英語の音声記号関連まとめ一覧
4月29日はフォニックスの日です。
日本の教科書などに見られる和製英語式発音記号/グロービッシュなどの発音表記をまとめます。(随時更新予定)
グロービッシュの音声記号は、東洋経済新報社・刊『世界のグロービッシュ―1500語で通じる驚異の英語術―』(著者: ジャン=ポール・ネリエール, ディビッド・ホン)を参考にしています。
注意点
ユニコードに採用されていないラテン字母は『にしき的フォント Nishiki-teki』の文字コードを示し、合字構成要素を表す記号として宇横並びの合字《⿰》, 縦並びの合字《⿱》, 囲み合字《⿴》を用いています。
i.t.a.の字母はユニコードで異体字扱いとして統合される可能性の高いものは、本来のラテン字母を示してします。i.t.a.で文頭あるいは固有名詞の頭文字に使用される大型小文字は、MUFI準拠の配列となっているにしき的フォントのコード配置で示します。
母音
ア段
アメリカ英語の短音‘O’[ア]は近年、長母音で発音される傾向が見られることから長音アーを表す〈ɑː〉で表記する辞書も見られるようになりました。ユニフォン文字《O》は長短の区別はされない表記となっています。
ユニフォン文字の曖昧母音はユニコード未登録のため、旧表記法〈ƎR・ⱻʀ〉で代用しています。
🈭A[ə ア]【和英《ə》―グロー《ə》―ユニフォン《U・ᴜ》―i.t.a.《a》】
🈜A[æ ア]【和英《æ》―グロー《æ》―ユニフォン《A・ᴀ》―i.t.a.《U+EEE0・a》】
🈜A[🇺🇸æ ア/🇬🇧ɑːアー]【和英《æ/ɑː》―グロー《æ/ɑː》―ユニフォン《A・ᴀ/O・ᴏ》―i.t.a.《〓・U+E99C》】
🈝AH[ɑː アー]【和英《ɑː》―グロー《ɑː》―ユニフォン《O・ᴏ》―i.t.a.《Ɑ・ɑ》】
🈴AR[ɑː アー/ɑ˞~ɑɚ アー]【和英《ɑː𝑟》―グロー《ɑː》―ユニフォン《OR・ᴏʀ》―i.t.a.《ɑ‹E99B›》】
🈭ER[ə ア/ɚ ア]【和英《ə》―グロー《ə》―ユニフォン《UR・ᴜʀ》―ユニフォン《OR・ᴏʀ》/―i.t.a.《e‹E99B›】
🈭ER[ɜː アー/ɝ~ɚː アー]【和英《əː》―グロー《ɜː》―ユニフォン《U+E748{ƎR}・U+E708{ⱻʀ}》】
🇺🇸🈝O[ɑ(ː) ア(ー)]【和英《ɑ》―グロー🇬🇧《ɒ》―ユニフォン《O・ᴏ》―i.t.a.《U+EEF0・o》】
🈝U[ʌ ア]【和英《ʌ》―グロー《ʌ》―ユニフォン《U・ᴜ》―i.t.a.《U+EEF7・u》】
🈴IE[aɪ アイ]【和英《ai》―グロー《aɪ》―ユニフォン《U+E74D・U+E70D》―i.t.a.《〓・U+E992{⿰ie}》】
🈴OW[aʊ アウ]【和英《au》―グロー《aʊ》―ユニフォン《U+E757{⿴Oˌ}・U+E717{⿴ᴏˌ}》―i.t.a.《〓・U+E99D{⿰ou}》】
イ段
イ段短母音は日本国内の教科書などではアイ《i》で統一されています。
🈜I[ɪ イ]【和英《i》―グロー《ɪ》―ユニフォン《Ɪ・ɪ》―i.t.a.《U+EEEA・i》】
🈜Y[i イ]【和英《i》―グロー《i》―ユニフォン《Ɪ・ɪ》―i.t.a.《U+EEFB・y, U+EEEA・i》】
🈜EE[iː イー]【和英《iː》―グロー《iː》―ユニフォン《U+E747{⿰ƎE}・U+E707{⿰ⱻᴇ}》―i.t.a.《〓・U+E991{⿰єє}》】
🈴ERE[ɪə イア/ɪɚ イア]【和英《iə𝑟》―グロー《ɪə》―ユニフォン《ꞮR・ɪʀ》―i.t.a.《i‹E99B›》】
ウ段
ウ段短母音は日本国内の教科書などではユー《u》で統一されています。
国際音声記号における短音ウはウプシロン《ʊ》ではなく研究社『新英和大辞典』などに見られるスモールキャピタル・ユー《ᴜ》で代用されることが多いです。
🈝OO[ʊ ウ]【和英《u》―グロー《ʊ》ユニフォン《U+E756{⿴Oǀ}・U+E716》―i.t.a.《Ꞷ・ꞷ》】
🈝U[u ウ]【和英《u》―グロー《u》―ユニフォン《U+E761{⿱¯U}・U+E721{⿱¯ᴜ}》―i.t.a.《Ꞷ・ꞷ》】
🈝OO[uː ウー]【和英《uː》―グロー《uː》―ユニフォン《U+E761{⿱¯U}・U+E721{⿱¯ᴜ}》―i.t.a.《〓・U+E99E》】
🈴URE[ʊə ウア/ʊɚ ウア]【和英《uə𝑟》―グロー《ʊə》―ユニフォン《‹E756›R・‹E716›ʀ》―i.t.a.《ꞷ‹E99B›》】
🈴UE[juː ユー]【和英《juː》―グロー《juː》―ユニフォン《U+E762{⿱U_}・U+E722{⿱ᴜ_}》―i.t.a.《〓・ᵫ》】
🈴URE[jʊə ユア/jʊɚ ユア]【和英《juə𝑟》―グロー《jʊə》―ユニフォン《Y‹E756›R・ʏ‹E716›ʀ》―i.t.a.《ᵫ‹E99B›》】
エ段
英語の音声記号におけるエ段短母音では狭いエを示すイー《e》が日本国内の教科書や辞書では主流ですが、近年はイギリスの容認発音に合わせて広いエを示すエプシロン《ɛ》を使用する辞書や語学書も見られます。
和製英語式発音記号では二重母音‘AIR’[エア]を示す発音記号は広いエとシュワーとイタリック体アールの連字〈ɛə𝑟〉が主流ですが、狭いエに置き換えた〈eə𝑟〉も見られます。
🈜E[ɛ エ]【和英《e》―グロー《e》―ユニフォン《E・ᴇ》―i.t.a.《U+EEE6・e》】
🈜AE[eɪ エイ]【和英《ei》―グロー《eɪ》―ユニフォン《Δ・U+E701》―i.t.a.《U+EAF1・æ》】
🈴AIR[ɛə エア/ɛɚ エア]【和英《ɛə𝑟~eə𝑟》―グロー《eə》―ユニフォン《ER・ᴇʀ》―i.t.a.《æ‹E99B›》】
オ段
🇬🇧🈝O[ɒ オ]【和英《ɔ》―グロー《ɒ》―ユニフォン《O・ᴏ》―i.t.a.《U+EEF0・o》】
🈝O[ɒ オ/ɔː オー]【和英《ɔ/ɔː》―グロー《ɒ/ɔː》―ユニフォン《O・ᴏ/Λ・ᴧ》―i.t.a.《U+EEF0・o》】
🈝AW[ɔː オー]【和英《ɔː》―グロー《ɔː》―ユニフォン《Λ・ᴧ》―i.t.a.《〓・ꜷ》】
🈴OR[ɔː オー/ɔ˞ オー または ɔɚ オア]【和英《ɔː𝑟》―グロー《ɔː》―ユニフォン《ΛR・ᴧʀ》―i.t.a.《o‹E99B›》】
🈝OE[oʊ オウ/🇬🇧əʊ オウ]【和英《ou》―グロー《əʊ》―ユニフォン《U+E755{⿱O_}・U+E715{⿱ᴏ_}》―i.t.a.《U+EFDD・œ》】
🈴OI[ɔɪ オイ]【和英《ɔi》―グロー《ɔɪ》―ユニフォン《U+E758{⿴Oˈ}・U+E718{⿴ᴏˈ}》―i.t.a.《〓・U+E9A0{⿰ɔi}》】
半母音・接近音・流音
教科書や辞書で用いられる発音記号のアール《r》は本来、国際音声記号で“ふるえ音”を示す子音字で、簡易表記では“接近音”のターンドアール《ɹ》の代替表記に転用されています。
日本語の和製英語式発音記号では、イタリック体アールが“Rの音色”を示す表記に用いられ、ユニコードでは数学記号用のU+1D45F《𝑟》を使用します。
半母音
Y[j ィ]【和英《j》―グロー《j》―ユニフォン《Y・ʏ》―i.t.a.《U+EEFB・y》】
W[w ゥ]【和英《w》―グロー《w》―ユニフォン《W・ᴡ》―i.t.a.《U+EEF9・w》】
WH[ʍ~hw ホワ/w ゥ/h ホ]【和英《hw~w ; h》―グロー《hw~w ; h》―ユニフォン《HW・ʜᴡ ; H・ʜ》―i.t.a.《〓・U+E995{⿰wh}》】
ラ行音
R[ɹ ル]【和英《r》―グロー《r》―ユニフォン《R・ʀ》―i.t.a.《U+EEF3・r》】
-R[◌˞ ァ または -ɚ ァ/◌ː ー または -ə ァ]【和英《𝑟》―グロー《r》―ユニフォン《R・ʀ》―i.t.a.《〓・U+E99B》】
L[l ル/-ɫ ルまたはゥ]【和英《l》―グロー《l》―ユニフォン《L・ʟ》―i.t.a.《U+EEED・l》】
子音
カ行・ガ行・鼻濁音ガ行
K[k ク]【和英《k》―グロー《k》―ユニフォン《K・ᴋ》―i.t.a.《U+EEEC・k, U+EEE2・c, ck》】
G[ɡ グ]【和英《ɡ》―グロー《ɡ》―ユニフォン《K・ᴋ》―i.t.a.《Ɡ・ɡ》】
NG[ŋ ン]【和英《ŋ》―グロー《ŋ》―ユニフォン《U+E753・U+E713》―i.t.a.《〓・U+E99A{⿵ŋ˚}》】
サ行・ザ行
S[s ス]【和英《s》―グロー《s》―ユニフォン《U+E753・U+E713》―i.t.a.《U+EEF4・s》】
SH[ʃ シュ]【和英《ʃ》―グロー《ʃ》―ユニフォン《U+A7CC(予)・U+E71C または Ꞩ・ꞩ》―i.t.a.《〓・U+E999{⿰ʃh}》】
TH[θ ス]【和英《θ》―グロー《θ》―ユニフォン《U+E75F・U+E71F》―i.t.a.《U+E99D{⿰ʈh}》】
Z[z ズ]【和英《z》―グロー《z》―ユニフォン《Ƶ・ƶ》―i.t.a.《U+EEFC・z, 〓・U+E994》】
SI-[ʒ ジュ]【和英《ʒ》―グロー《ʒ》―ユニフォン《U+E765・U+E725》―i.t.a.《Ʒ・ʒ》】
TH[ð ズ]【和英《ð》―グロー《ð》―ユニフォン《Ћ・U+E71E》―i.t.a.《〓・U+E998》】
タ行・ダ行
T[t ト]【和英《t》―グロー《t》―ユニフォン《T・ᴛ》―i.t.a.《U+EEF5・t》】
D[d ド]【和英《d》―グロー《U+EEE3・d》―ユニフォン《D・ᴅ》―i.t.a.《d》】
CH[t͡ʃ チ]【和英《tʃ》―グロー《ʧ》―ユニフォン《Ȼ・ȼ》―i.t.a.《〓・U+E99D{⿰ʗh}》】
J[d͡ʒ ヂ]【和英《dʒ》―グロー《ʤ》―ユニフォン《J・ᴊ》―i.t.a.《U+EEEB・j》】
TS[t͡s ツ]【和英《ts》―グロー《ʦ》―ユニフォン《TS・ᴛꜱ》―i.t.a.《ts》】
DS[d͡z ヅ]【和英《dz》―グロー《ʣ》―ユニフォン《DƵ・ᴅƶ》―i.t.a.《d‹U+E994›》】
ナ行
N[n ヌ・ン]【和英《n》―グロー《n》―ユニフォン《N・ɴ》―i.t.a.《U+EEEF・n》】
NY[nj ニ]【和英《nj》―グロー《nj》―ユニフォン《NY・ɴʏ》―i.t.a.《ny》】
ハ行・ファ行・ヴァ行
H[h ホ]【和英《h》―グロー《h》―ユニフォン《H・ʜ》―i.t.a.《U+EEEF・h》】
F[f フ]【和英《f》―グロー《f》―ユニフォン《F・ꜰ》―i.t.a.《U+EEE7・f》】
V[v ヴ]【和英《v》―グロー《v》―ユニフォン《V・ᴠ》―i.t.a.《U+EEF8・v》】
パ行・バ行
P[p プ]【和英《p》―グロー《p》―ユニフォン《P・ᴘ》―i.t.a.《U+EEF1・p》】
B[b ブ]【和英《b》―グロー《b》―ユニフォン《B・ʙ》―i.t.a.《U+EEE1・b》】
マ行
《m》はバ行・パ行撥音の表記に用いられます。
M[m ム・ン]【和英《m》―グロー《m》―ユニフォン《M・ᴍ》―i.t.a.《U+EEEE・m》】
特殊記号
国際音声記号では、強勢アクセントを示す小縦線は音節の前に配置されます。
日本の和製英語式発音記号ではダイアクリティカルマークを字母の上に付加して強勢アクセントを示す方式が主流で、JIS文字コード『JIS X 0213』では一部拡張ギリシャ文字で表記されます。
第1強勢[ˈ◌]【和英《ˊ : ǽ, ά, ái, é, έ, í, óu, ú》―グロー《—》―ユニフォン《ˊ : Á, É, Ó, Ú》】
第2強勢[ˌ◌]【和英《ˋ : ὰ, ài, è, ὲ, ì, òu, ù》―グロー《—》―ユニフォン《ˆ : Â, Ê, Ô, Û》】
音節の切れ目[◌.◌]【和英《◌·◌》―グロー《—》―ユニフォン《—》―i.t.a.《◌ʼ◌》】
固有名詞表記[—]【和英《—》―グロー《—》―ユニフォン《—》―i.t.a.《小型大文字化》】