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VRChatにおける謎「Dahlia」調査記録〔⑨疆域侵犯〕[Dahlia Bar (ダリア)]

前回、冥府へ至る番号を手にした私は。
ある確信めいたものを、抱いていた、

もしかしたら、この番号は「あの場所」への鍵なのではないか、と。

それは、Dahlia世界を司る4名の内の一人「Zion_」の管理するフラッグワールド「Dahlia Bar (ダリア)」だ。


Dahlia Bar (ダリア)

From the last elysium of dahlia ․․
花はあなたを選びます
ZION_


「From the last elysium of dahlia」

ドイツ語で「Elysium」、古代ギリシア語で「Ἠλύσιον(エリュシオン)」、古代ギリシア人が想像した「選ばれたものが死後にゆく至福の地」。ある意味冥界だ。

目を覚ませ
クラシックダリア(カウンター)

Dahlia司る四名や、Flowersがここで詰めていたのかどうか、それは知る所ではないが、その環境からDahlia世界よりも、クラブイベントの開催地として「Dahlia Bar (ダリア)」は名を馳せていた。

クラシックダリア(DJブース)

過去に内容を刷新した経緯があり、新旧で目にした光景が違うかもしれないが、基本的な設置環境や、構成は似たようなものなので、その区切りは付けずに記憶をたどる。

クラシックダリア(制限区画)


ワールドにInすると「終わりの果てには始まり」そんな言葉で、世界は開始される。

入口に出迎えるは美と愛の化身。ギリシア神話ではアフロディテ。ローマ神話ではウエヌス。英語で呼べばヴィーナスその人である。

地下へ降り立てば、フロアとバーカウンターが来客者を迎える。

カウンターのトップには、おそらくFlowersの全意匠と思われるシンボルが並ぶ。壮観である。

Bar自体には何も謎めいたものや、不審なものは見受けられない。


新しくなったDJブースも広々として、より快適さが増している。

目を覚ませ


さて、問題はここから先だ

制限区画と勝手に私が呼んでいるエリアだ。

第一関門として、番号錠によるロック。

第二関門として、花紋の組み合わせによるロック。

この二つを越えなければならない。


このダリアバーのワールドは、Dahliaの調査を始めた当初から、知ってはいたが、何度挑んでもこの二重のロックを通ることが出来ず、その度に苦い思いをしていた。

ここを通過することが、ある意味調査の次のステップに繋がると、自分の中でいつしか思い込んでいた。


今日が、その日になると強く予感している。

目を覚ませ

問題。

美の化身アフロディテが、階を下り、冥府を開く番号もって行く先はどこだろうか?

そう問えば、答えは一つ。

美の女神さえも魅了した、自然の輪廻を象徴する美丈夫。「アドニス」が待つ冥界と相場が決まっている。

植物の神、しいては「花たちの神」たるアドニス。
古くから愛されるシェリー酒のカクテルにもこの名は冠されるのは、Barがモチーフのこのワールドでは出来過ぎた偶然か、はたまた必然か。


夢うつつ、全ての納得が出そろった処で、私は番号錠に手を掛ける。



開け冥府よ。その疆域(リャウヰキ)を我が許(もと)へさらせ。



第一関門。
ロックが解除される。


目に飛び込むのは輝くハートにうねりつく黒い触手たち。
驚きはしない。何故ならここは既に煉獄の先の冥府なのだから。

目を覚ませ

かのワールドで、その秘密を解いていれば、これは自明の理
問題はその先だ。

携帯録音機

「Cat tail」で私を好奇心の淵へと引き込んだ。最初のアイテムが、再び立ちはだかる。

レコーダー…

きっと、またあの時の様に後戻りが出来なくなるのだろう。
いや、とうに戻れやしないのは、解っている。

それを後悔した事などひと時だって無い。

「世界はいつだって不思議で、豊潤で、そして美しい」

誰に言い聞かせるわけでもなく呟いて、私は録音機に手を掛ける。


目を覚ませ


.…

.....…

物語。その情景を目に浮かべる。
イメージが浮かんでは消える。

それを薄れない内に、


第二関門。
花紋の組み合わせロックに流し込む。


開く.…



最後の緞帳は、ここに開かれる。

バーホールからは想像もできないような、赤い光に包まれたBrutalism様式狭い部屋

回転する地球儀ワイヤーひしめく壁。そして正面に起動を待つ、スイッチ。

目を覚ませ

左を見れば、半透明な球体には、己の所在地が、恥ずかし気もなく晒されている。


右を見れば、おびただしい黒いワイヤーが、花たちから、Dahliaマークへと繋がっている。

そして奥の案内板とスイッチ

目を覚ませ


案内板にさしたる意味は見いだせなかったが、スイッチを起動するとメッセージが流れる


「——————、—————————」


終わりと始まりが、同義であるアドニスはその血を持て、美しい花を咲かせたという。



花が咲いた…


Dahliaのシンボルに、吹き上げる血潮の様に、全ての花たちが咲きそろい、全てが一つに集約されていく。

疆域は侵された

繰り返される死と美の輪廻が、メタバース、VRSNSという世界の、狂乱じみた特性と手を取り合った時。

そこに生まれたのは、まるで長い夢を彷徨う如き、世界群

目を覚ませ

その世界を司る花たちの開花と共に、想像したくない事実が、先ほどから頭の周りをグルグルと回っている。いや、流し込まれているのか。


「ここは、作られた夢の中だ。」

目を覚ませ

「ここは、『現実』じゃあない。」

目を覚ませ

「ここから出してくれ。」



赤い光が、いよいよ目を細めて笑っている。
冷たい配管が、脈打ち、その時を告げようとする。


おねぼうさん。起きる時間ですよ?





...…



...…...…








- The investigation will continue. -




◇無言者の走り書き



・Dahlia Bar (ダリア)


※現在では、「Edge of Memory」のワールドから選択制ポータル限定でアクセス出来るようになっています。「Zion_」→「Modern Dahlia Bar」で選択し、世界に進入してください。







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