スタンド・バイ・ミー

 何日間かひとりで遠くに来ることになったので、できるだけ多くのものを観たり読んだりして、感じたことをなるべく言葉に残しておきたい、の第一日目。

 「死体探し」の物語が観たくて思い出した映画。十数年ぶり。小さい頃に観て以来だったから、印象に残っている画面はあったけれどその内容はほとんど忘れていた。冒頭の新聞記事とか、焚き火のそばで彼が泣いていた理由とか。
 四人とも傷を抱えていた。それは誰か個人の意思によるものというよりも、システムに傷つけられたもののように見えた。戦争によって傷ついた肉親による暴力、男性社会的な暴力、より不条理な死と、それに傷つけられたものからの暴力、システムの末端に寄せられる皺。
 彼らのうち、誰かに完全に共感することはできない。でも彼らの抱えるものの断片は、少なからず自分の内側にあるものだった。内向性、弱さ、偏見じみた社会の目、父親への複雑な感情、臆病さ。ご都合主義的にそれらを克服すること、まったくなかったことにすることはできない。深い火傷の痕のように、呪いのように、一生涯つき纏うものなのかもしれない。私たちにできることは、その度ごとに儀式めいたことをして、折りあいをつけていくことだけなのだろう。逆に言えば、ちゃんと、後腐れのないように折りあいをつけることが大切なのだろう。

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