見出し画像

投資家 本間 真彦氏が語るQuollioの使命と期待 「データインテリジェンスで日本産業を変革してほしい」

Quollioは2024年6月、シリーズAラウンドにおいてDNX Venturesをリード投資家とし、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、およびIncubate Fundを引受先とした第三者割当増資により、7.5億円の資金調達を完了し、これにより累計調達額が10億円を突破しました。
これまでに、Incubate Fundはシードラウンドをリードしています。対談の中で本間氏に、データ領域の今後の可能性やQuollioに期待していることなどをお聞きしました。

右: Incubate Fund 代表パートナー 本間氏
左: Quollio Technologies 代表取締役 CEO 松元
Incubate Fund 代表パートナー 本間真彦 氏
慶應義塾大学卒業後、ジャフコの海外投資部門にて、シリコンバレーやイスラエルのIT企業への投資、JV設立、日本進出業務を行う。アクセンチュアのコーポレートデベロップメント及びベンチャーキャピタル部門に勤務。その後、三菱商事傘下のワークスキャピタルにてMonotaRO社等、創業投資からIPOを経験。2007年にベンチャーキャピタリストとして独立。ネット事業の創業投資に特化したファンド、コアピープルパートナーズを設立。10倍のファンドリターンを出す。2010年にインキュベイトファンド設立、代表パートナー就任。国内投資に加えて、シリコンバレー、インド、及び東南アジアの海外ファンドの統括も行う。

投資先を決定するポイントは「ファウンダー・マーケット・フィット」と「事業へのコミットメント」

松元:まずは、本間さんが投資先を決定する際に大事にしていることについて教えていただけますか。

本間:大事にしているポイントは大きく分けて2つあります。

1つ目は、やっている人とやることの領域がどのぐらいマッチしているかという点です。プロダクトと市場がフィットしていることも重要ですが、それと同じようにファウンダーと
マーケットのフィットも大切です。その人のバックグラウンドとやっていく方向がマッチしていないと、チームを作ったり、質の高い製品やサービスを作ることが難しいと考えています。

2つ目は、コミットメント能力があるかどうかという点です。ファウンダーは事業を軌道に乗せるためにもある程度のハードワーキングが必要です。仕事に取り組む積極的な姿勢というのも投資先を決める際の重要なポイントですね。

松元:ありがとうございます。本間さんは「インサイダーのアウトサイダー」ということをよくお話しされていますが、その点についても教えてください。

本間:ファウンダー・マーケット・フィットという観点でのお話になりますが、大きなマーケットの中ではインサイダーでないと、その領域の知見がないですし、その人が言っていることをお客様が信用してくれません。特に医療領域などの専門性の高い領域ではそれが顕著です。その一方で、インサイダーでありすぎると身動きがとれない状態になってしまうことも多いです。その業界の中にいた人が外に出て、アウトサイダーとしてしがらみがない状態で取り組むと、物事が動きやすいというスタートアップならではの構図があると考えています。その両軸がうまくはまっている人の方が成功しやすいと思っていますし、松元さんは非常にその点が合致していると感じていますね。

松元:ありがとうございます。私はKPMGでデータ職種を経験しているので、この業界のインサイダーでありつつ、そこから外に出てきたアウトサイダーであるという点で、本間さんから見ても投資対象としての適性があったのかもしれませんね。

本間:そうですね。また、松元さんは年齢の割にはとても落ち着いており、若くて圧倒的に成熟度が高いタイプの起業家だと思います。その印象は最初に会った時からあまり変わっていない部分ですね。

日本にはAIやデータ領域で勝負するスタートアップが少ないからこそ、Quollioは大きな可能性を秘めている

松元:では、データ領域の今後の可能性について、本間さんはどのようにお考えでしょうか。

本間:これからは裏側の仕組みにいかに投資をしていくのかがポイントになってくるので、データ領域は大きな可能性を秘めていると感じています。我々は日本だけでなく、アメリカの企業に投資をすることも多いのですが、日本とアメリカでは決定的に違う部分があります。それは日本と比べて、アメリカではAIやデータ領域でものすごい額の投資がされているという点です。

私がそのような部分を実感したのは、アメリカと日本のタクシーのアプリケーションにおける違いを見た時です。見た目はそこまで大きく変わらないのですが、裏側の仕組みへの投資によって、実際のアプリケーションの挙動は大きく違っており、まったく異なるアプリケーションになっています。今後はAIやデータ領域などの裏側の仕組みに投資をしなければ勝てない時代がやってくると考えていますし、ユーザーもそのようなサービスを選ぶ時代が来ると確信しています。

日本では会計システムや人事管理システムなどのサービスやアプリケーションレイヤーのスタートアップが多いのですが、その一方でAIやデータ領域のスタートアップが非常に少ないです。そのような観点からも、Quollioは大きな可能性を秘めていると考えています。

松元:おっしゃる通り、CX(顧客体験)観点ではタクシーなどにとどまらず、金融や通信、小売業など、いわゆるToCの業態でデータ領域への投資量は目に見えて大きいです。また、製造業はじめToB業態であっても、会計や人事などの基幹系をはじめ、企業が持つ異なるシステムの裏側にあるデータを一元管理しておき、経営の意思決定の粒度に合わせて統合的に分析・レポーティングしていく必要があります。つまりToCのみならず、多様な業態が経営を行う上でデータマネジメントを避けられないと確信しています。

本間:オンプレミスからクラウドに移行することで、今までできなかったデータの解析も可能になってきています。今までバラバラだったデータを繋げて解析することが前提になると、データに対する考え方や応用範囲が大きく変わってきますよね。

松元:本当にその通りだと思います。解析できるデータ量が圧倒的に増えただけでなく、AIなども含めて解析の方法も進化しています。これからはできることが掛け算的に無限に広がっていく状態になると感じていますね。

本間:実際に北米ではAIやデータ領域に莫大な投資をしており、投資している国とそうでない国の差は歴然としています。日本もお客様のニーズに応えていくためには、この分野の発展が不可欠だと考えています。

根本的には全て仮説通り、Quollioの3年間はとても順調

松元:本間さんと初めてお会いした時の話もしたいのですが、どのような経緯でQuollioのことを知ったのですか?

本間:当社の若手メンバーがQuollioのことを見つけ、社内ミーティングで共有してくれたのがQuollioを知ったきっかけです。私自身、元々データ領域においてスタートアップが少ないということを感じており、そこに勝機があると思っていましたね。

その後、投資意思決定者だけが集まる資金調達・事業相談会である「Circuit Meeting」で初めて松元さんと会ったことを覚えています。

松元:私もその時のことはよく覚えています。本間さんに「待ってました!やりましょう!」と言われた時はスピードに驚きました(笑)

本間:私は投資するかどうかの判断を一瞬ですることが多いんですよね。私の中で仮説を立てており、イメージしているものに近ければ投資をしようと考えています。詳細を詰めていくのはそこからということが多いですね。

松元:本間さんから見て、この3年間のQuollioの成長について、どのように感じていらっしゃいますか?

本間:ぶっちゃけた話、ものすごく順調だと思いますよ。スタートアップにとって、資金調達をして組織を作り、プロダクトを開発して売っていくという部分は本当に難しいフェーズです。しかし、Quollioの場合はこの3年間で根本的な方向転換を迫られるようなことは特にありませんでした。もちろん日々の細かいレベルでの苦労はたくさんあると思いますが、プロダクトのリリースも早かったですし、組織づくりに関してもうまく適応できているように見えます。おそらく松元さん自身が勉強して対処法を学んでいるのだと感じています。経験したことのない課題に直面しても、仮説を立て、自分なりの考えを持って進めているところは松元さんの素晴らしい部分だと思いますね。

また、松元さんは他の投資家の方からの評判もすごく良いですね。真面目に事業に取り組む姿勢が素晴らしく、大手企業とのコミュニケーションもしっかりできています。松元さんは人としての信頼度もかなり高いですね。

松元:ありがとうございます。今も学びの日々ですが、事業の潜在課題を意識したり、潜在機会を逃さないようにしたり。少し先と現状リソースを天秤にかけながら、やることやれないことの取捨を心がけています。本間さんから、事業やビジネスの考え方、意思決定をするプロセスなど、創業期より多くを学ばせていただいています。

Quollioの特色は、多様性のある組織づくりとエンタープライズ向けのビジネス展開

松元:では、本間さんから見て、Quollioのユニークな点はどのような部分でしょうか。

本間:Quollioのユニークな点は大きく分けて2点あると思っています。

1つ目は、多様性のある組織を作っているところです。一般的なスタートアップだと、同質的なカルチャーを作ることでコンフリクトやストレスを減らそうとする傾向があります。その点、Quollioは多様なバックグラウンドを持つメンバーを採用していて、ダイバーシティを大事にしている印象があります。これは中長期的な成長を考えた時に大きな強みになる部分だと感じています。そういう点ではQuollioはシリコンバレーっぽいかもしれないですね。

2024年6月現在、約30名のフルタイムメンバーが在籍。欧州から南米、北海道から沖縄など、様々な出身、拠点のメンバーが稼働しています。

実際にシリコンバレーではアメリカ人はもちろん、イギリス人やインド人、中国人などさまざまなバックグラウンドを持った人材がいて、多様性のある組織をつくれる土壌があります。そのような意味で、多様性のある組織づくりができていないというのは、多くの日本のスタートアップの課題だとも考えていますね。ダイバーシティな組織を作れれば、色んな投資家を呼びやすいですし、開発拠点も新たに作ることが可能です。日本にはあまりないモデルをQuollioは作ろうとしているので、Quollioが素晴らしい前例を作ることで次世代のスタートアップに繋げていってほしいと考えています。

2つ目は、エンタープライズ向けのビジネスを最初から狙っているところです。BtoBスタートアップの多くは、まず中小・中堅企業をターゲットにして実績を作り、徐々に大企業に展開していくのが一般的です。しかし、Quollioは初めから大企業に営業をかけることができています。これもQuollioのユニークな点だと思いますね。

松元:ありがとうございます。1つ目の多様性のある組織ということに関して、当社は開発の外国人採用や、営業のシニア採用を積極的に行っています。ただ、実は最初からそのようなものを目指していたというよりは、事業をもっと成長させていきたいという考えから逆算した結果として、多様にならざるを得なくなった。徐々に多様性のある組織になっていったという方が正しいかもしれないです。実際にメンバーは多様性を楽しみ、多様性があるからこそ入社を決めてくれている方も多い。実は、多様性がある組織で働くことは非常にチャレンジングだと思っています。私も前職がそうでしたが、日本語であれ英語であれ言語がわかればいいかというとそうではなく、働き方やコミュニケーション方法にはじまるお互いの「当たり前」を戦略的に擦り合わせていかないとワークしない。当社に来るメンバーは、そういった挑戦を前提とする環境で働いてきたメンバーなので、プロアクティブでプロフェッショナル意識が高く、成果にコミットする優秀な人材が集まってくれています。

2つ目のエンタープライズ向けのビジネスを最初から狙っていたという部分ですが、創業当初からそのような戦略を描いていました。メタデータ管理やデータガバナンスは極論「組織の複雑性」が生む課題なので、大企業になればなるほどデータガバナンスにおける課題は複雑になっていく傾向が強く、この領域で勝負するからには最初から大企業を狙うしかないと覚悟し、必死に取り組んでいましたね。結果として、組織の報酬体系から製品アーキテクチャまで、エンタープライズ向けビジネスを前提とした設計で始められています。設計に関する部分は途中で変更しにくいので、Day1からエンタープライズをやっている我々の優位性だと考えています。

Quollioには、データ領域における中心的なプレイヤーになってほしい

松元:今後のQuollioに期待することはありますか?

本間:データ領域は「Snowflake」をはじめとするアメリカのジャイアントが複数いるマーケットですが、国産のプレイヤーが活躍する世界を見てみたいですね。実際に日本の大企業が海外製品ばかりを使っていては、日本産業の成長もないと考えています。Quollioには、日本の大企業に対してデータインテリジェンスの概念を仕組みとしてインストールし、データ領域における中心的なプレイヤーとして、日本産業を牽引するような存在になってほしいです。

松元:心強いお言葉をいただき、ありがとうございます。国内産業の発展に貢献できるよう、データ領域のリーディングカンパニーを目指して頑張っていきたいと思います。本日は貴重なお時間をいただき、本当にありがとうございました。

本間:こちらこそありがとうございました。今後もQuollioの支援をしていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。


積極採用中!
Quollioでは、チームを強化するため積極的に採用を行っています。注目の高まるデータマネジメントの領域で活躍する人材を募集しています。
採用情報 | Quollio Technologies

株式会社Quollio Technologiesについて
世界中の情報と知を繋げ、人々や企業が繋がり、新たな価値創造を促進する未来を築くことをミッションとしているデータテクノロジーパートナーです。Quollioは、メタデータ管理技術とソフトウェア開発力を軸に、企業のデータにまつわる経営課題を解決し、社会のデータ & AIからの価値創造を促進します。

【会社概要】
会社名:株式会社Quollio Technologies
会社URL:https://quollio.com
所在地:東京都千代田区麹町5-3-23 日テレ四谷ビル
代表取締役:松元 亮太
事業内容:データインテリジェンスに関する製品の開発・提供