いろいろな言語でWi-Fi/ワイファイ
6月20日は世界Wi-Fiの日です。
令和4年にユニコード15.0で〈U+1F6DC WIRELESS〉という無線記号《🛜》が導入され、Wi-Fiを意味するシンボルとして広まっています。
今回はいろいろな言語でWi-Fiを取り上げます。
いろいろな言語でWi-Fi
WiFiは英語〈wireless fidelity〉[ワイヤレス・フィデリティ]の略で、直訳すると“忠実な無線”の意味になるようです。音声再生忠実度を意味する〈Hi-Fi / ハイファイ〉に似た響きになっています。
言語によっては〈ウィーフィー〉と読まれ、ワ行音が存在しない言語では〈ヴァイファイ〉あるいは〈ヴィーフィー〉と読まれます。
【Wi-Fi , WiFi】ほとんどのラテン文字使用言語 - 言語によってはハイフン《-》の無い表記あるいはスペースで分かち書きされる表記となる。
【Wi-Fi / Waai¹Faai¹】広東 - 発音に対応する方言字が存在しないため、英語表記がそのまま用いられる。
【Wi-Fi / Wái-Fāi】中国 - 発音に対応する漢字が存在しないため、英語表記がそのまま用いられる。丸善出版・刊『世界の公用語辞典』では“wái fāi”と分かち書きで表記されている。
【Wi-Fi / ·𐑢𐑲-·𐑓𐑲】イギリス英
【Wi-Fi / 𐐎𐐴-𐐙𐐴】アメリカ英
【Wifio】イード
【Wae-Fae , WaeFae】フィジー
【Wai-Fai , WaiFai】スペイン
【Wai-Pai , WaiPai】ワユ
【Waj-Faj , WajFaj】スウェーデン、セルビア・クロアチア、ボスニア、マルタ
【Way-Fay , WayFay】スペイン、ブラジル・ポルトガル、ウズベク、インドネシア、セブアノ - ウズベク語のキリル文字表記では《Ԝ・ԝ》を含む表記に変化。
【Waý-Faý , WaýFaý】トルクメン
【Łaj-Faj , ŁajFaj】ポーランド
【Oai-Phai , Oai Phai】ベトナム
【Vai-Fai , VaiFai】ラトビア
【Vaj-Faj , VajFaj】セルビア・クロアチア
【Vay-Fay , VayFay】アゼルバイジャン、ウズベク
【Vi-Fi , ViFi】ラテン、アゼルバイジャン - ラテン文字正書法にダブリュー《W》が本来存在しない言語における表記。
【Vifio】エスペラント
【Γουάι-Φάι】ギリシャ
【Οὐάι-Φὰι , Ϝάι-Φὰι】古典ギリシャ
【ⲟⲩⲁⲓ-ϥⲁⲓ , ⲞⲨⲀⲒ-ϤⲀⲒ】コプト - ヨーロッパ式表記法ではギリシャ文字やラテン文字と同じく〈Ⲟⲩⲁⲓ-Ϥⲁⲓ〉という風に表記されるが、現行正書法では全文小文字表記となっている。
【ⳣⲁⲓ̈-ϥⲁⲓ̈ , ⳢⲀⲒ̈-ϤⲀⲒ̈】ヌビア - 全文小文字表記がルールのため、大小の区別のある〈Ⳣⲁⲓ̈-Ϥⲁⲓ̈〉は原則的に使用されない。
【𐍅𐌰𐌾-𐍆𐌰𐌾】ゴート
【Вай-Фай , ВайФай】ほとんどのキリル文字使用言語 - 東スラブ諸語における力点《ˊ》付き表記は〈Вай-Фа́й〉となり、英語と異なり第2音節にアクセントがある。
【Вај-Фај , ВајФај】セルビア、マケドニア、アゼルバイジャン
【Ви-Фи , ВиФи】マケドニア、タタール
【Уаи-Фаи , УаиФаи , Ауаи-фаи】アブハズ
【Уай-Фай , УайФай】ブルガリア
【Ўай-Фай】ベラルーシ - タラシケヴィツァ方式。
【Ԝај-Фај , ԜајФај】ボスニア、セルビア、モンテネグロ - ネット上ではクルド語WE《Ԝ・ԝ》は通常のラテン字母に置き換えられた〈Wај-Фај , WајФај〉が用いられる。
【Ԝай-Фай , ԜайФай】クルド - ネット上では通常のラテン字母に置き換えられた〈Wай-Фай , WайФай〉が用いられることが多い。
【Ԝи-Фи , ԜиФи】ボスニア、セルビア、モンテネグロ、クルド、ウズベク - ネット上では通常のラテン字母に置き換えられた〈Wи-Фи , WиФи〉が用いられる。
【Վայ֊Ֆայ】アルメニア
【Վի֊Ֆի】アルメニア
【ვაი-ფაი / ᲕᲐᲘ-ᲤᲐᲘ / Ⴅⴀⴈ-Ⴔⴀⴈ】ジョージア - ヨーロッパ諸文字体系に合わせて〈Ⴅაი-Ⴔაი〉や〈Ვაი-Ფაი〉のように大小文字の区別導入が提案されたこともあった。
【ვაი-ჶაი / ᲕᲐᲘ-ᲶᲐᲘ / Ⴅⴀⴈ-Ჶⴀⴈ】ラズ
【ויי־פיי】ヘブライ
【װײַ־פֿײַ】イディッシュ
【واي فاي】アラビア、モロッコ・アラビア、ジャウィ
【واي ڧاي】ウイグル - [f]は上1点付クヮーフ《ڧ》。但し、ネット上では前述のアラビア語と同一表記となる。
【وای فای】ペルシア、ダリー、ソラニー - [i]はペルシア語イェー《ی》。ペルシア語ではZWNJ合成による〈وایفای〉も存在。
【واى فاى】エジプト・アラビア - [i]はアリフ・マクスーラ《ى》。
【وائي فائي】シンド
【وائي فاءِ】シンド
【وائی فائی】ウルドゥー
【وي في】アラビア、アルジェ・アラビア - フランス語を公用語とする国や地域の場合〈ウィーフィー〉系統で読まれる場合がある。
【ڡای فای】西パンジャブ - アラビア文字ファー《ف》[f]の本来の字形である点無しファー《ڡ》はシャームキー文字ではワーウ《و》本来のヴァ行音[ʋ~v]と区別するためにワ行音[w]を示し、グルムキー文字WA《ਵ਼》に対応。
【ވައިފައި ، ޥައިފައި】ディベヒ - ターナ文字ワーヴ《ޥ》はワ行音[w]を示す本来の字母。
【वाइ-फाई】ネパール
【वाई-फाई / 𑌵𑌾𑌈-𑌫𑌾𑌈】サンスクリット
【वाई-फ़ाई】ヒンディー
【वाय-फाय】マラーティー
【ওয়াই-ফাই】ベンガル
【ৱাই-ফাই】アッサム、ビシュヌプリヤ
【ৰাই-ফ়াই】チッタゴン
【ਵਾਈ-ਫ਼ਾਈ】パンジャブ
【ཝའི་-ཕའི་ , ཝའི་-ཕའི།】ゾンカ
【𑐰𑐵𑐂𑐦𑐵𑐂 / वाइफाइ】ネワール
【ꠅꠣꠁ-ꠚꠣꠁ】シレット
【ꯋꯥꯏ-ꯐꯥꯏ / ৱাই-ফাই】マニプーリ
【વાઈ-ફાઈ】グジャラート
【વાઈ-ફ઼ાઈ】カッチ
【𑂫𑂰𑂆-𑂤𑂰𑂆 / वाई-फाई】ビハール/ボージュプリー
【𑒫𑒰𑒄-𑒤𑒰𑒄 / वाई-फाई】マイティリー
【𑠦𑠬𑠃-𑠟𑠺𑠬𑠃 / वाई-फ़ाई】ドーグリー
【𑚦𑚭𑚃-𑚟𑚷𑚭𑚃 / वाई-फ़ाई】カーングリー
【ୱାଇ-ଫାଇ】オリヤー
【ஒய்-ஃபை】タミル
【பை-ஃபை】タミル - 無声破裂音PA《ப》を含む音節の前にアイーダム《ஃ》が付加されると無声摩擦音FA《ஃப》となる。
【వై-ఫై】テルグ
【ವೈ-ಫೈ】カンナダ
【വൈ-ഫൈ】マラヤラム
【වයි-ෆයි】シンハラ
【ဝါဤ-ဖါဤ / Vāī-Phāī】パーリ
【ဝိုင်ဖိုင်】ビルマ
【ဝဲါဝှာင်】モン
【ဝၢႆႇၾၢႆႇ】シャン
【𑄤𑄭𑄜𑄭】チャクマ
【វ៉ាយហ្វាយ】クメール
【ไวไฟ】タイ
【ໄວໄຟ】ラオ
【ꦮꦻ-ꦥ꦳ꦻ / Wi-Fi】ジャワ
【ᬯᬿ-ᬧᬿ】バリ
【ᬯᬿ-ᭈᬿ】ササック
【ᮝᮄ-ᮖᮄ】スンダ
【ᜏᜌ᜔-ᜉᜌ᜔ / Wi-Fi】タガログ/フィリピノ
【ᜯᜬ᜴-ᜩᜬ᜴】ハヌノオ
【ᝏᝁ-ᝉᝁ】ブヒッド
【ᝯᝡ-ᝩᝡ】タグバヌワ
【歪ㄈㄞˋ / ㄨㄞ-ㄈㄞˋ】台湾華 - 英語版ウィクショナリーに記載されている表記。ファイは〈Fài〉と読む漢字が存在しないため、注音符号がカタカナと同じ役割となっている。
【와이파이】韓国
【ワイファイ / Wai-Hwai】沖縄
【ワイファイ / Way-Fay】アイヌ - ファ行音はアイヌ語本来の発音に存在しないが、方言によっては日本語と同一の発音となる。
【ዋይ-ፋይ】アムハラ、ティグリニャ
【ⵡⴰⵢ-ⴼⴰⵢ】アマジグ
【ꕎꔤ-ꕘꔤ】ヴァイ
【𞤏𞤢𞤴 𞤊𞤢𞤴】フラニ
Wi-Fiとは異なる表記
日本語では〈無線LAN / むせんラン〉と表記される系統で、Wi-Fiを指す場合があります。
【WLAN , W-LAN】ドイツ[ヴェーラーン]
【無線網絡 , 無綫網絡 / 无线网络 / Wúxiàn wǎngluò】中国
【無線網路 / ㄨˊㄒㄧㄢˋ ㄨㄤˇㄌㄨㄛˋ】台湾華 - 簡体字とピンイン表記は〈无线网路 / Wúxiàn wǎnglù〉。
【無線網絡 / Mou⁴sin³ mong⁵lok³】広東
【無線網路 / Bô-sòaⁿ bāng-lō͘】台湾
【无线网络 / Hhúxi manlok】上海
参考
『世界の公用語事典』庄司博史:編(丸善出版)
会話用例で、収録言語の大半における“WiFi”のカタカナ発音表記が見られます。
但し、中国語など一部言語を除いてラテン文字で表記されています。