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メカゴジラの逆襲

この作品が、いわゆる昭和のゴジラ最後の作品になったのは、作品の内容よりも時代の変化についていけてなかったからじゃないかと思えるほど作品レベルは悪くないと思えます。
はっきり言って面白い!
人間ドラマと怪獣バトルの内容がそれぞれに大変濃く、濃密感が高いのです。
メカゴジラなので、宇宙人が不可欠なんですが、薄っぺらく感じない演出と構成。
Asiaのジョン・ウェットンが3作目、アストラの売り上げが大幅に落ちた時に、「これが売れなければ何を作っていいかわからない」みたいな言い方をしたけれど、メカゴジラの逆襲についても東宝はそう感じたに違いない!
前作ゴジラ対メカゴジラは興行成績自体も良いとは言い難く、底上げ的に本多猪四郎氏を本編監督に起用しているし、背水の陣で臨んだと思われます。

この頃のゴジラにはウルトラマンが大きく影を落とす。
円谷(プロ)から見れば、ゴジラとウルトラマンは兄弟のようなものだけれど、映画作品の雄としてのゴジラは品格が必要である。
無料で見られるウルトラマンは、何をやっても許される。子供達が期待するものは怪獣バトルで、それだけを取り上げるウルトラマンはある意味価値固定。
ウルトラマンは質量一定の法則も慣性の法則も無視して良いが、ゴジラにはそれが許されない。
そういう縛りがゴジラを苦しめたに違いない。
平成になり大人もウルトラマンを見るようになったが、昔はそうではなかった。
軽いノリに見えるウルトラマンも、実は苦労して作られているという点に共感するようになった。
ゴジラはもっと雲の上の存在であるべきなのだ、とする考え方もきっと束縛のうちに入っていたのだろうし、ぼく自身もそう定義したいと思う。

ゴジラとウルトラマンは違う

結局本多猪四郎氏の力をもってしてもそれを越えられず、ゴジラは10年近く休むことになった。
今になれば、それはそれでよかったのではないかなと思えるが。


映画の感想ではなくなってきているので、こちらも目先を変える。
バトルには原点回帰っぽさを感じる。
ボコボコと殴り合う怪獣たち。
苦戦しながらも熱線を多用しないゴジラ。
中身の人は大変だったでしょう。

チタノザウルスの造形や、尻尾の膜で暴風を起こすなど苦し紛れな設定も見えるが、メガロに比べれば数段良い。
チタノザウルスがの最大の欠点は、チタノザウルススーツの構造ではないだろうか。
首から上には人が入っていないので、常にぶらぶらして落ち着きがない。
まるで速弾きしているスティーブ・ハウのようだ(おい!)
「そういうものだ」と開き直ってるように見えないでもない。

宇宙人が出てきて、地球征服を企む内容は相変わらず。そこに絡んでくる地球人のエピソードも少し凝っているし、なんと言っても平田昭彦氏の熱演!この人はマッドサイエンティストを演じさせたら最右翼なのだが、真船博士は芹沢博士よりも扱いは軽くて、もう少し人間味がある。娘役の藍とも子とセットでいい味を出している。ギャップではないんだけれど、影がある部分で2人を繋いでバランスを取って立っているような感じ(何を言っているんだ、おれ)。
藍とも子は確かにかわいいし、修理の時にサービスカットが見られたことがうれしい(明らかに作りものの乳房だけど、そこまでしてもいいというのは、役者さんの心意気だったのか。必然性は感じなかった)
ある意味サービスカットではあるが、これを見て喜ぶ世代はこの映画見なかっただろう、この時代。

個人的にはこれも評価が高い作品に入れていいと思う。
VIVA!メカゴジラ!

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