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墨色の海の底で 5
冷たい風だけが私の頬を通り過ぎていった。今日もまた、居場所なんてどこにもないように感じる。
電車のホームの階段でふらつきながら足を進める。踏み外して怪我できないだろうか。そうして休めないだろうか、と。
あんたなんて死ねばいいのに_聞こえるはずのない声が聞こえて、私は耳を塞いだ。
忘れられない。嵐が彼女を闇の中に閉じ込めたかのように、衝撃的なそれを。
きっとただ、彼女もこの競争に塗れた恐ろしい世界で生きるのが嫌になったんだ。
だから彼女は、死んだんだ_
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