ローカル

遅く起きた。まったり朝ご飯を食べ、まったり寝転び続け、家を出る直前にエンジンを入れて猛スピードで支度した。

アイメイクをダークな秋色にした。すこし心が躍った。夏には夏らしいこと、秋には秋らしいことをやる、というような単純さを持っていたい。

一個下のはとこがバイトをしているローカル回転寿司店に、母とふたりで行った。はとこは寿司コンベアの中で忙しなく動いていた。8番さんおあいそでーす!などと、今まで聞いたことがないほどの大声を張り上げていたので、すごいな、さすがだな、と母と言い合った。
チヌを初めて食べてみた。とくに特徴のない味でふつうに美味しかった。

ローカル回転寿司店をあとにし、ローカルショッピングセンターに行った。母は、靴下とか化粧水とかリトルマーメイドのパンとかを買ってくれた。
カプセルトイが大量に置かれたスペースがあって、一緒にぐるりと見たけれど何も回さなかった。私も母も、ある種冷めている。

近くの雑貨屋さんに行き、併設されているカフェでパフェとアイスコーヒーを頼んだ。母はキャラメルパフェ(キャラメルに目がないのだ)、私はプリンパフェにした。外で甘いものを食べたり、買って帰ったりすることに対して、母はまったく抵抗がない。そのおかげで、私は京都でも罪悪感を持たずに、しょっちゅう喫茶店を巡る大学生になってしまった。大変感謝している。

パフェの底にあるじゃりじゃりは、ナッツかくるみかポップコーンかわからなかった。味オンチだからな、と私が言うと、美味しいってわかればいいんよ、と母は笑って返した。

雑貨屋さんではスタンプラリーをやっていた。なにか商品を買えばビンゴになるはずだったが、ふたりとも欲しいものがなかったため手ぶらで帰った。

実家に着いてから、半年ぶりにピアノを触った。スコット・ジョプリンの「メープル・リーフ・ラグ」を超ゆっくり弾きながら、クラシックだけじゃなくてジャズも演奏できるようになりたいなあと思った。

窓際に横たわり、イヤフォンで音楽を聴き続けた。SUPERCARの「My Girl」が似合う陽気で、帰省してからの日々はなんて穏やかなんだろう、としあわせを感じた。
そのあとはマスカットをつまみつつ、稲葉真弓さんの『海松』を読み、冬の海辺でひっそりと暮らすような生活に憧憬の念をいだいた。noteでフォローしているあの方も好きそうな小説だなと勝手に考えていた。

母が作ってくれた美味しいご飯を食べてから、テレビで録画していた『沈黙のパレード』を一緒に観た。福山雅治さんがビールを飲んでいる場面はCMにしか見えなくて可笑しかった。

37週目

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