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かりん 2019.02 掲載作品

無題 加賀塔子

漁り火の灯らぬ港海底のやうなホテルの部屋に眠りぬ

わが背割れやがて枝もち樹が生えむ思考するたび木化する骨

きつとわたしこの人を好きになるいつか 伸ばされた手の産毛がひかる

抱きしめるといふよりしがみつくやうな 溺れないやう雨音を蹴る

まはりくる玉子の寿司の黄はけばくこの沈黙も流れてほしき

冬窓に化粧したる頰あてたれば窓は汚れぬしろく濁りて

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