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日本国有鉄道(1293字)

もう古い話。
昭和56年だったかな。
激しい国鉄バッシングのなかで、最後の新規採用者だったはず。
といっても、繁忙期に採用されていた(と思われる)臨時雇用員という身分で、試験を受けて入社する正規職員とは違い、臨時雇用員のうちの希望者が准職員となり、その後職員となれる。
そういうルートがありました。
おそらく61万人まで膨れた国鉄職員の大半は、そのルートだったでしょう。
どうしても国鉄に入りたくて、おふくろが友人に頼んで国労の偉い人に頼んでくれました。
「こんなにぼこぼこにやられまくってる会社に入りたいの」と笑われたっけ。
配属されたのは、名古屋保線区内の笹島保線支区。
管轄は関西線の一部と、東海道線の貨物2線。
作業員は少なくて、保線作業はほとんど外注化されてました。
検査係が測定し、外注に出す。

珍しく関西線の通り整正作業に出た日のこと。
軌道の張り出しやレール間の幅を手作業で調整します。
関西線はさすがに幹線だから新しいバラストが入っていて、なかなか人力では大変ということで、専用の油圧ジャッキを使ってました。
この油圧ジャッキ、大ハンマーでレール下に打ち込むんですけど、なかなかに難しい。
まっすぐに振り下ろし、当たる面を水平に当てないとまっすぐ入っていかないんです。
「くじら山、やってみるか」
珍しく保線長が同道してました。
「腰を落として振らんと、パイプの根元をうっちまうからな。折ったら弁償やぞ」

若者のこと、力はあります。
内心「こんなん軽い軽い」と思っていたけれども、やっぱりあたらないのね。
ジャッキには当たるけれど、入っていく角度じゃない。
力一杯に振り下ろすと外れて、バラストを叩く。

「ほれほれ〜、もっと腰落とさんと」
二度目の挑戦!
かちんっ!
「あーーーやっちまったかぁ〜」
ごっつい耐圧ホースからポッキリ折れた。
「ああーーーおまえさんの給料より高いぞー。しゃあねぇなぁ」
もちろん弁償なんてさせられませんよ、冗談です。

もうひとつあります。
これも関西線。
 関西線の名古屋方は近鉄に押され気味でしたが、当時は寝台特急も走っていた路線でした。さすがにPC枕木でしたが、ジョイント部分は木の枕木が入っています。これが張り出した場合、犬釘で調整することがあります。
普通は締結器が入っているのに。。。
バールで犬釘抜きました。
枕木がスカスカでバールを取り落としました。
信号が赤になりました。。。。
軌道短絡させたので、列車が来たことになりました(笑)
この時は助役もいたので、すぐにどこかへ電話していました。
その後も何もなかったかのように作業は進みました。
信号短絡させると閉塞内の列車はATSで抑制されたり止まったりするので、大騒ぎになるのですが、まぁよくあることなのでしょう。
一般人であればすごい額の損害請求されるとこです。。。

会社員の時期が短いので、あんまりエピソードがないんですよね。
正のエピソードもあるけれど、そんなんおもしろくないしね。
時代を感じさせる国鉄の話にしてみました。

国鉄で働いていても地方採用だと、日本国有鉄道ではなく、名古屋鉄道管理局なんですよね。
就職してから知りました。
警察なんかと同じですね。

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