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引き出すために大切な「相槌力」

普段、モデレーターやインタビューをする機会の多い私ですが、先日そのポイントを言語化して説明する場面がありました。

そのときにふと口からでたのが『相槌力』。

相槌をうまくうつというと、よく合コンの『さしすせそ』のような言葉をイメージされますが、それは『合いの手』に近いもので、本当の意味の『相槌』ではないと私は思っています。

相槌とは、相手を槌(=ハンマー)でたたくことであり、それはつまり相手の言いたいことを彫刻のように彫り出す作業に似ています。

そのためには、ただ反応のタイミングがいいだけではなく、話し手に『わかってもらえた』という快感を与える必要があるのです。

では、どういうときに人はわかってもらえたと思うのか。

私は聞き手が自分の言葉で言い換えた表現が『そうそう、そういうこと!』と思う瞬間こそが、話し手にとって一番興がのる瞬間なのではないかと思っています。

さらに言えば、単に言い換えがうまいだけではなく、具体的は話が複数出た時に『つまりこういうことですか?』と抽象化させたり、逆に抽象的な話を『例えばこれがあてはまりますよね』と具体化したものを提示すること。

この2つを行き来することが、話していて気持ちいという感覚を呼び起こすのではないかと思います。

モデレーターやインタビュアーはあまり自分の話を出しすぎないことがセオリーとされていますが、あまり行きすぎると一問一答の尋問のようになってしまうもの。

同意や反論の根拠となる自分の具体例を出しながら会話のように進めることが、本来話すつもりではなかったことを引き出すコツなのかもしれません。

以前、『モデレーター』で稼ぐために必要なことの中で事前準備の大切さについて書きましたが、こうした咄嗟の相槌力は直前に学んだ付け焼き刃の知識でどうにかなるものではありません。

幅広く、そして深く知識をもち、且つそれを瞬時に抽象化して説明する能力は、生きてきた時間と自分の人間力そのものが試されるものだからです。

私も全然足りないことだらけで日々勉強している身ですが、人に気持ちよく話してもらい、思ってもみなかった言葉を引き出すという目的をもって学べば、インプット効率も変わってくるのではないかと思います。

そして何より、人の話を引き出す力は日頃の会話の中で訓練できることのひとつでもあります。

私は今日も、自分が聞かなければこの世に生まれ落ちなかったであろう言葉を探すために、質問し、話を聞き、その話を誰より面白がって、自ら感動していきたい。

本を読むことと、人の話を引き出すことは本質的には同じなのかもしれない、なんてことを考えながらイベントや取材のための下調べと事前準備に精を出しているここ最近です。

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