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Slush Shenzhen 2019 に参加しました! [Part. 1]

Slush Shenzhen 2019 について

2019年8月8日、中国広東省の深圳(Shenzhen)にて開催されたShush Shenzhen 2019に社員全員で参加してきました。

About
Slushは世界各国からスタートアップ・起業家・投資家が参加する世界最大級のスタートアップとテクノロジーの祭典です。中国国内では過去に上海(Shanghai)などでの開催がありますが、深圳では初めての開催となりました。

Why Now
今回、QueueとしてSlushに参加を決めた理由はいくつかありますが、

・新規事業の立ち上げに先立って、全員で土台を合わせたかった
・開催地が深圳(南山区ではなく坪山区だった)
・中国のイノベーションを技術者の立場から感じたかった

と言ったところが大きなモチベーションとなりました。
その中でも、Queueでは新規事業として海外のStartupに関するレポートをサービス提供する予定のため、全員の目線を合わせる目的が強くありました。

日本から団体でSlush Shenzhen 2019に参加したのはおそらくQueueだけだったのではないでしょうか。現地で感じたことやSlushイベントの内容についてQueue Team Softwareの @oginokairan がレポートいたします。

深圳(Shenzhen)の紹介

各チームごとに目的があったため今回はチームごとの現地入りとなりましたが、Team Softwareのメンバーは「香港空港→福田口岸(イミグレ)→華強広場(電気街)」の流れでSlush前日の夜に現地入りしました。中国のイミグレーションでは外国人の場合は指紋や顔認証が必要で、また入国審査の手前には凄まじい量のカメラが設置されていて、監視社会ならではの緊張感と同時にそれらを支えるAIや先端技術の浸透が垣間みえていました。

華強広場(電気街)に到着してまず感じたのは、まばらながらも街ゆく人の多さでした。店はほとんど閉まっていましたが、夜の0時ごろになっても意外に人通りがありました。また、子供連れの家族もちらほら見受けられ治安はとてもよく感じました。

一夜明けて朝になるとホテルからの景色は明るくとても気持ちの良いスタートとなりました。

ホテルから電気街を見渡すと高層ビルの他に雑居ビルがあり、少し離れた場所には建設中の土地もありました。外に出て電気街を歩くと現地の雰囲気を感じることができました。

・WeChatPay(微信支付)か現金しか使えない
・高齢者は少なく若者や子供が多い
・英語は全く通じない
・物価が安い(概ね東京の半分くらいでしょうか)
・デリバリーサービス(外卖)が多い
・雑居ビルではとても細かいパーツを販売している(ハードウェアに強い)

治安も良くて外国人に対しても優しい方々が多い印象でしたが、日本企業の"表敬訪問"に対してはしばしば違和感を感じられるようです。中国から見た日本企業はNATO(Not Action Talking Only)と呼ばれ、はなから協力する姿勢がなく情報を吸い上げるだけで帰ってしまうという意識があるようです。

さて、我々はタクシーを捕まえてShush Shenzhen 2019の会場に向かいました。どうやら中国国内ではGoogle Mapは10年ほど更新されてないようで、Baidu Map(百度地图)などで行き先を伝えました。中国のタクシーはとても安全運転で他の車を見ても日本のようなスピード違反はほとんどありません。高速道路では至る所でカメラのフラッシュが焚かれて監視されていることがその理由かもしれませんが、ここでも先端技術が活用されている様子でした。

Slush Shenzhen 2019

中国の大手IT企業といえばAlibaba(阿里巴巴)、Baidu(百度)、Tencent(騰訊)などが有名ですが、それらの本社は南山区に集結しています。冒頭で目的として掲げていましたが、今回のSlush Shenzhenは坪山区で開催されました。坪山区は製造業とバイオテック系に力を入れており、おそらくは南山区に対抗するためにSlushを誘致してイノベーションを加速させたいという考えがあったのだろうと思います。Slushのステージもそれらが反映されたコンテンツとなっていました。

Shenzhen Pingshan International Expo Centre

会場の入り口で手荷物検査などを終えると右手に食堂スペース、左手にメイン会場への入り口がありました。メイン会場内はスタートアップ企業のブース、ピッチステージ、メインステージがあり、自由に行き来のできる環境でした。ピッチステージでスタートアップのプレゼン、メインステージでFireside ChatやDiscussionが行われる構成で、夕方ごろからはFinalistのプレゼンが始まりました。プレゼンはおそらく英語で行われるであろうという想定で参加しましたが、そのほとんどが中国語で同時通訳機は手放せませんでした。

後述するWomen in Leadershipのパネルディスカッションを聞いていると感じられたのですが、メインで中国語が使われてコンテンツによっては英語が使われていたのは政治的理由もあったようです。

Panel: Women in Leadership

こちらはメインステージで行われたセッションで、中国・香港エリアでビジネスの経験がある女性のEnterpreneurがリーダーシップとは何かというテーマで討論しました。
彼女らの経験則より、
 ・世界はとても早い速度で変化しているため、リーダに必要なのは変化をもたらすことへの好奇心
 ・海外のマーケットに目を向けるなら様々なバックグラウンドを持つ仲間と地域のエコシステムからイノベーションを創出すること
 ・北京でマーケットを拡大するには北京の従業員と協力すること
などの重要性が幅広く議論されましたが、この討論は終始英語で行われました。
これには深圳市はあまり女性のリーダーを求めておらず公安があまり耳を傾けないようにあえて英語での議論となっているような雰囲気もうかがわれ、フランクな雰囲気の中にも彼女たちの苦労が伺われるような内容でした。
坪山区が誘致したということもあってかStartup Pitchingはほとんどすべてが中国企業でしたが、スタートアップ企業のブースでは外国の企業が目立ちました。ブースの企業をいくつか紹介させていただきたいと思います。

Marvelmind Robotics

Marvelmind Roboticsはシリコンバレー発のインドアGPSのスタートアップで、小型のビーコンを利用した位置情報活用に特化したサービスを提供しています。
活用事例としては、
 ・BIM、トレーニング、ゲーミング向けのVRユーザー位置情報共有
 ・ロボットを利用した室内の自動デリバリーシステム
 ・ドローンを利用したウェアハウスの在庫管理
 ・ショッピングモールや会場などでの広告ロボット
などが挙げられており、小型であることから他にも様々な応用事例が考えられます。
注目すべきはインドアGPSの精度で±2cmという驚異的な数字を叩き出している点で、ほとんど「state-of-the-art」に近い技術力だと言えると思います。
また、ビーコンが数個ついたスターターキットは$300くらいの価格から販売されており、少ないコストから導入可能な点もメリットといえるかと思います。ブースの周りには人が集まっており、会場の中でも1,2を争うほどの人気度でした。

VÄRM

VÄRMはスウェーデン発のクッキングマシンのスタートアップです。見た目は電子レンジのような形状ですが、それよりもはるかに簡単かつ高機能で調理が苦手な人のためにデザインされており、シンプルなものから複雑な料理まで2つ同時に作ることが可能です。
裏側ではクラウドを利用しており、専門のシェフがレシピを開発してクラウド上にアップロードします。マシンにはカメラがついていて、ユーザーは材料のパッケージを読み取るだけで自動的に適切な温度が設定されて調理が始まります。パッケージは地元のスーパーやVÄRM専門店で入手でき、現在は餃子、ピザ、乾麺などを中心とした1,000を超えるメニューから選択することが可能になっています。
ブースは女性に大変人気で常に何人かのオーディエンスがいて地元のメディアも比較的長い時間取材していたと思います。中国は食事のデリバリーが日本よりも遥かに盛んで注文から到着までもかなり短時間のようですが、このようにデリバリーにかかる時間を排除するソリューションはマーケットのニーズと一致しているのかもしれません。

Dsee.Lab

Dsee.Labは中国南京市のスタートアップで3Dホログラムのスタートアップです。上記の写真が分かりやすいですが、動画と静止画の両方に対応したLEDを搭載したファンが高速回転することで映像を描画します。
使い方は簡単で、黒背景の環境で動画を撮影するのみで通常のディスプレイと同じ要領で3Dホログラムを描画することができます。注文からおおよそ7日間で入手可能なようで価格帯は$699〜となっています。Slush会場の入り口にはケース入りのハイエンドモデルが展示されていて、そちらは$4,999〜となっていました。

*[引用]オフィシャルサイト(https://www.dseelabs-us.com)より

このような3Dホログラムの機械は日本の街中ではあまり見かけませんが、華強広場(電気街)周辺を歩いてるときには度々目にしました。街の人々もそれらを物珍しく見ている様子も無く、中国の都会ではごく一般的な技術として浸透しているのかもしれません。

Part.2 (近日公開予定) に続きます


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