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Automatic For The People

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#終活

Automatic For The People #4

Automatic For The People #4

やっぱり自分はどん臭いなと思う。今日は夕食を食べた後断酒会に行き、そしてグループホームに戻ってきて時間が空いたので新しい本を読もうかと思って部屋を見渡した。でも、いつもならぼくの今の心に訴えかけてくる本があるのに、今は何もない。いや、どんな本も誰かに読まれることを求めているから存在するのだから深いことなど考えずに読めばいいだけの話なのだけれど、そうするとすでに今日一日でサリンジャーの短編集を読んだ

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Automatic For The People #3

Automatic For The People #3

前に書いたことをまた蒸し返すけれど、ぼくは育ちがいい読書家というわけではないので十代のうちに通った読書で印象的なものと言えば村上春樹に尽きるのだった。『ノルウェイの森』を通して十回くらい読み耽って、まだ幼い頭で「こんなにすごい小説が世の中に存在していたのか」と唸ったものだ。そしてそこからいろんな作家の本に手を広げていった。同時代に活躍してきた、もしくは同世代の書き手である作家を色々読んだことを思い

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Automatic For The People #2

Automatic For The People #2

今日、ぼくは病院に行った。そこでぼく自身の抱える自閉症スペクトラム障害のことを相談し、アドバイスをもらう。そしてそれが終わったあと、いつものようにイオンに行った。すると、わけもなく不安に陥った。どうしてかはわからない。それで気分を変えるために未来屋書店に行くことにした。そこで、ヤマザキマリ『壁とともに生きる』という本を見つけた。これは安部公房という作家について記された本で、読んでみると著者のヤマザ

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Automatic For The People #1

Automatic For The People #1

ぼくは本当に、自分ほどバカな人間は居ないのではないかと思うことがある。今日ふと、片岡義男のエッセイ集を読んでいて「今までたくさんの本を読んできたけれど、でもまだ読んだことのない本だってゴマンとあるんだよな」と思ってしまった。何度も、いつか読もう読もうと思って結局読めていない本の筆頭にあるのはトルーマン・カポーティというアメリカ文学の作家の『冷血』というノンフィクションだ。これは別段マニアックな本で

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