6. みんな気になる「書く」とおかねのはなし
Nサロンの #noteチャレンジ の講座の一環として、noteを使って文章を「届ける」ための基本を教科書的にまとめたマガジンの第六弾です。
全体の目次はこちらからどうぞ。
最終章となる6本目は、「『書く』とおかね」をテーマにしました。
私自身、2年ほどnoteで有料マガジンを運営していることもあり、どうやったら課金してもらえるのかとか、ぶっちゃけnoteで稼げるの?といった質問をよくいただきます。
そこで今回はそもそも『書く』と『稼ぐ』についてまとめつつ、私自身の経験をもとに『書く』から『稼ぐ』へのステップについて書いていきたいと思います。
「書く」は「稼ぐ」につながるのか?
そもそも、『書く』は果たして本当にお金につながるのか?という話から。
まず書くことで稼ぐ方法は大きく分けると下記の3つに集約されると思います。
<「書く」ことで発生する報酬形態>
①原稿料
②企画/編集
③PR/広告
④出版
⑤直接課金
①が一番わかりやすいと思うのですが、1本書いていくらという原稿料形式で、プロのライターさんという括りは基本的にここに入ります。
相場は著者のネームバリューや文字数、専門性によってピンキリですが、ビジネス系の記事なら大体1本あたり1〜2万円くらいが相場なのではないかと思います。
専業ライターでない場合も、何かしら専門性のある人は寄稿というかたちで原稿依頼がくることもあります。
②はオウンドメディアを含めたメディア運営や企画の部分から入る形式で、①よりも企画/編集力が求められます。自分で執筆するのではなく、①の原稿料形式で外部ライターさんに依頼することもあり、仕事内容も『書く』というよりはメディア運営寄りになっていきます。
その分①よりもまとまった予算がもらえることも多く、専門性のある発信をしている人でれば、単発の寄稿記事ではなくメディア立ち上げの手伝いや特集のテーマ決めから入って企画自体から伴走するというスタイルもありえます。
①②はライター/編集者という既存の職種に近い報酬形態ですが、③はインフルエンサーに近いモデルです。
商品を提供してもらったりスポンサー費をもらって特定商品やサービスを宣伝するという形式で、インスタグラマーが一番イメージしやすいと思います。
自分でWordPressなどでブログ運営している場合はPR投稿に加えてアフィリエイトやGoogleアドセンスを貼り付けることもでき、広告モデルで収益が発生する仕組みを作ることもできます。
①〜③である程度名前が売れると出版社から持ちかけられるのが④の出版です。本人の経験や知見に基づくテーマで出版打診をされることもありますし、書籍ライターとして声がかかることもあります。
印税としてはだいたい最高で10%程度、ブックライターの場合は2、3%程度が相場だと聞いたことがあります(実際はかなりケースバイケースです)。
これまで個人が『書くで稼ぐ』というと①〜④のどれかがメインでしたが、noteが可能にしたのが⑤の直接課金です。
サポート機能や個別記事の販売、有料マガジンなどコンテンツと課金を紐づけることで個人でも簡単にコンテンツを販売することができるようになりました。
このように『書く』だけでもいろんな稼ぎ方があるのですが、個人的には発信のモチベーションを『書く』だけで稼ぐことに置くのはかなり危険だと思っています。
言うまでもなく世の中には大量の情報が溢れており、大抵の情報はスルーされる時代です。
どの手法を選ぶにしても1本あたりの単価は他の仕事と比べてもそう高くなく、労働効率としては高くないことがほとんどだと思います。
さらに書き手として最低限の能力を付け、名指しで『この人の文章が読みたい』『この人の文章にならお金を払ってもいい』と言ってもらえるレベルになるには相当な時間的投資が必要になるため、稼ぐことを目標にしすぎると途中で挫折する可能性も高まります。
では書くことに意味がないかというとそんなことはなく、発信によって転職や受注につながるなど、書くこと自体で稼ごうとするよりも『書いた先の結果』を見据えた方が結果的に収入的にもアップするケースが多いと個人的には思っています。
例えばアフィリエイトや直接課金で月に20万円コンスタントに稼ごうとすると2、3年は助走期間が必要ですが、発信をきっかけに本業の給料10万円アップ+副業で10万円であれば1年ほどあれば実現可能な範囲である上に才能によるボラティリティも低いはず。
私の周りでもnoteを含め、発信をきっかけに転職して年収がアップしたり、より自分にあった職場を見つけられたり、副業について声をかけられる機会が増えたりといった人はたくさんいます。
書くことそのものでお金を得ようとするのはなかなか茨の道ですが、すでに専門性や本業がある人であれば営業ツールとしてレバレッジをかけられるいいツールになりうるので、そんなスタンスで書いてみるのもおすすめです。
ただ、フリーランスの人の場合は少額でも継続的な直接課金の収入があると急にクライアントからの契約が終了した場合にも安定的な収入が確保できるという意味でおすすめすることも多いです。
直接課金はアドセンスやYoutubeの広告料よりもプラットフォームのルール依存が少なく、よっぽどこのことがなければ急に全額ゼロになるといったことはないので、毎月のベースを月額収入で換算しながらクライアントワークはボーナス扱いという認識で収支を考えておくと急に切られて焦ることも減るかなと。
ただこれも職種や個人の特性による向き/不向きがあるので、参考までに。
直接課金は具体的にどんなことができる?
これまでの『書くで稼ぐ』の方法の中でも比較的新しい部類の直接課金。
noteの場合はざっくり下記の4つの機能があります。
①サポート
②個別記事販売
③買い切りマガジン
④継続マガジン
①サポート
サポートのいいところは、販売しようと意識せずともいいnoteだと感じた人がいればサポートをしてもらえる可能性があるところ。
noteの下部にはサポートをもらったらどのように使うのかなどを伝えるセクションがあります。
このメッセージを充実させるだけでサポートの確度を上げることができます。
ちなみにサポートメッセージはPCの設定画面から、アカウント設定>リアクションのところから編集可能です。
記事やマガジンで課金をはじめるかどうかはこのサポートの動向をみるのが一番よいと個人的には考えていて、定期的にサポートをもらえるようになったら課金記事にチャレンジするタイミングかなと思っています。
いざ課金に挑戦してみようと思ったときは、まず②の個別記事販売からやってみることをおすすめします。
私は最近マガジン購読者しか読めない記事ばかり書いてしまっているのですが、たとえば下記の記事は単発でも読めるように設定しており、少し前の記事ですがいまだによく読まれているnoteです。
単発課金記事のいいところは、一本で完結するのでたとえそれが売れなかったとしてもダメージが少ないこと。
マガジンの場合は買い切りであれ継続であれ複数本書くことが前提なので、もし想定本数よりも売れなかった場合でも同じ労力をかけて記事を書く必要がでてきます。
なので、まずは単発の買い切り記事を書いてみて反応をみた上でマガジンに挑戦してみる、という順番が個人的にはおすすめです。
その際、課金が発生しやすいのは具体的なHow toや経験談、表では言いづらい裏話といった内容ですが、例えば何気ないコラムでも100円程度に設定してみてどのくらいの人が買ってくれるかを見てみるのも効果があると思います。
③買い切りマガジン
買い切りマガジンは複数本パックのnoteをまとめて販売できる仕組みです。
例えば私の場合はこの『文章を「届ける」ために意識したいこと 』マガジンも買い切りマガジンですし、過去にはこんな買い切りマガジンも作りました。
買い切りマガジンのいいところは、複数記事を書いて格納してしまえばあとは更新の必要性がないところ。
韓国視察マガジンのように、旅行記や一定期間中のチャレンジなどをまとめて販売するのにぴったりです。
また買い切りマガジンは共同編集者を設定することもでき、売上分配も簡単なので、ひとつのテーマを決めてリレー形式の有料マガジンを作るというのもおすすめ。
買い切りマガジンはイメージとしては出版に近く、以前noteのイベントにご登壇いただいた関口さんは『リスクの少ない最小出版』という表現をしながら講座の教科書としての有料マガジン運用について語っていただきました。
この使い方は当日のイベントでも『なるほど』の声が多く、私も有料noteの活用方法としてとても勉強になった手法のひとつでした。
(当日のイベントの様子は私のnoteにもまとめています)
ちなみに買い切り型マガジンは後から少しずつ増やしていくこともできるので、継続マガジンほどコンスタントに書く自身はないけれど、買い切りマガジンに1年の間不定期で有料noteを配信します!といったやり方もありだと思います。
このように買い切りマガジンはいろんな使い方ができるので、ぜひたくさんの方に活用していただければと思います!
④継続マガジン
そしてnoteといえばの継続マガジン。
こちらは課金ハードルが高いだけではなく、月額500円のプレミアムサービスの入会に加え、公式の審査が入るという意味でもハードルの高い手法です。
毎月の更新数をはじめに申請する必要があり、それを大幅に下回る月が増えてきたら強制終了の可能性もあるので、個人的には開始前に本当に続けられるか慎重に考えることをおすすめしています。
何よりはじめたものを安易に終わらせるのは本人の信用の問題に関わるので、ある程度続けられる目処と自信ができてからでも遅くはないのかなと。
継続マガジンは買い切りマガジンと違って毎月締め切りがくる形式なのでそもそも締め切りに苦手意識がある人にとってはすぐに重荷になっていきますし、『今月あと1本足りない』と思いながら書くのは本人にとっても書く楽しさが半減してしまうのではないかと思います。
特に継続マガジンで躓きやすいのはテーマ設定。毎月数本書けるわかりやすいテーマを設定することが肝になります。
bar bossaの林さんの相談コンテンツなどはネタも尽きない上に毎回林さんの回答が面白くてつい読んでしまうので、継続マガジン向きのネタだなと思います。
逆にHOW TO寄りのもの、一通り解説したらアップデートが少ないものは買い切りマガジン向きのネタなので実は専門性の高いビジネスマンほど継続マガジンに向かない人が多いです。
私も2年以上継続マガジンを続けていますが、コラム系の人の方がネタが尽きないという意味でも継続マガジン向きなんだろうなあと思います。
また前段で『フリーランスの人は個人課金コンテンツがあると安定するのでおすすめ』と書きましたが、継続マガジンに安易に手を出すと可処分時間だけでなく可処分集中力もかなりとられます。さらになまじ毎月の売上が立ってしまうと辞めずに辞められず、しかし毎月ゆるゆると減っていく購読者数…という焦りに直面することになるので、私は相当この人は合う!と思った人以外には勧めていません。
買い切りマガジンのところで書いたように、買い切り型にして不定期に追加していく方が精神負荷が少ないので、その手法から初めて毎月コンスタントに書けそうであれば継続に移行する、というやり方もありだと思います。
課金の基本的な考え方
ここまではオフィシャルに近い内容を書いてきましたが、ここからは個人的な経験を踏まえた課金についての考え方をまとめていきます。
まずよく聞かれるのが下記の質問です。
どのタイミングで課金をはじめるべきでしょうか?
この質問を受けた際に私がよく話すのは、
サポートからコメントをいただくのがいちばんの励みです。いつもありがとうございます!