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絵本作家ガブリエル・バンサンの世界


くまのアーネスト、ネズミのセレスティーヌ、そして犬のアンジュール・・・そうそう大鷲もいる。
ガブリエル・バンサンの絵本の中で動物が主人公の場合、その動物たちは私たち人間に「目で物申す」のです。
 
ガブリエル・バンサン(1928.6,19~2000.9.24)は、ベルギー・ブリュッセル生まれの絵本作家です。
 
代表作は(私個人の意見です…)、なんといっても「アーネストおじさんとセレスティーヌ」シリーズでしょう。
大きくてやさしいくまのアーネストがある日、まだ目も開かないちっちゃなネズミの子を拾うのです。そしてその子を溢れんばかりの愛で育てていくお話です。
この絵本の中では、くまはネズミの子を育てているという不思議な世界ですがシリーズを読み進めていくごとにそんな違和感はなくなってしまいます。
アーネストの包み込む優しい目。セレスティーヌの好奇心に満ち溢れたかわいい目。特にセレスティーヌが初めて目を開けた時のまぶしそうな目は秀逸です。
 
その次が、「アンジュール」です、手にとる度に怒りと悲しさで涙が出てしまいます。でも、最後には…という絵本です。この絵本は文字が一つもありません。絵だけなのです。文字がないのにたくさんの情報が脳に押し寄せます。いや、ないからこそ伝わるものがあるのかもしれません。
アンジュールの目に怒りはありません。戸惑い、悲しみそして、安堵感…。怒ってもいいのに恨んでもいいのにそういう目はけして向けないアンジュール。その代わりに読者が怒り恨み悲しみ、そして自己嫌悪を味わうのです。
 
そして最後に紹介する絵本が「たまご」です。そこに出てくる大鷲の目には読んでいる私の心を見透かしているような鋭さがあり、心を揺さぶられます。
私は未だにこの絵本の意味を読みきれていません。引き込まれるのに最後になると恐怖すら感じるのにガブリエル・バンサンの言わんとしていることがわかりません。答えがあるのか。感じるだけでいいのか。でも、ふと手にとりページをめくりたくなる日があるのです。
ある日は大鷲の目が憐れんでいるようにも見え、ある日は怒りをため込んでいるようにも見え、そしてある日はどこかに導いてくれるような目に見えたりします。
 
ガブリエル・バンサンの絵本は鉛筆画になっていて、絵から暖かさが伝わってくるところも大好きなところです。
ページの少ない絵本の中に込められている壮大な物語性を、ガブリエル・バンサンの絵本で味わってみてはいかがでしょうか。
 
今回もとりとめのない感想を書き連ねてしまいました。
最後まで読んでくださりありがとうございました。

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