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すべてがFにならなかった場合の対処法36

風が強い
埃っぽさが混じる風だね
春の嵐だ

さて、今日はどんな夜を過ごしているだろうか
もうそろそろ寝る時間だろうか
読書でもしているのだろうか

君は、言葉にすることを苦手だと思っているようだから、それについて考えてみた
何かアドバイスできればいいな、と思って

自分は文章を書く仕事をしていたけど、
もともと、言葉で考えているほうではない
いつも頭の中には、イメージしかない
イメージ、つまり画、絵、もやもやとしたものだ
それをなんとか掴んで
知っている単語に変換して、なんとかやっとの思いで言葉にしている

絵だけの絵本があるよね
自分の頭の中は、いつもそんなふうだ

ところで、君は、誰かに伝えようと言葉を尽くしたけど伝わらなかった、という経験があるだろうか
もどかしかったり、悲しかったり、寂しくなったりしたかも知れない

大丈夫、どんな人も同じように経験しているから

なぜもどかしくなったり、悲しくなったりしたのか考えてみよう

まず、君は言葉にすれば伝わるものだ、と思っていないだろうか
うん、そうだね、わかるよ、という相づちをすることが、正しいコミュニケーションだと思い込んでいないだろうか

実際は、言葉をどんなに尽くしても伝わらないことは多い
もし、言葉にするだけで伝わるものならば、
音楽も絵も写真も、あらゆる芸術作品が必要ないし、きっと争いだってなくなる
たかだか数万年の歴史しかない言語という道具に
すべて言い尽くせる機能があるはずがない
ましてや、そんな能力を自分も他人も持っているわけがないんだ

だから、人は言語という素晴らしい発明品を使いながらも、
音を奏でたり絵を描いたり、踊りを踊ったりするんだし、「言葉にできない」なんて、元も子もないことを言ったりする

言葉ですべて伝わるわけがない
だけど、目の前にいる人に伝える手段として
一番手っ取り早くて、手軽だから、
言葉を使うんだ

もし、君に他の能力があるのならば
それを使ったらいい
でも今のところ他の手段がないならば
言葉が一番身近だから、それを駆使してみよう

有名な話だと、
「月が綺麗ですね」は、
ある人にとってそれは、愛の言葉のひとつだし、
ある人にとっては、ただ夜月の美しさを表しただけで、
もしかしたら、悲しさや寂しさを伝えたかったのかもしれない

国語の授業では、
作者は、この文章にこんな意味を込めた、と解説するし、テストの問題になって正解や不正解があったりするけど、
それは作者の気持ちの、ほんの一部だったりする

だから君も、ほんの少し、さわりの部分だけでも
伝わったらいいな、
そんな気持ちで言葉を選んだらいい
話を聞いてくれる相手も、
君の小さなハギレのような言葉から
君のすべてを理解しようとは思ってはないよ

ハギレを少しずつ集めて、パッチワークのように繋げて、
なんとか君の影を見ようとしているだけだから

気軽に、気楽に、知っている単語を繋げて、
なんとなく、何気ない気持ちで言葉にしたらいい
それでも、もどかしくて、悲しくて、不満に感じたら、
少しずつ、自分が使える単語を増やしていったらいいよ

どうやって単語を増やしていくのかはそれぞれだけど、本を読むことが今は適切なんじゃないかな

若いうちに、たくさんの本、たくさんの言葉に出会っておくといいよ

身構えず、気楽にね

じゃあ、おやすみ
また明日

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