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宇宙のしくみ、心のしくみ 意識の不思議

 では、量子の動きを確定し、物質化する観測者、すなわち意識の存在はどういったものなのでしょう。
 意識は現在の科学では脳で作り出されるとといいます。
 喜怒哀楽の感情は外界の現象を近くした事で脳内で起きるシナプスの発火や各種化学物質の分泌で起こります。
 宇多田ヒカルの「オートマチック」の歌詞の通り、恋しい人の姿を見ると自動的に胸が高鳴り、脳は恋愛モードに移行します。
 200年ほど前の超有名な哲学者。カントの時代から物心問題という問題提起が議論されてきました。
 物心問題とは、心は物からできているのか、それとも物とは違った存在なのか、という問題です。
 先ほど、意識が認識して初めて、物質は確率の波から物質化するという事を述べましたが、その意識は物質には直接触れる事ができません。
身体にある五感というセンサーにより、電気信号が脳に送り込まれ、それを脳が解析して初めて物質を脳が認識します。
例えば、りんごが良く例に出されますが、赤くて丸く甘いに匂いがするという情報を脳が解析して初めてリンゴがあるという事が分かります、こうして、脳が得た認識を脳科学ではクオリアというそうです。だから、意識はクオリアは感じることはできるけれども、直接リンゴにふれることができないと言われていました。
 カントさんの時代はこれ以上は分かりませんでしたが、現在では脳科学が進み、さらにおもしろい事がわかってきています。イギリスの医療ジャーナリスト、リタ・カーターさんの著書「脳と心の地形図」によると脳は単純な図形を認識するのに0.2秒、複雑な物体をそれと認識するのに、なんと0.5秒もかかってしまうそうなのです、だから、私はたちが認識しているこの世界は、0.2-0.5秒前のクオリア世界という事になります。
 さて、先の章で述べたように量子力学的には脳(意識)がリンゴを観測しなければ、リンゴの存在は確定されません。
 ここで、みなさんお気づきと思いますが、かなり不思議なことが起こっています。
 肉体がリンゴを見てから脳がリンゴを認識するまで、0.2-0.5秒の時間が必要なことです。
 また、厳密いうと、リンゴから跳ね返ってくる可視光線が人の網膜で像を移すまで、光の速度も有限なので、ほんの僅かですが時間が経過します。
 もうお気づきのように、何万光年も離れた星の光も同じ事が言えます。
 以上を踏まえるとリンゴ問題に関しては「リンゴは過去に遡って実体化している」または、「実体化したリンゴを意識がなぞっている」のどちらかということになります。
 論理的に考えると前者であれば、意識は過去に影響を及ぼすという事になりますし、後者であれば意識とは自律的なものではないという事になります。
 面白くなってきましたね。
 意識とはなんと不思議な現象なのでしょう。
 次はさらに衝撃的なお話です
 
 

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