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「いい人」であることを、思考停止の言い訳にしない。

manaveeの運営が終了してから、早1ヶ月。

終了までの流れや反省点が赤裸々に記されたサービス終了についてのお知らせは、NewspicsやTwitterでも大きな話題になりました。

読めば読むほどその悔しさ、無念さ、あのときこうしていればという後悔、そしてなにより大切に育ててきた愛情が文面からも伝わり、自分もサービスに関わっている者として、ここに書かれていることを教訓にして、自分の血肉として生かしていかなければと強く思います。

その中でも一番ハッとさせられたのは、この箇所です。

第一の反省点は、活動開始当初に想定した法律関係にあります。具体的には、動画コンテンツの著作権が講義作成者の先生にあるという点です。manaveeは、Youtubeと同プラットフォーム上にて定められた方法でのみ使用するというように権利を限定する形で、先生方との法律関係を結びました。この背景には、当時大学生であった私のナイーブな良心があります。ボランティアで依頼するにもかかわらず、その上動画の著作権までmanaveeに所属するというのは公平でないと考えたため、上記のように自ら権利を制限する旨を明文化した経緯があります。

ここを読んだ時、「ああ、これは私もきっと同じ間違いを犯してしまう」と思いました。

公平でありたい、誠実でありたいという思いが、建設的にビジネスを考えることを阻んでしまうというのは、誰も教えてくれないけれど、実はよくある落とし穴なのではないかと思います。

成功者の本や記事を読むと、いつも「誠実であること」「GIVEすること」、つまり「いい人であること」が最終的には重要であると書いてあります。

周りで成功している人たちを見渡してみても、みんな総じて「いい人」ですし、自分よりも相手のことを考えられる人たちだと思います。

だからこそ「いい人」でさえあれば、成功できると思い込んでしまう。

でも実際には、成功者がすべていい人だったとしても、逆にいい人であれば成功する、という方程式になっているわけではありません。

いい人であることをベースとして、成功するための仕組みを考え抜いてこそ、成功を掴むことができるのだと思います。

だからといって、manaveeが考えていなかったというわけではなく、いい人であるために払った代償が大きすぎて、そこから必死に考えても、どうしても挽回できなかったのだと思います。

自分が相手に価値を提供している自信がもてないとき、人は自分が譲歩することで心のバランスを保とうとします。

心理学用語でいう「返報性の心理」を逆手にとり、自分から譲歩することで、貸しをつくって優位に立つというのは、普段私たちが無意識にやっていることです。

しかし今回の事例のように、契約などの一度決めてしまったら取り返しがつかないことは、譲歩してはいけない場合もあります。

特に立ち上げ初期は、誰もが価値を提供できない存在です。

それでも、ここだけは譲れないという部分は、交渉を繰り返して突破するしかない。

これはとてもタフな決断ですし、この決断を誤ったことでダメになったものが、実は世の中にはたくさんあるのではないかと思います。

特に、今の30代以下は社会貢献への関心も高く、自分だけが得をしようとすること、またそう思われることに大きな抵抗がある人も多いように感じます。

そんな人たちが考えるべきなのは、目の前ではなくもっと大きな時間軸で考えたときに、「このサービス/商品がなくなったら、より多くの人を困らせる」ということです。

今という点で見れば、譲った方がお互いにメリットがあるし、そこを譲るだけならお金もかからない。

でも、譲ったことによってビジネスにおけるボトルネックになってしまったり、足を引っ張ってしまうようであれば、未来の自分たちのためにNOを言う力も必要だと思うのです。

いい人であるということは、相手の要求をそのまま飲むことでも、必要以上に自分を犠牲にすることでもありません。

今回かぎりではない、持続可能な関係性を作っていくために、お互いの主張をすり合わせる努力を惜しまない、そういう人が本当の「いい人」です。

「いい人」であることを、思考停止の言い訳にしない。

そのまま飲めば、譲歩すれば楽になれるとしても、コミュニケーションを重ねることを面倒がらない。

そんな姿勢こそが、自分を含めた周りの人みんなを幸せにするのだと思います。

***

と、ここまで書いてみて思ったのですが、manaveeは今回サービスを終了してしまったけれど、私はこの終了のお知らせを読んだことで、たくさんのことを学ばせていただきました。

こうした赤裸々な失敗の要因や反省点を公表するところは少ないですし、特にクローズのお知らせは極力話題になりたくないものだと思います。

それでもあえて情報を公開したのは、代表の方のステークホルダーへの真摯な思いとサービスへの愛情、そしてこれから起業しようとしている人たち(特に学生起業家)に向けて自分の学びを提供したかったからだと思います。

今回は終了となってしまったけれど、もし代表の花房さんが新しく何かを立ち上げられるなら、終了のお知らせを読んだ人の大半は、また応援したいと思うはずです。

短期的に壁にぶつかることはあっても、長期的に見れば、真摯に誠実であることで回り回って成功への道を歩んでいるのかもしれません。

いい人であるだけではダメだけど、いい人でなければ成功はできない。

そんなことを感じた1件でした。

***

(Photo by tomoko morishige)

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Retail Futurist / curator。「知性ある消費を作る」をミッションに掲げています。 将来は世界一の店舗メディアを作る予定。noteの有料マガジン「余談的小売文化論」とコミュニティマガジン「消費文化総研」もよろしくどうぞ!
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