤パーソルキャリア株式会社  「チャンバラ合戦研修」
  ⑥株式会社ハブ        「英国研修」
  ⑦株式会社カネカ       「ハイテク研修」

①TDK株式会社「竹とんぼ研修」

TDK株式会社は1935年創業の老舗の総合電子部品メーカーです。同社では4月の入社後、1ヶ月間の合宿にて新入社員研修を行っています。

合宿で行う内容は、「竹とんぼ」を作るというシンプルな内容です。

ただ、モノづくりの会社として面白い内容となっており、「世界一○○な竹とんぼ」をコンセプトに、3秒以上滞空する竹とんぼを作るという主旨でおこなわれます。

世界一の竹とんぼを目指して作る過程では、製品の開発計画書の作成、プロトタイプの作成、工程管理から設計審査までQAの観点も踏まえ、実際の製品制作と同様の工程をとり、実務に沿った内容を体験することができます。

また、目標を達成するうえで、新入社員が3人一組になりメンバーで協力し合って作るため、チームで働く力も養われます。

加えて、お客様が欲しいと思える価値について考える機会、原材料となる竹をいくらで仕入れ、原価から小売価格を設定し販売するという利益について考える機会ともなるため、製造だけでなく各部署での働きを考える機会ともなります。

1ヶ月間の合宿研修で、モノづくりの基本を学べるユニークかつ自社にマッチした効果的な研修となっています。

※2018年からは「竹とんぼ作り」から「タイマー作り」にテーマ変更されています。

【出典】TDK株式会社:ものづくりの基本を伝える新入社員教育

②株式会社アップガレージ「漫才研修」

株式会社アップガレージは中古車・バイク用品のリユース販売を行なっている企業です。同社では、新入社員研修として「漫才研修」を行っています。

内容は1日でオリジナルの漫才を作り上げるというユニークな内容です。

ただ、単なる遊びの延長ではなく、人気バラエティー番組やお笑いライブを監修する現役の放送作家、お笑いタレント養成学校の講師によるレクチャーのもと、新入社員同士でコンビを組み、実際に漫才を考え、社長や講師の前で発表するという内容です。

この研修を行う理由としては、

「一流のビジネスマンたるもの、一流の芸人であれ」という社長の強い想いがあります。

アップガレージは接客や営業が中心のため、対人コミュニケーションが重視されます。

ビジネスのシーンでは、人を「笑わせる」ことで場の空気が和み、話が円滑に進むことが多くあります。

お客様を楽しませる技術や笑顔にさせる技術は、営業や接客業として身につけておきたいスキルです。

また、一緒に仲間と漫才のネタを考えることでチームワークが養われ、人前で披露することでプレゼン能力が養われるようになります。

一見すると楽しさがあふれるような内容ですが、この研修からビジネスパーソンとして得られるものは大きいものがあります。

【出典】株式会社アップガレージ:新人がプロに教わる漫才研修 成功体験を通じて「やったらできた」経験を

③日置電機株式会社「座禅合宿研修」

日置電機株式会社は電気計測器メーカーです。同社では、新入社員研修として「座禅合宿研修」と呼ばれる2泊3日のお寺での研修を行っています。

長野県千曲市にあるお寺で、1日目はオリエンテーションと座禅がメインで行われ、2、3日目は座禅に加え、ディスカッションやハイキング・ジョギングなどを行い、食事の際のテーブルマナーなども研修として学びます。

お寺という非日常的な空間の中で、毎朝5時起床で共同生活を行うことにより、学生から社会人への意識を切り替える機会となります。

また、座禅で忍耐力を身につけることや、仲間達と寝食を共にし絆を深めることで、協調性を学ぶことを目的としています。

社会人として必要なマインドを身につけることができる研修となっています。

【出典】産労総合研究所:特集 わが社流! 新入社員教育 (企業と人材 2016年9月号)

④伊藤忠商事株式会社「タフネス研修」

伊藤忠商事株式会社は、世界62ヶ国に約100拠点を持つ大手総合商社です。同社では、新入社員研修として2012年から、福島の山中で6日間の登山を行う「タフネス研修」と呼ばれる研修を行っています。

7人体制のチームを組み、標高1,900mほどもある那須岳で、5泊6日の日程で登山を行います。

各人が背負うテントや飲食物などを詰め込んだリュックは、10~20kgという重さになります。

登山を通して、困難に直面してもあきらめない強い精神力が養われ、集団で行動することにより、仲間達と協力し目的達成する力が養われます。

この研修で培った「タフネス」は実際に現場で働く際にも活かされ、逆境にも立ち向かうことができる人材となります。

【出典】HR NOTE:エッジの効いた新卒教育の研修内容まとめ

⑤パーソルキャリア株式会社「チャンバラ合戦研修」

パーソルキャリア株式会社は転職支援、求人情報、アウトソーシングなどを手掛ける、総合人材サービス会社大手です。同社では、新入社員研修として「チャンバラ合戦研修」なるユニークな研修を導入しています。

複数人ごとのチームに分かれ、スポンジ製の刀を使い、相手チームの腕についたボールをはたき落とすというゲームです。

この研修を通し、チームで協力して計画を遂行していく過程から、チームで働く力が養われます。

また、複数回の合戦が行われるため、敗因や勝因の分析、改善点の洗い出し、改善策の構築を議論し、改善策を実施するというPDCAを回していく力が養われます。

【出典】チャンバラ合戦-戦IKUSA:チャンバラチームビルディング!?インテリジェンス内定者研修の巻

⑥株式会社ハブ「英国研修」

株式会社ハブはイギリス風パブチェーンのHUBと82ALE HOUSEの経営を行う企業です。同社では、新入社員に「英国研修」として、5泊7日のイギリス渡航研修を行っています。

「本場のPUB(パブ)を知らなければ、本物の店づくりができない」という社長の考えをもとに、新入社員は必ず渡英し、本場のPUB文化を体感する機会を設けています。

五感を使って本物を知り、常に本場英国PUBの原点に立ち返り、その文化を追求できるようになることを目的としています。

海外に深く関わりのある企業は、このように実際に足を運ぶことで、五感を存分に使い多くを吸収することができます。

実際の店舗運営をしていくうえで、現地で得た体験があらゆる方面で活かされていきます。

【出典】株式会社ハブ:CSR情報「キャリア支援」

⑦株式会社カネカ「ハイテク研修」

株式会社カネカは1949年創業の化学製品メーカーです。同社では新入社員研修として、3泊4日の合宿にて「ハイテク研修」と呼ばれる研修を行っています。

名称から最先端のテクノロジーをイメージする方は多いと思いますが、実は、名称の意味は「はいつくばってテクテク歩く」の略称となっています。

淡路島にて、新入社員同士でチームを組み、山道、海岸などのチェックポイントを通過しながら、15Km先のゴールを目指す内容となっています。

その際、3時間ちょうどで歩くことと、携帯や時計などは事前に没収され、使える道具は地図、定規、たこ系の3つのみという制約が課されます。

この決められたルールの中で、チームで協議をし、役割分担を決め、時間ちょうどにたどり着くための最適解を考えていかなければなりません。

ビジネスパーソンとして必要な、チームで働く力や問題解決力が養われる研修となっています。

また、ゴール到着後にも、結果をフィードバックする機会が設けられているため、良かった点、悪かった点を考えることで内省する力も養われます。

実際の仕事の現場でも、制約がある状況でパフォーマンスを出すことを求められます。

どんな状況でも、今あるリソースをもとにゴールを達成する力を養うことができるのが、この研修の魅力です。

【出典】株式会社カネカ:CSR REPORT 2014

③新人社員研修を充実させるための3つのポイント

新人社員研修を充実させるための3つのポイント

前項で紹介した他社事例のように、新入社員研修の形式や内容は多種多様にデザインできます。

その中でも新入社員研修を考えるうえで、すぐに活かせそうなポイントについて解説いたします。

①社外で研修を行う
②チームワークを磨く
③参加したいと思える内容にする

①社外で研修を行う
他社事例でもご紹介した通り、お寺での座禅合宿研修や、海外渡航研修など、社外で新入社員研修を行っている企業は多いです。

これは、親元を離れ、決められたルールの中で活動をする力を養うという意図もあります。

また、集団生活をすることで、組織の中で共同して動いていく力も養われます。

②チームワークを磨く
大半の企業が、新入社員同士でチームを組ませ、チームとして課題に取り組む内容を研修に盛り込んでいます。

このようにグループを組ませるのは、チームで働く力を養うためです。

組織で働くためには、チームワークは不可欠です。

組織活動では、チームの中で課題について協議し、一緒に課題解決を考え実行していきます。

また、その中で自分の役割は何であるかを理解し、役割をこなすために尽力することが求められます。

こういったチームで働く力は、実際にグループワークを入れることで養われます。

会社という組織の中で働くためには、必要不可欠な能力のため、ほぼ全ての企業が実施しています。

③参加したいと思える内容にする
新入社員が、主体的に参加できる内容にすることは重要です。

新入社員の意欲が低いと、研修の意図・目的も伝わりません。

そのため、多くの企業では研修にゲーム要素を取り入れています。

「漫才研修」や「チャンバラ合戦研修」のように、楽しく学べることを意識すると良いでしょう。

もちろん、楽しくすることがゴールになってはいけませんが、研修の目的を達成するうえで、いかに楽しく主体的に学んでもらうかの視点は持つようにしましょう。

④他社事例から学ぶ際は、ユニークさだけにとらわれず本質を理解することが重要

各社それぞれのユニークな他社事例を紹介いたしましたが、このような他社事例を参考にしていくうえで、注意しなければいけないポイントもあります。

それは、本質を理解することです。

各社ユニークな研修を行っていますが、いずれの企業も自社の業務に関連する内容で、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の概念を取り入れた研修となっています。

合宿研修が良い、モノ作り研修が良い、海外研修が良いと表面的な部分だけをみて、自社の研修に取り入れても効果はありません。

参考にする際、企業が「新入社員に本当に伝えるべきこと」という”本質”に対して、どのようなアウトプットを生み出しているかを理解する必要があります。

自社に近い本質を持っている企業から、アウトプットの形を参考にするのも良いでしょう。

他社事例を参考にする際は、ユニークさに気を取られがちですが、どのような目的のもと研修を行っているのかを理解したうえで参考にしていきましょう。

⑤まとめ

■新入社員研修はマニュアル通りの形である必要はなく、柔軟な発想が必要

■ユニークな新入社員研修の他社事例7選
①TDK株式会社        「竹とんぼ研修」
②株式会社アップガレージ    「漫才研修」
③日置電機株式会社       「座禅合宿研修」
④伊藤忠商事株式会社      「タフネス研修」
⑤パーソルキャリア株式会社   「チャンバラ合戦研修」
⑥株式会社ハブ         「英国研修」
⑦株式会社カネカ        「ハイテク研修」

■新人社員研修をより良いものにするための3つのポイント
①社外で研修を行う
②チームワークを磨く
③参加したいと思える内容にする

■他社事例から学ぶ際は、ユニークさだけにとらわれず本質を理解することが重要

今回は、新入社員研修の他社事例について解説いたしました。

各社とも、最大限の工夫をしユニークな研修を行っています。

新入社員研修は、自社の社員にとって一度きりの機会です。

新入社員にとって心に残るような体験をしてもらうことで、自社へのエンゲージメントも高まります。

発想を柔軟にし、自社で効果的な新入社員研修を構築していきましょう。

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