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多動力は使い分けるもの

堀江さんが「多動力」という本を出してから、あちこちで「多動力」という言葉を聞くようになりました。

これまでは集中力がないとか、飽き性とか、ネガティブな言葉で語られていた特性が、この本をきっかけにポジティブな要素として捉えられる、大きな転換になったと思います。

しかし同時に、多動力は常に誰にでも必要なものではなく、フェーズによって多動力の強弱を調整すればいいのではないかと思っています。

生まれつき多動力が高い人というのは確実にいて、私自身もやや多動気味の人間です。

多動力を生かして異なるプロジェクトに様々なかたちで関わる人は、それぞれの問題を抽象化して捉え、解決方法を横展開することが得意な人が多いものです。

以前「これから必要とされるのは『横展開できるオタク』」という記事でも書いた通り、抽象と具体をいききして新しいものを生み出すのは、これからの時代に必要とされるスキルです。

しかし、多動力が高いということは、裏を返せばひとつのものにじっくり取り組むのが苦手ということでもあります。

多動力の高い人は、0→1を作るのは得意でも、1を10にし、10を20、30…と地道に積み重ねて100にしていく作業が苦手です。

せっかく新しい種を作っても、すぐに別のものに興味を惹かれてしまって、自走するところまで手がけきれないというケースも多々あります。

テクノロジーがどんなに進化しても、メディアやブランドなどの「信用」は一朝一夕にできるものではありません。

ブランドづくりにおいては、毎日少しずつ期待を超えていく安定感とあえて変わらない部分を持つことが重要ですが、これは多動力の高い人にとってもっとも苦手とするところです。

だからこそ、ある程度プロジェクトがかたちになってきた時点で回す力の高い人を組織に組み入れて、権限を移譲していく必要があります。

立ち上げ時点とある程度軌道に乗ってきた時点では、必要とされる資質が全く異なることをわかっていれば、自分の特性とフェーズに合わせてぴったりの人をアサインすることができるはずです。

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逆に、どんな人でも意識して多動力をあげた方がいいフェーズもあります。

それは、「Howを見つける」フェーズのとき。

自分自身が何かやりたいことがあるけれど、どうやって解決すればいいのか、何からはじめればいいのかわからないということは多々あると思います。

そんなときは、じっくり丁寧派の人だったとしても意識していろんなイベントに顔を出してみたり、人のプロジェクトに関わってみたり、並行していろんなコミュニティに属してみることで「これだ!」という化学反応が起きる瞬間があります。

「これだ!」という解決方法とさえ出会ってしまえば、あとはじっくり丁寧に育てていくだけ。
一度立ち上げてしまえば、あとは10年、20年のスパンで飽きずに育てられる人こそが強い世界です。

つまり、もともと多動力が強くない人が一定期間だけ多動力を意識することで、課題解決方法の発見と実行まで一貫してできれば、それが一番強いのではないかと思うのです。

「多動力」は最近のバズワードのひとつですが、「自分はそうはなれないから」と諦めてしまわずに、必要なフェーズで適宜取り入れていけばいいのではないか、最近はそう思っています。

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(Photo by tomoko morishige)

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