地獄の黙示録

 昨日「傷ついた退役軍人の息子」が出てくる映画を観て、奇しくも今日は戦場にいる(いた)軍人の物語を観た。まえに『闇の奥』を読んで、やはり「何かを探す」物語が観たかったというのがはじめの動機だった。筋書きがほぼ同じだった。『羊をめぐる冒険』よりも『虐殺器官』をより思い浮かべた、主人公が染まっていくという要素をより強く感じたからかもしれない。主人公は最初から狂っていた、でも俯瞰的な目を持ちあわせていた、戦場のほうがより狂っていたせいかもしれない。大勢の軍人たちにとって戦争は娯楽に似て映り、溺れ、意志や当事者意識などなかった。それは防衛反応なのかもしれないけれど。対して「闇の奥」に身を潜める人物は、本当の自由とは何かを問うていた、ある意味では現実から目を背けることをせずに、暗闇のなかから目を光らせていた。それにしても地獄(The horror)だった、でも現実はもっと淡々と地獄なのだろう。

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