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映画『プーと大人になった僕』を観てきた

『プーと大人になった僕』を観てきました。ディズニーアニメの実写化作品は数あれど今までのものはどれもそこまで思い入れのあるタイトルではなかったのですが、くまのプーはやはり別格でした。幼少期、飽きるほどに(飽きなかったけれど)何度も何度も繰り返し観ては、その世界観に浸っていたのです。しかも今作は単なる実写化ではなく、いわゆるこどもの心を忘れてしまった人へ向けた映画となっていたため、その点でも良いものでした。

ディズニーで似たようなテーマを扱ったものだと、少年(10歳くらい?)から青年となり、いつしかしまったままになっていた大切なおもちゃたちへ大学入学を機に別れを告げるか迷うアンディを描いたトイ・ストーリー3がありますが、あれはしまったままになってこそいたもののまだ大切に思う心が残っており、最後には素敵な形でお別れする内容でした。

それに対して今作のクリストファーロビンは、まだ幼いうちに100エーカーの森と友だちに別れを告げてしまっています。社会の荒波に飲まれているうちに、妻と娘こそいるものの仕事一筋で家族を顧みない人間になってしまったクリストファーの前に突如姿を現したプー。仕方なくプーに付き合ううちに、クリストファーがなくしていた大切なものを取り戻すお話。

簡単に言えばそんな内容なんですが、そこはやはりプー。詩的というか、哲学的というか、本人としては大したことを考えていないようで、言われた方はハッとさせられるような言葉がいろいろ出てきます。クリストファーは変わってしまったけれど森の仲間たちはみんな変わっておらず、懐かしさと笑いとちょっとの涙が同時に込み上げてきました。別に泣かせるようなシーンでもないのにね。それくらい、刺さったということかな。

映像面もとても良く、みんなぬいぐるみだから実写ならこういう姿になるよな…と違和感なく観ることができました。でもあのモフモフのぬいぐるみにハチミツがついたら落とすのが大変そう。

ちなみに観たのは吹き替え版です。そもそもそっちしか上映してなかったのですが、たとえ字幕版があってもたぶん吹き替え版を観たと思います。知っているプーは日本語で喋っていたし。既に元の人が亡くなってしまったなどの理由で何人か声が変わってはいたけれど、ちゃんとした人たちを選んでくれていたようで違和感はなかったです。今でも現役バリバリの玄田哲章さんの変わらずの声でティガーのあの歌がまた聞けた時、思わず吹き出してしまった。クリストファーは『半沢直樹』や『リーガルハイ』で有名な俳優の堺雅人さんが吹き替えを担当していると鑑賞前から把握しており、まああの人ならとそんなに不安は無かったが、予想通りいい演技をしていた。彼の大ファンの人なんかだと、どうしても本人の顔がチラつく可能性はある。そこは各自判断で。

そして映画の最後には、昔観ていた人にはお馴染みのあの言葉。あれにはやられた。いや、あれに"も"か。

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