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遅すぎたラブレター~タントラマンへの道(第27話)

記憶のウソに気づく

前回、Kちゃんがせっかく(手渡しの)手紙をくれて
「お手紙ちょうだいね」と書いてくれていたのに、
肝心の住所を教えてくれていなかったというエピソードを書いた。

でも、それは記憶違いの可能性がほぼ100%であることが判明した。
というのは、学生時代は東京で暮らしていたのだが、卒業間近になったころにKちゃんに手紙を書いたことを思い出したのだ。
ということは、Kちゃんはちゃんと住所を教えてくれていたに違いない。

ひとつ思いだすと、それを機に芋づる式に記憶がよみがえってきた。
Kちゃんの証言によると、
オレが転校してしまった後、親友のAちゃんが「行っちゃった(泣)」
と号泣したんだとか。
そう、実は、Aちゃんが密かにオレのことを好いてくれていたというのだ!

Aちゃんは近所に住んでいた同級生で、Kちゃんと同様、ちょっぴりおませというか大人っぽくてそれなりに可愛かったのだけれど、自分はKちゃんを好きすぎたのでAちゃんのことはほとんど意識することは無かったように思われる。
Aちゃんとの接点は、Aちゃんが学校を休んだ時に給食のパンを届けたり宿題を伝えに行く役割を担任教師から与えられたくらいで、親しく会話を交わした記憶は残っていない。

肝心のKちゃんとの文通は2回ほどやりとりしただけで自然消滅してしまい、今となってはその時の手紙も残っておらず住所もわからない。
再会を果たすことも無かった。

そして、実は、自分に好意を寄せてくれていたのはAちゃんだけではなかったのだ。
関西に引っ越してから、転校元のクラスのみんなに手紙を出すように親に言われたので出したことがある。
当時(今も?)は、手紙を書くのはとても苦手で嫌だったので、手紙の内容はほとんど母親の草案に従った。
内容としては、こっちでも元気でやっていて、どちらかというと新しい生活に希望を持っている、というようなものだった。
しかし、本当の自分の気持ちは、「みんな(特にKちゃん!)のことが懐かしすぎて忘れられない!」だったのだけれど、そんな正直な気持ちを書くことはできなかった。

しばらくすると、Mちゃん、Rちゃんから各々返事が届いたのだけれど、
なんと! 二人とも、オレのことが好きだったというのだ。

いや~、全く気付いていなかったよ。
でも、二人のことはほとんど眼中に無かったので、二人に対して返事を書いた覚えも無い。
ホントに酷い人間だったんだな、オレは。
そんな風だから大人になるにつれてモテなくなってきたんじゃないかな?

こんな感じで、実は、それなりに女の子からも好かれていたのだというせっかくの境遇を活かすことなく小学生時代の前半は終わってしまった。

(つづく)



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