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黒部五郎岳3泊4日ソロ縦走の記録・4日目:最終日、新穂高温泉へ

 8月上旬、初めてのソロ縦走で黒部五郎岳に挑んだ3泊4日の旅。長い旅も終わり、4日目は一気に標高を下げ岐阜県の新穂高温泉へ。
 前回(3日目)の記事はこちら。


4日目:双六小屋〜新穂高温泉

05:40 双六小屋(2,547m)

 朝3時半。真っ暗闇の中、強風が窓を叩く音で目が覚める。隣のマダムも起き出していて、小屋の電気が点くまでひっそりとヘッドランプの下で化粧をする。足首はちょっと腫れていて、大きく曲げると痛みがある。そして前日に食べ過ぎたのか(朝8時にジビエ丼は無茶だったかもな…)胃がほんのり痛む。外の天気も体調もバッドコンディションだけど、今日は下るだけだから!と自分に言い聞かせ、早めに出発の準備をする。

 診療所でしっかりテーピングしてもらい、談話室でお茶を飲みつつ、少しでも天気が良くなるのを待ってみる。ちなみに朝食は胃の調子があんまりよくないので、スタッフの方に伝えて無しにしてもらった。小雨は止んだものの、天気が回復しそうになく、足や胃の調子もよくないので早めに出発しゆっくり下山することにした。隣の布団のマダムや1日目ご一緒した方に「お気をつけて」の挨拶をして、小屋を出発。

 富山大学の診療所の皆さん、本当にお世話になりました!

07:50 鏡平山荘(2,281m)

 ぼんやりとした霧の中を黙々と歩く。足が気になり過ぎて歩くペースが遅く、後ろからどんどん追い抜かれていく。昨日コーヒーをご馳走になった上の布団のお姉さんは、「夕方予定があるから急がなきゃ!」と颯爽と駆け降りていった。(長野から車で運転して来たそうだ。健脚…)
 休憩を挟みつつ2時間ほど歩き、鏡平山荘へ到着。霧に包まれて幻想的な景色が広がっている。名物のかき氷は気温が低いので今日はお休み。コーヒーフロートを飲んでいる人が多かったけど、そこそこ冷えるし胃もまだ本調子ではないのでホットカルピスを注文。

 このホットカルピスがまた美味しかった…!!!優しい甘さが痛む胃に染み渡る。とりあえず何か胃には入れておかないといけないので、小屋でお湯を入れておいたモンベルのリゾットをちょっと食べて、また出発。

 標高が下がるにつれ、気温がどんどん上がってきた。ウインドシェルを脱いでTシャツ1枚になろうとしたところ通り雨に襲われ、そこからしばらくレインウェアを着て汗だくになりながら降りることに…。樹林帯に入っていたので湿度もすごかった。
 秩父沢との出合のあたりで雨は止み、ここで休憩して行動食をつまむ。この辺りで胃薬が効いたのか胃の調子がかなり良くなってきて、逆に空腹になってきた。笑
 沢の近くでは、昨日大きな熊が目撃されたらしい。団体客との離合待ちの時にたまたま居合わせた人とそんな話になった。この辺りは特に熊が多いエリアなんだそうだ。ここまで来たらゴールまであと少し!

11:50 わさび平小屋(1,403m)

 双六小屋を出て6時間、ようやくわさび平小屋に到着!途中で怪我人に遭遇して処置をしたりするハプニングもあったけど(周りのベテラン登山客の方々がささっと対処してくれて、私は何もできなかった…)、ここの少し手前で登山道(小池新道)は終わり、あとはなだらかな道をひたすら歩くだけ。
 とはいえゆっくり歩き過ぎて帰りのバスに間に合うか怪しくなってきた。

 沢の冷たい水で冷やした果物やそうめんが食べたかったけど、バスに乗る前に絶対に温泉に入りたかったので、断念して先を急ぐ。

 「天然のクーラー」と言われるお助け風穴。岩と岩の隙間から冷たい風が吹いて気持ちいい。

13:10 新穂高温泉(1,080m)

 歩きに歩いて、ついに新穂高温泉へ到着!
 西穂高岳へ登るロープウェイや登山者用の駐車場があり、登山の起点として利用されています。
 バス停の近くにある新穂高センターには登山届の提出場所があり、多くの人がここで下山の届出をしていました。
 バスの時間まではまだ少し余裕があったので、急いで近くの日帰り温泉へ。 

写真を撮ってフロントへ持っていってみたけど使えなかった。あれ?

 4日間の汗を洗い流し、畳の休憩室にごろーんと寝そべる。最高〜!!!ここで一泊していきたいくらいだ。ここからバスに乗って数時間もしたらまた東京に戻ってしまうなんて、なんだか不思議な気分だ。6時間前は雲の上にいたのになあ。

 フロントで瓶コーラを売っていたので思わず買って一気飲み。登山終わりのコーラってなんでこんな美味しいのかな〜〜。ほんのり気だるい体に炭酸と甘みが染み渡る…。

 温泉を出ると、1日目にご一緒した女性とまた出会い、そこからバスの出発まで色々と話をして過ごした。お互い本当によく頑張りました!

 新宿行きの毎日あるぺん号に乗り込み、上高地を経由して東京へ向かう。高速道路のインターあたりで北アルプスの山々が見え、「あんなに遠いところにいたんだなあ」と感慨深かった。山小屋で登山客の一人が「夏にここに帰ってくるために、一年間仕事頑張ってるんですよね〜」と話していたのを思い出す。
 北アルプス、また来年も行けますように。



4日目の記録

歩行距離:12.7km
行動時間:約7時間30分
歩数:33,072歩



終わりに

 初めての縦走、しかも4日間のロングコースということで不安もありましたが、よく整備された道で危険もなく、山小屋などの設備も充実しており、楽しく歩くことができました。後半は天気に恵まれなかったけど、新しいレインウェアも活躍したし、いい経験になりました。
 歩いている途中は「もう二度と来ない!」と何度も思ったけど、こうして振り返ってみると、次はどうやって行こうかな、と考えているから不思議です。今回登らなかった薬師岳、鷲羽岳、双六岳といった山々や最後の秘境雲ノ平にも今後また挑戦してみたいな、と思います。
 おすすめの山や縦走コースがあればぜひ教えてもらえると嬉しいです!

4日間の記録

歩行距離:約38km
行動時間:約30時間
歩数:約10,600歩






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