中東のシリコンバレー イスラエルの成長の秘訣

石倉洋子先生とナアマ・ルベンチック氏の「タルピオット イスラエル式エリート養成プログラム」という本を読みました。ジャケ買いというか、タイトル見ただけで買ってしまいました。
14,5年前くらいだったと思うのですが、バイオベンチャーでイスラエルの企業がいくつか出てきて、これからはもっともっとイスラエルに注目すべきだ、という記事を見たことがありました。そのときは、なんとなくイスラエルという単語だけがインプットされていたのですが、最近はスタートアップ企業も随分増えてきたと聞いていて、どこかのタイミングで掘り下げてみたいと思っていたら、この本に出会いました。
この本では、失敗を許容することの大切さが繰り返し出てきます。
今の日本では、失敗が許されない企業が多い印象があります。そのため、ある程度結果が見えている手堅いテーマに終始し、イノベーションが起こらない感じです。また、最近では、無茶振りとパワハラが混同されていて、部下に挑戦させない風土がある企業も少なくない感じがしています。
未知の問題は一発で解決できるわけではありません。たくさんトライし、何度も何度も失敗することで、成功が近づいてくるわけです。
私も以前、急成長を遂げた企業の方から「うちは、トップが大きなゴールを指し示し、社員が競い合ってそのゴールに向けて、挑戦していった。結果としてそのゴールにたどり着くのは1人だったりするが、1人ゴールにたどり着けば、やり方が見えてきて、その後、何人も続き、組織の成果になっていく。そうやって成長してきた」という話を聞いたことがあります。要は適度な無茶振りと、その無茶振りに対する失敗は許容する寛容さがあったわけです。
イスラエル式の課題解決でも似たようなアプローチが書かれていて、目線の高い課題設定と、失敗をおそれず、たくさん挑戦させることで活路を見出すことの重要性を再認識しました。
失敗をおそれず挑戦するというだけなら、他の国でも、スタートアップ企業をたくさん輩出つするところがあっても良いわけです。
そうでなく、イスラエルのスタートアップ企業が成果を出すポイントとして、「言われたとおりにやらない」ことが挙げられていました。言われたことをただやることを良しとせず、たとえ上司の指示だったとしても指示そのものを疑い、自分が良いと考えたことをやると書かれていて、すごいなと感じました。
徹底的に質問し、根底から考えるのが癖になっていて、逆にイスラエル人からみると日本人は全く質問してこないので、本当に考えているのかと感じてしまうほどのようです。
自分の考えを持つ大切さ、自分の考えを貫く大切さがあってのことで、それは兵役という特殊な時期においても発揮されるようで、上官の指示に従順になるのではなく、自分で考え答えを出していくことを追求していくとのことです。
日本の企業で働く人は、読まなくても良い空気を読み、無難な回答に終始してしまいがちなところがあるので、そのあたりは大きく違うのかと感じました。
イスラエルの企業も日本の技術力に期待しているところはあり、イスラエルの0→1にする力と日本の1→10にする力が合わされば、大きな成果が出せると考えているところがあるようで、そこは希望が持てる感じがいたしました。
ただ、今の日本に本当に1→10にする力が残っているかは疑問に感じるところもあります。
少なくとも、彼らが評価してくれるような力は維持・向上させていかないといけないし、我々もイスラエル人がすごい、羨ましいと指をくわえているだけではダメですね。
失敗をおそれずチャレンジすること、従順になりすぎず、何事にも疑いを持ち、自分の考えを貫くことは今日からでもできるので、少しずつでも変えていきたいと思いました。

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