安定と依存を取り違えない
大企業を捨ててスタートアップに入ったということもあり、周りから「勇気があるねえ」「リスクとか考えたら怖くなかった?」とよく聞かれるのですが、私自身は真に安定したいと思った結果の決断だと考えています。
よく安定した仕事の象徴として取り上げられる大企業ですが、私からするとこんなにリスクの大きな環境はないからです。
制度的にも空気的にも社外活動が制限されるし、動かすお金が大きすぎて失敗できないし、1つマイナスがつくと出世レースから外されてしまう。
そして何より、その会社ひとつへの"依存"を求められる環境が恐ろしくてたまりませんでした。
この"依存"と"安定"を取り違えて話す人が多いように感じるのですが、ひとつのものに寄りかかるのは依存でしかありません。
図の右側のように、なにかひとつが抜けても立っていられる状態こそが"安定"なのです。
これは個人のキャリアだけではなく企業のクライアント構成比でも同じことが言えて、大口顧客に頼りすぎているとその企業の業績が悪化した時に共倒れになってしまいます。
プラットフォーマーが強いのは右の図のように利用者やクライアントが分散しているからで、サービス初期に大口クライアントからの受注をとるためにその企業に最適かしてはいけないと言われる要因はここにあるのではないかと思います。
多くの人は板の下にある支えはどっしりとした四角だと思っていて、そう簡単になくなったり小さくなったりするものではないと思っています。
でも実際には不安定な丸で、いつコロコロと転がっていってもおかしくないものです。
つまり「いくつまでなら丸が減っても生き延びられるか」が個人にしても企業にしても安定性を測る重要な視点なのではないかと思います。
だからこそ自分の名前で発信したり活動しづらい会社で働くことはリスクでしかないし、長時間働いてその後も会社の人と飲みに行くような、ひとつの場所に最適化する戦略は危険でしかないのです。
今自分は安定している状態なのか、何かに依存して思考停止しているのか。
その違いを意識するだけで、次に踏み出す一歩が変わるのではないでしょうか。
(Photo by tomoko morishige)
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私のnoteの表紙画像について書いた記事はこちら:人のフィルターを通して見る世界
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