そうじゅさら

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推し活なんて御免です③

■第3話 ○ワイルドボオエンターテイメント 6階建てのビルを見上げるさわら。 さわらの横を通り、スタイル抜群の美女2名がビルの中に入って行く。 腕時計を見ると16時25分。待ち合わせは16時30分のため、さわらも恐る恐る中に入って行く。 1Fエントランスでは、美女2名がエレベーターに乗り込みさわらを待つが、さわらは「私は大丈夫です」と乗らない。 エレベーター前にある入居者一覧を見ると、5Fと6Fが「ワイルドボオエンターテイメント」の表札。 さわら「2フロア丸々使ってるんだ、

    • 推し活なんて御免です②

      ■第2話 ○市街地 マスクに帽子姿のさわらが、ビルの自動ドアの中から外を見ている。 その先には、人込みの中でチラシ配りをする渚と拓斗の姿。 さわら、速足でその場を立ち去るが、その後ろ姿を拓斗が見ている。 ○マンション 19時過ぎ。さわらが帰宅すると、キッチンで夏子がKPOPを聴きながら料理をしている。 夏子「あら、ワッソヨー。早かったわね。プリチャ君たちと会えた?」 さわら「……今日はチラシ配ってなかったから」 夏子「そう。やってない日もあるのね」 さわらは自室へ行くとベッ

      • 推し活なんて御免です①

        ■あらすじ 実家暮らしで無気力女子の鈴木さわら(23)は、韓流アイドルの推し活を満喫する母親(50)と2人暮らし。毎日推し活に勤しむ母親に辟易し、バイト先のカフェで毎週開催される弦楽四重奏のミニコンサートの平和な雰囲気に癒しを感じる。 ある日、チラシ配り中の男子アイドルグループのメンバーからチラシを受け取るが、読まずに自宅のゴミ箱に捨てる。その数日後、突然母親から「生活費として毎月10万円入れるように」と言われ、お金が無いさわらは困惑する。すると母親は「このアイドルグループの

        • アンサンブル・ノート③

          ○トゥッティ テーブルの上には何曲も楽譜が置かれ、囲むように有朋、将生、航が座っている。 将生「それでは第1回制作会議を行います」 有朋「それを言うなら選曲ミーティング。とは言っても今回の編成の楽譜は一曲もないけどね。ほとんど弦カル用だから」 航は2人のやり取りをほほえましく思いながら楽譜を確認。 航「うん。このレパートリーなら僕がピアノでビオラとチェロをフォローすれば成り立つね。少し時間もらえれば何曲か選んで3人Verにアレンジした楽譜を作るよ」 尊敬の眼差しの将生と、申し

        推し活なんて御免です③

          アンサンブル・ノート②

          ■第2話 ○マンション 朝6時40分。机の上にあるスマホのアラームが鳴る。 ベッドから出たスウェット姿の有朋がアラームを消し、遮光カーテンと窓を開け、陽の光と新鮮な空気を浴びながら大きく伸びと深呼吸。 そしてタイスの瞑想曲の楽譜とスマホを持って部屋をでる。 洗面台で顔を洗い、冷蔵庫から麦茶を飲むと、LDKの椅子に座ってタイスの楽譜を読み始める。 8時15分。テーブルの上にあるスマホのアラームが鳴る。 アラームを消し楽譜を寝室の本棚に戻すと、キッチンでテキパキと和朝食を準備。朝

          アンサンブル・ノート②

          アンサンブル・ノート①

          ■あらすじ   瀧田音大バイオリン科3年の鵜飼有朋(21)は楽譜に忠実に弾く事に強い拘りを持つ真面目な性格。  同級生の鷲宮将生(21)は容姿端麗な上に演奏技術も抜群で女性にもモテモテ。有朋はそんな将生に振り回されながらも大学生活を仲良く送っていた。  ある日、有朋はパーティーで将生と本郷音大ピアノ科3年の羽鳥航(21)と3人でアンサンブルをする。その演奏に手応えを感じた将生から「3人でユニット活動したい」と提案され、有朋は地味な自分は客席側の人間ではないかと悩む。  そんな

          アンサンブル・ノート①