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さらなる屈辱の日々~タントラマンへの道(第80話)

--暗黒の高校時代で、最後の最後に薄っすらと光が射したとのことでしたが、それを機に暗黒時代からは抜け出せたのですか?

TM:残念ながらそうはうまく行かなかったんですよ。日が射しかけたかと思ったのは一瞬の気のせいで、すぐにまたどんよりとした曇り空に戻ってしまいました。
卒業後、僕は浪人して予備校に通うことになったのですが最悪でした。
というのは、高校時代は、たとえ直接関わることはできないとしても目の保養や妄想料理の食材になる女子はいたのでまだましだったのですが、予備校ではそんな楽しみすらも奪われてしまったのです。
中学時代の旧友との再会等、楽しいことが皆無とまでは言わないけれど、女子との関りとなると完全にゼロになってしまいました。
いやはや、本来なら性春を謳歌するには最適な時期をこんなふうに過ごしてしまったのは、今から振り返ってみると痛恨の極みですわ。

--あらまぁ、それはお気の毒さまです。本当に女子との関りは全くゼロ?
完全試合で完封負け?

TM:う~~ん、ちょっと待って・・・。あ、関りとまで言えるかどうかわからないけど、女子と話をする機会は一度だけあったかな。
浪人中に、小学六年生の同窓会があったんです。僕の記憶ではだれにも引っ越し先の情報を伝えないまま卒業式の日に引っ越してしまったのに、誰がどうやって調べたのかわからないけど同窓会の連絡をもらえたんです。

--それで? 同窓会はどうでしたか?

TM:同窓会と言っても、担任教師は不参加。いやな奴だったんで来てなくて良かったんですが(笑)
出席者はクラスの三分の一くらいだったかなぁ。
で、6年ほど経ってみると、みんなかなり変貌を遂げていましたね。
みんなとの会話の内容はほぼ記憶から抹消されているのですが、一つだけ強烈に覚えていることがあります。
六年生の時は、クラスで一番チビだった男子が同窓会の時には一番背が高くなっていたんですよ。そして、やはり当時一番幼なかったイメージしかなかった女子がなかなかハイレベルなお嬢様に成長していたんです。
で、その二人は、一次会が終わった後、二次会には参加せず、一緒に消えて行ったんです。
というわけで、小学校卒業後7年目に開催された同窓会でしたが、小学校当時は圧勝的なリードを保っていたハズの性の分野において、当時の最下位のランナーに抜き去られてしまったという敗北感だけが残ったのです。

--うわぁ! それは悔しいですよねぇ。同情しますわ。

TM:敗北感、でもうひとつ思いだしました。

--どんなことですか?

TM:浪人中、中学時代の同級生と再会したことがありました。彼らは浪人せずに現役で大学に入っていたのですが、彼らは既に「初体験」を済ませていたのです。
二人とも、中学卒業時にはまだ声変わりも始まっていないような子供だったのに!(笑)
しかも、リアルな話を聞かせてくれるわけですよ。
「●●●ってホンマに濡れるんやなぁ」とか「●●●が臭い女がおってかなわんわ」みたいに。
いやぁ、悔しかったですよ、これはホンマにねぇ。
彼らに共通していたのは、二人とも高校時代からバンド活動をしていたこと、野球とかサッカーみたいな女性ファンが多そうなスポーツもやっていたこと、でしょうかね。やはり、女子との接点がそれなりにあったので交際に発展する機会も多かったんだろうなと。
それに対して自分は、彼らとは真逆で、クラシックを聴くだけだし、帰宅部だったし、例のお断り事件以来「女子には興味ない、女嫌い」だと思われていみたいだったからなぁ、と自分を説得するのがやっとでした。

それと、彼らから聞いた話では、同級生の中で暴走族になった奴がいて、そいつは毎日のように女をとっかえひっかえしてやりまくっているということでした。交際しているのではなく、いきずりの一回限りの関係が多いとのことでしたが。
やはり、男女関係なく「類は友を呼ぶ」んでしょうかねぇ。
で、そいつは、穴さえあればどんな女でも良いと言っていたらしく、見栄えがあまりよろしくない女子と事に及ぶ場合には、女性の顔にエロ本を乗せて、それを見ながら発射するんだとか。
いやはや、何ともねぇ。
でも、その話を聞いてもあまり羨ましくはなかったんですよね。
だって、女ならだれでもOKならハードルはめっちゃ下がるじゃないですか! 
そんな、誰とでもすぐにやってしまうような、公衆便所女子とやれたところで嬉しくもなんともないがな。

あ、でも、どんな女でもOKと思えるその思考・感情は凄いなと思いましたよ。だって、哺乳類~昆虫に至るまで、交尾をする動物はみんな交尾相手を選ぶじゃないですか(笑)。

で、その話を聞いた時点では、僕は、自分の事は棚に上げまくった上での「超絶面食い」だったので、性の対象にしたいと思える女子に出会うことすら稀であり、増してや実際に交際して男女の関係になれる可能性となるとそれはもう宝くじで一等賞が当たるのと同じくらいの確率しかなかったのではないかなぁ。

・・・みたいな感じで、数々の敗北感にまみれた浪人時代でありました。

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