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「お金は大事だよ~♪」、でも・・・~タントラマンへの道(第74話)

--お金に対する信仰心が薄らいできたという話をされていましたが、どの程度薄らいだのですか? もう、お金は必要ないとか、なくても何とかなるくらいに思える境地に至っているのでしょうか?

TM:いやいや、そんな境地にはまだまだ程遠いですよ。何しろ僕は、かなり信心深いお金教信者「です」からね。「でした」という過去形で話すことはできません。
ただ、教祖(お金さま)に対する信頼感はかなり失くしてしまったし、今後は信頼を完全に回復することは無さそうな気がします。

--そもそも、お金教に入信して熱心な信者になったきっかけは?

TM:子供の頃、家に数枚だけあったクラシック音楽のレコードを聴いたのがきっかけになって、もっといろんな曲を聴きたいと思うようになったんです。でも、当時は現在のようにインターネットでいくらでも無料でお目当ての曲を聴ける環境ではありませんでした。FM放送を聴いたり、放送を録音するか、レコードを買うしかなかったんです。
僕はいつでも好きな音楽を聴けるレコード収集の道をメインに選んだので、お小遣いは全部クラシックのレコードとの交換に使いました。レコードは当時、廉価盤でも2000円とかしていましたし、新譜だと3000円はしていたような記憶があります。
なので、聴いてみたい曲はいくらでもあるのに月に1枚買えるかどうかなので、もどかしいというか、もっとお金があったらなぁ! とは思いましたね。

--それくらいなら良くある話だと思いますが?

TM:そうですね。でも、それがだんだん極端になっていったんですよ。
例えば、学生時代は食費を削って貯めたお金や、アルバイトで得た給料でレコードや当時新たに出現し始めたCDやレーザーディスクを買いまくりましたし、飲み会の誘いもことごとく断っていたので人付き合いも悪くなりました。下戸だったからというのもありますが、飲み会代がもったいないと感じたという理由の方が大きかったんです。

大学で独り暮らしを始めたことで、自分専用のオーディオが欲しくなって、自分としてはそれなりのものを揃え始めたことも、お金の需要に拍車をかけました。

--それでもまだ、普通といえば普通ですよね?

TM:そうかもしれません。でも、仕送りを節約したり、アルバイトから得られる金だけでは、「もっと聴きたい欲」を満たすことはできませんでした。

そんな時期に、現在まで僕の人生に多大な影響を及ぼす出会いがあったのです。
ある時、大学の講義に必要な「証券市場論」という本を買いに大きな書店に行ったのですが、その際、たまたま「株式投資」のコーナーに足を踏み入れたのです。そこで生まれて初めて、株や商品先物を売買することで生計を立てている、「相場師」という人々の存在を知ったのでした。

酒席を極端に避けたがる習性が身についていた僕にとって、相場師という生き方は理想的に思えました。文系だったので、就職したとしても多分、営業職に回されて接待漬けの日々になるんだろうな、という非常に短絡的な発想をしていたことも、一匹狼でもやっていける相場師に憧れた理由でした。

そこで、学生時代の後半は、ますますアルバイトに精を出して相場師デビューのための資金作りに励んだというわけです。

--やっと、少し、お金の臭いがしてきましたね!(笑)

TM:ははは! そうなんですよ。大学卒業の時点では株式投資に必要な資金は貯め切れていませんでした。なにしろ1980年代は、まだまだ株式投資の敷居は高かったんです。売買単位も今のように小さくないですし、手数料も、今と比べるとべらぼうに高かったですからね。もちろん、インターネットなんかありませんでしたし。
なので、株式投資初体験は、就職後に初めてのボーナスをもらってからでした。

そして、うまくいけば上限無しで稼げる可能性がある世界を知ってしまったことが「お金教」に入信したきっかけだと思うんです。

--お金があればなんでもできると思うようになりましたか?

TM:いや、さすがにそこまでは思いませんでしたよ。大切なものほどお金では買えないということは判っていたつもりです。
でも、お金さえあればほとんどのことは出来るし、無いよりあった方が絶対に良いハズとは信じていましたし、それは今でもそんなに変ってはいません。

--では、「お金教」から脱会したくなったきっかけは?

TM:それに関しては、次回ってことで良いですか?

--わかりました。それではまた次回、よろしくお願いします。


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