一人暮らしで新型コロナウイルスにかかった話 その3 (ホテル療養について)

その3まで書くことになると思わなかった。

5日前に保健所から電話が来て、突然、陽性者は原則ホテル療養とする方針になったと伝えられた。自宅療養中の方が相次いで亡くなったことを受け、方針変更をしたのだという。

5日経った今、私は都内のホテルにいる。4/24に連絡が来て、翌日ホテルへ移動。
急なことだったので、ホテルの状況もよく分からないまま移送されてしまい、ホテル生活も4日経ったところで「あれ持ってくればよかったな」とか思うことがけっこう出てきている。

きっと今後ホテル療養になる人も増えてくると思うので、この記事では、

・ホテル療養までの経緯
・現在の体調
・ホテルでの生活
・持ってきてよかったもの
・持ってくればよかったもの

などを記載していこうと思う。

今まさに、ホテル療養に向けて準備している方は、前半はすっ飛ばしてとにかく「ホテルでの生活」「持ってきてよかったもの」「持ってくればよかったもの」あたりを読んでいただければと思う。環境を知って準備をした方が良いので、少しでも記事が役に立てば嬉しい。

ホテル療養までの経緯

4/24(PCR検査から14日目)
保健所から電話があり、冒頭で書いた通り東京都の方針として自宅療養の人は原則ホテル療養へ切り替えを行っているとの説明を受けた。※ちなみに東京都の場合、宿泊にかかる費用は全額公費負担

このときすでに発熱から24日が経ち、発熱が無くなってから10日以上経過していることもあり、さすがにここから2週間のホテル待機は長すぎると思ったので、どうにか短くならないかと保健所の方に伝えた。

しかし、保健所の方の説明としては

・味覚嗅覚の症状が4/23頃まで続いていたことを報告していたため、私のステータスとしてはまだ「症状が完全には消失していない状態」
・したがって、外出制限解除までの2週間のカウントはまだ始まっていない

とのことで、ホテル療養の期間はやはり最低2週間となるとのことだった。

また、入所に際しての説明の中で、ホテルでは外部からの差し入れ・配達は一切受け付けないと聞いた※1。

私は今回、症状が発生してからここまでのあいだ、孤独を感じたことはなかったが、このときに初めて孤独を感じて泣いた。
同時に、友人や親や配達員の方々に物理的な面で支えてもらうことで自分がどれだけ精神的に救われていたかを実感した。

ホテルへの移動は早ければ翌日とのことだったので、仕事の合間にぐずぐずと泣きながら荷造りをした。

※1: 差し入れ・配達の対応は自治体・ホテルによって異なるようだ。

現在の体調

現在、熱は平熱、身体のだるさや咳は全くない。
味覚・嗅覚は4/21〜23ごろに改善しはじめた。最初は自信がなかったが、徐々に「匂いをちゃんと感じられるようになった」と確信が持てるようになった。

味覚・嗅覚の低下は4/9から感じていたので、回復までに2週間ほどの時間を要したことになる。
嗅覚の回復は、「急に匂いがしはじめる」というよりは、本当に少しずつ、鼻に覆いかぶさっていた見えない蓋が取れていくような感じだった。味覚もそれに伴って戻ってきた。

ホテルではPCR検査を行うのか?

ちなみに保健所の方からは、現在、陰性を確認するためのPCR検査は入院患者・ホテル療養の人にも行わない方針となっているとの説明を受けた※2。
入院・ホテル療養の場合でも、自宅療養の人と同様に「療養が始まった日から2週間」で外出制限が解除されるということだ。

この「療養が始まった日」は、患者の自己申告による「症状の完全な消失」が1日目としてカウントされると説明されている※3。
前回のnoteにも書いたが、この基準は自己申告以外の明確な基準を設けるか、もしくは検査を徹底した方が良いと思う。

※2: 東京都の場合。4/24時点の情報。
※3: この基準にもばらつきがあるように思えるので、味覚嗅覚症状まで含めるのは私の住んでいる区の基準なのかもしれない。

ホテルへの移動

ホテル行きの電話を受けた翌日、昼頃に東京都の車両が自宅近くまで迎えに来た。電話で呼び出され、外に出て車に乗り込んだ。

本人確認などは無し。外観は普通乗用車に見えたが、中に入ると運転席と後部座席の間に仕切りがある車だった。

画像1


珍しいので父(車好き)に写真を送ると、「後部座席を陰圧にできる特別仕様車!」とちょっと興奮していた。そ、そうなのね…。
ちなみに一応調べたら本当だった。陰圧仕様の詳細は下記を参照。ものづくりの会社すごい。

ちなみに、乗車から降車まで、運転手さんとの物理的接触は一切なかった。

ホテルに到着後、覆いのかけられた通路からロビーに入った。屋外には誘導する職員さんがいたが、屋内に入ると誰もおらず、ロビーに入ってすぐのテーブルに自分の名前の書かれた封筒が置いてあった。

封筒の中には同意書や宿泊にあたっての注意事項などの書類、ルームキー、体温計、パルスオキシメーター、ペンなどが入っていた。

その後も対面での本人確認は無く、居室の内線電話で本人確認と体調の確認を行った。このとき、やはり2週間後の5/8まで退所できないことを知り、絶望的な気持ちになった。

前述の通り、すでに発熱から24日経っている。5/8となると、発熱から合計38日間の外出制限ということになる。みんなこんなに長いのだろうか…と不安を感じた。

同意書をアップしてほしいというリプライがtwitterで来ていたので、下記に写真をあげておく。

画像6

ホテルでの生活

・部屋
ホテルの部屋はこんな感じ。標準的なビジネスホテルの設備だ。

画像3

(きっとこの部屋を見てどこのホテルか分かる方もいらっしゃると思うが、その辺はそっとしておいていただけると嬉しい…。)

・禁止事項とか
配布された注意事項の書類にホテルでの生活内容が書いてあった。
大まかなところは下記の通り。

・食事の受け取り以外は各自の居室内に留まること
・居室外に出るときはマスクを着用すること
・喫煙、飲酒禁止
・家族、知人からの差し入れや配達、食事のデリバリーなどは一切禁止
・清掃は各自行う(フロアに1つコロコロが設置されている)
・洗濯は各自行う(洗濯石鹸が配られる)
・リネン類は各自ロビーから補充

1日3回、お弁当とお茶が1Fロビーに用意されるので、その際は部屋の外に出て良い。ゴミ捨てやリネン類・水の補充などもこの時に行う。

タオル類・パジャマは週に3枚、バスマット・枕カバーは週に2枚まで使用可能とのこと。シーツは滞在中替えられない。
マスクは1日1枚支給される。各フロアにはアルコール消毒液も十分な量が設置されている。

・健康観察
1日2回、検温とパルスオキシメーターの数値確認がホテルの内線で行われる。このほか、毎日13時以降に看護師の方による、電話での健康状態の確認も行われる。

体温が37.5℃以上の場合は医師による診察が行われるそうだ。
私はもう熱もないので、生活している間、職員の方との接触は一切ないまま終わるだろう。

・食事
食事は全てお弁当で配られる。
食事の準備ができると、館内放送でアナウンスが流れ、各自1Fへ取りに行く。宿泊している人がぞろぞろと部屋から出てくるので、大抵エレベーターは行列になっている。

お弁当の内容は下記のような感じ。朝食にはパンが出ることもある。

画像2

ホテルで作っているようで、味は美味しいが、基本的には冷たい状態だ。ホテル内に電子レンジはない。(電子レンジ持ってたら、たぶんホテル内でスーパースターになれる。)

発熱している人は結構厳しい内容かもしれない。ホテル療養になるのは軽症者とはいえ、発熱があり辛い状態の人もいるだろうから、その辺りの対応がどうなっているのかは気になる。私は発熱しているとき、お粥やゼリーしか食べられなかった。

ちなみに食物アレルギーがある方や、宗教上食べられないものがある方への対応は不明。アレルゲンの表示は特になかった。
事前にアレルギーの有無は聞かれたので、特別対応があるのかもしれない。

また、全体的に肉・魚が多めなのでベジタリアン・ヴィーガンの人も、滞在するのは難しいかもしれない。

お弁当のほか、ときどきホテルから差し入れとしてバウムクーヘンやリーフパイなどのお菓子が配られることもあった。色々と制限がある中で、基本的には食事が唯一の楽しみになるので、これがものすごく嬉しかった。

陽性者受け入れによりホテルには風評なども含め負担がかかっていると思うので、自由に外に出られるようになったらこのホテルに泊まりに行こうと思う。

・アメニティ、備品類
アメニティや飲料など、補充が可能なものは以下の通り。ホテルによって違うかも。

後半の「持ってきてよかったもの」「持ってくればよかったもの」とあわせて準備に役立ててほしい。

補充可能なアメニティ、飲料など
・シャンプー、コンディショナー、ボディソープ
・リネン類(フェイスタオル、バスタオル、枕カバー、バスマット)
・パジャマ
・歯ブラシ、歯磨き粉
・石鹸
・ごみ袋
・生理用品
・ヘアゴム、ヘアブラシ
・コットン、綿棒
・剃刀
・洗濯用石鹸(固形)
・ティッシュ、トイレットペーパー
・ボールペン
・水(ペットボトル)
・ドリップバッグ式のコーヒー、紅茶ティーバッグ、粉末緑茶
・紙コップ

また、私が宿泊しているホテルでは部屋に備え付けの備品として以下が部屋にあった。
これもホテルによって違うと思うので、滞在先が分かったらホテルのwebサイトなどで確認した方が良い。

居室内の備品
・ドライヤー
・湯沸かしポット
・スリッパ
・ハンガー
・冷蔵庫
・TV
※感染防止のためか、コーヒーカップなどはなかった。紙コップは補充可能。

・自販機とか
ちなみに自販機は使用不可になっている。Twitterに写真をアップしたら、小銭を経由して感染するからかも、と教えてもらった。補充ができないのも理由としてありそう。

・ネット環境
幸いにも私の滞在しているホテルは上り下り共に60Mbps超えの爆速wifiなので、快適なインターネットライフを過ごせている。仕事のミーティングも全く問題なくできる。
これでwifi環境が脆弱だったらきっと心折れてた。心配な人はモバイルwifi持っていこう。

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生活環境は以上のような感じだ。とにかく貨幣とは無縁の生活を送っている。

持ってきてよかったもの

ここからは持ってきてよかったなあ、と思うものを紹介していく。

・トマトジュース(野菜ジュース)
私はトマトジュースが大好きなので、重いけどトマトジュース900ml×4本を持ってきた。お弁当だけだと偏りもあるし、持ってきて正解だった。
マイフェイバリットトマトジュースは「伊藤園 理想のトマト」。

・ビタミン剤(マルチビタミン)
これも栄養補給に。私は普段、アサヒのストロングマルチビタミン&ミネラルという強そうなビタミン剤を飲んでいるのでそのまま持ってきた。

・ドライヤー
ホテルにもドライヤーはあるが、ホテルのドライヤーというのは得てして風力が弱いものだ。私はドライヤーにはパワーを求めるタイプなので自宅からドライヤーを持ってきた。

・化粧水とかクリームとか
これ、女性は当たり前に持っていくと思うけど、男性も持っていった方が良いと思う。ホテルは乾燥する。肌を守ろう。リップクリームも忘れずに。

・インスタント味噌汁
前述の通りお弁当は冷たい状態なので、インスタント味噌汁が神がかり的に美味しく感じる。私は準備のときも外に出られない状態だったので、たまたま家にあったインスタント味噌汁を持ってきた。5食分しかないので大切に飲んでいる。

まさか「あさげ」をこんなに丁重に扱う日が来るとは…。​思えば昔からあさげのCM好きだった。

・HDMIケーブル
PCとTVを繋いでNetflixとか観ている。TVが良い位置にあれば仕事用のデュアルディスプレイにもできる。でっかい画面、大好き!

・レジスタンスバンド
とにかく部屋の中にしか居られないので、運動不足解消のために持ってきたけど正解だった。これは数年前になぜか上司がくれたバンド。
これ着けてスクワットしたり、カニ歩きしたりしている。ウェビナー聴きながらやると、一石二鳥。

画像4

・サンダル
海外に行くときはいつもスリッパ代わりにサンダルを持っていくので、そのノリで持ってきたがよかった。
お弁当を取りに行くときなどわざわざ靴を履くのは面倒だし、ホテルの使い捨てスリッパで行くのは心許ない。
この無印のサンダルは安いわりにしっかりしてて楽。ビーサンでも良いと思う。

・ちっちゃいピンチハンガー
洗濯物を干す用に。下着とか干すとき地味に大事。

持ってくればよかったもの・あると便利なもの

持ってくればよかった、と思うものはけっこうある…。基本ごはん系。

・ふりかけ、お茶漬けのもと、海苔などごはんの友になるもの
白米中心のお弁当なのでどうしても飽きがくる。できるだけバリエーションがあった方が幸せになれると思う。

・インスタント味噌汁、スープ(とにかく大量に!)
お湯でできるインスタント味噌汁やスープはたくさん持っていった方が良い。騙されたと思って余るくらい持っていってほしい。食事の際、温かいものが少しあるだけでQOL上がる。
栄養のある野菜スープなどがあれば尚良いと思う。そしてスプーンも忘れずに持っていこう。余裕があればマグカップと食器用洗剤も。

・粉末のスポーツ飲料
発熱している人は持っていこう。基本的に支給されるのはペットボトルの水とお茶だけなので、熱が出ている間はけっこう辛いと思う。

・カップ麺、インスタントのうどん、そばとか
お湯でできる麺類は、余裕があれば。白米や冷たい食事に飽きた時に。
非常食とかでお湯でできる食品があれば、そういうものも持っていくと良いと思う。
熱がある人は、お湯で作れるお粥などがあるとだいぶ楽だろう。

・ゼリー、プリンとか
特に発熱している人は必要だと思うので、常温保存可能なものを持っていくべし。ウイダーinゼリー的なゼリー飲料とかも良いと思う。
あとは、果物の缶詰とかあっても良いかも。

・おやつ
ポテチとかドライフルーツとか煎餅とか。いろんな種類をいっぱい持っていこう。私は全然持ってこなかったのでたいへん後悔している。甘い飲み物好きな人は、ココアとかもあると良いかも。

・入浴剤
これも気分転換に。

・お風呂の掃除用具
部屋の掃除は各自なのだが、肝心の掃除用具はコロコロしかない。お風呂の掃除用具は無いので、衛生面がちょっと不安。気になる人は余裕があれば持っていこう。
またこの辺はホテルによって対応が違うと思うので、入所時に聞いてみるのが吉。

・液体洗剤
洗濯用の固形石鹸は配られるのだが、使いやすさを考えたら液体洗剤の方が良いかも。まあ、どっちにしろ手洗い。手荒れるからハンドクリームも持っていこうね!

・爪切り
2週間あると爪は伸びる。忘れてしまったので後悔中。

標準装備で持っていった方が良いもの

これは旅行とかでも一緒だけど。思いつく限り書いておく。
抜け漏れあるかもしれないので、心配な方は「入院 持ち物」とかで調べると近しいものが出てくると思う。

・携帯、PCの充電器
・延長タップ(あると便利)
・健康保険証、身分証(一応)
・本、漫画、ゲームなど気分転換になるもの
・下着、洋服
・化粧品類
・メガネ、コンタクト、コンタクト洗浄液
・歯ブラシ、歯磨き粉(アメニティにもあるけど)

そんなところかな!

所感など

まあここまで、できるだけ明るく楽しく書いてきたつもりではあるが、はっきり言って精神的には辛い。
私の場合は、ホテル療養そのものよりも、自宅療養も含め外出制限が長期間に渡っていることが大きな理由だ。

私は普段、そこまで深く落ち込むタイプではないし、どちらかというとインドアなので家の中にいることには慣れているつもりだったが、長期間の外出制限に加えて、自宅以外の閉鎖的な環境に移ったことで、ここ数日で一気に気持ちが落ち込んできた。
ろくに運動もせず、日に当たっていないのも良くないと思う。
未知の感染症だから仕方ないと頭で理解しつつも、本音では1日でも早く外の空気を吸いたいと思っている。

この状況のなか、友人たちとzoomなどで話せることは本当に救いだ。毎日色んな界隈の友人・仕事仲間がオンラインで話をしてくれる。ホテルに入った初日はかなり落ち込んでいたが、友人たちと雑談をするうちに少しだけ前向きな気持ちになれた。本当にありがとう。

最近は毎日、気持ちの落ち込みを感じる中で、こうやって人間の精神は不調に陥っていくのだなぁと半ば観察するような気持ちになりながら、暗い気持ちに向き合い、抗っている。

あとは騙し騙し、外に出たらまず何を食べるかなどを考えながら、5/8まで生活をつづけるしかない。


***

さいごに

保健所の方・ホテルの方・現場に常駐されている看護師さんや医師の方には、財源的にも人的にも限られた資源の中、ホテル滞在者がなんとかベターな生活を送れるよう、日々大変な工夫をいただいていると思います。前回・前々回と繰り返しになりますが、重ねて感謝いたします。
特に看護師の方には、体調のほか、気分の落ち込みなども丁寧に聞いていただいており、それが心の支えになっています。

最前線で働く方々に敬意を表するとともに、関わってくださったみなさま全員の健康を願ってやみません。どうかご無事で。

そして、自宅療養中に亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。亡くなられた方々の不安や無念を思い、ともすれば自分もそうなっていたかもしれないということを考えるにつれ、とてもやりきれない気持ちになります。たとえ治癒しても、決して人ごとではないということを忘れずに生きていこうと思います。



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