第5回 6月の動き

 会社というのは生き物らしいので,日々何かが起きる.その全てを記述するのは難しいので,業績に直結しそうなものをピックアップして経営陣の動きを追っていく.

面談

 会社では年に一度,トップとの面談がある.昨年度のことや今年度のことについて1対1で話をする重要な機会である.しかし,私はこの2年ほど意味がないと思い,提案をせずに話を聞くだけであった.分かったことは年間に約5,000万円の赤字が出ていることぐらいである.
 1つ気になることは,利益を大きくもたらしている事業,ドル箱①(このことについても別の機会に説明をする)に手を付けようとしようとしていることである.赤字なのに人を雇い,機械の導入を検討していた.トップだから何をしても構わないと思っているが,これにより現場は混乱しパフォーマンスは下がる可能性が高い.
 私は「上の人たちにやる気がないのでアイデアはあるけど言いたくないです」とだけ言った.
 全てにおいて残念な経営戦略を聞かされた.

懇親会

 業界内の企業と関連業界の企業が一堂に会して懇親会が行われた.普段はライバルだが,業界全体が盛り上がるための企画である.そこへなぜか私と,現トップTの二人で参加した.絶対に私の仕事ではなく,統括Hの仕事だと思っているが,日時と場所の設定上,上司である営業Sも行きたがらなかったので私に役がまわってきた.参加者は会社のトップと営業部長クラスばかりである.
 各社1分間のスピーチタイムでは,なぜか私がすることに.会社によっては,トップが挨拶するだけで後は営業が喋る,というパターンもあったが,私はトップセールスに期待をしていた.間違いなく時間内でアピールする自信がなかったのだろう.
 歓談の最中はそれぞれ別の席だったので,現トップTが誰とどのような会話をしたのか分からない.飲みが専門の私はというと,関連業界の企業と有意義な時間を過ごすことができた.特に,隣の席になった関連業界に新規参入の弱小AWとはしっかり話ができた。会場の隅の席ではあったが楽しくお酒が飲めて,お互いの考え方を知ることができた.後日,弱小AWへ訪問した.長い付き合いになることを期待している.

イベント①

 今年の業績の3分の1程度を決定付けるイベントがあった.このイベントの数字もコロナ禍以降は右肩下がりで,減少傾向である.そこで私は,2つの場所に重点的に宣伝活動を行った。
 1つは海沿いの場所.ここは統括Hも重点地域と言っていたが全く効果が無かった.私の戦略のもと,派手に宣伝をした結果,この場所は前年より10倍の数字を出すことができた.単純な数字だけではなく,利益を大きくもたらしている事業,ドル箱②と,この場所は親和性があることも分かった.これにより統括Hの意味のない宣伝活動をさせないように釘を刺したいのだが,現トップTは「統括Hの地道な仕事により…」と評価しそうだ.
 もう1つは山沿いの場所.ここは昔から縁のある場所ではあったが,私が勤め始めた頃から少しずつ疎遠になっていた。昨今の状況ではチャンスがあると思い,派手に宣伝をした結果,前年より2倍の数字を残すことができた.
 最終的な結果は前年比110%という数字になった.この小さなヒットを連発することで,どこかでのスマッシュヒットにつなげたい.
 余談であるが,昨年,別のイベントに参加していた人が私の話を聞いて,今回参加していたようだ.その別のイベントは,うちの会社としてはうま味はなく,消極的な人も多いようだが,そこからお客さんを引っ張ってきた離れ業に,上司である神官Pも驚いていた。

戦略会議

 なぜかこの時期に戦略会議が行われた.正直,私は令和7年か8年に向けてだと思っていたが,どうやら本年度の戦略を考えていたらしい.おそらく,トップとの面談の中でそういう意見が出て,イベント①の後だと日程調整がし易い,ということで開催されたのだろう.広く意見が欲しいようなので参加は自由.ということで,私は他の仕事もあるので不参加.どれだけポンコツな会議だったのか別の機会に紹介しよう.

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