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〈事例紹介〉地方創生×ブロックチェーン福島県西会津町における”石高コイン”の仕組みの構築


クエストリーは、NTT(Non Trasferable Token)を活用した「貢献の把握と収益の分配を効率化させる通信規約」である「Questry Protocol」を活用したコンサルティングや導入支援を行っています。

今回は、西会津町のCDO(最高デジタル責任者)である藤井靖史さんや町の方々、ファンの方々とともに取り組んでいる、地域活性化のための持続可能な取り組みについてご紹介します。

福島県西会津町を取り巻く先進的な課題

福島県北西部、新潟県との県境に位置する西会津町は人口5,639人(令和5年4月1日時点)、町の広さは東西17.55km、南北34.50kmで、面積298.18平方kmのうち約84%は山林です。高齢化率47.1% (2020年)となっており、少子化が深刻です。平均所得は231万円(2015年)となっており、産業の立て直しもあわせて考える必要があります。典型的な中山間地域の課題であり、日本の未来の姿かもしれません。

西会津町は、2023年2月に連携・協力に関する協定を締結し、ICTを活用した地域活性化及び地域経済の発展や、地域づくり・まちづくりの推進をお手伝いしています。

この町で描きたいものは「日本の未来の姿」。

まずは基幹産業である「米」を(リスクを減らして)投資できる産業とすること。この取り組みを町に閉じるのではなく、ファンの方々と一緒に取り組みプロセスを楽しんでいくこと。この取り組みの中心人物である西会津町のCDO(チーフデジタルオフィサー)である藤井さんにインタビューしました。

発端は「価値交換の新しい形をデザインできるのではないか?」という問い


藤井さんは、2016年からブロックチェーン技術を活用した様々なプロジェクトに関わってきました。その中で新しい価値交換の仕組みを生み出す可能性を感じていらっしゃいました。中でも、改善したいと考えていた点は2つです。

(1)地域の課題にフィットした価値交換の仕組みの構築

藤井さんは、地域にフィットした価値交換の仕組みを考え、システムだけでなく考え方もセットで世界に展開していくことはできないかと考えていました。

例えば、西会津での課題は「稲作への投資」です。

米はエリアによって一括で価格が決まってしまうため、頑張って農法を工夫するなど、農家が個別に差別化を図ろうとしても、市場では価格差が反映されづらい。

また、西会津は山間部で稲作に取り組んでいる背景もあり、(平地のように)大規模化して利益を増やすことは簡単ではありません。今後、稲作で利益を増やすためには、農家の取り組みや中山間地域の水や土壌の良さを可視化し、その価値を価格に反映できる仕組みが必要だと考えていました。

(2)自治体ごとに連携・管理できる継続性のある仕組みの創出

最近は新型コロナウイルスの助成金を資金とし、自治体ごとに独自の地域マネーの発行が進んでいます。しかし、残念ながら持続可能な形での運用が難しく、なおかつ地域をまたいだ価値の連携・管理ができないのが現状です。

そこで、西会津のプロジェクトでは、ステーブルコインのような世界共通の価値をベースとしつつ、アプリケーションの部分を工夫することで、全国・世界の境界を超えて使えるようなものにしたいという思いがありました。

地域通貨やステーブルコインという手段で「どのように町にお金を呼び込むか」を考えるのではなく、「地域を超えて連携できる仕組みづくり」に力をいれることこそ、本来の目的である農家さんの力になれるアプローチではないかと考えていました。

それこそが西会津としてやるべきことで、横展開が可能な仕組みです。

具体的な施策:西会津で石高制を構築する

ここで西会津のチームは、地域で活動されている方々とのディスカッションのすえ「米を価値の基軸にする」という考えに至ります。

金融という考え方が広まり、利子などの”実際の物質と紐づかないお金”が生じたことで、指数関数的にお金の価値が上がり、経済は発展してきました。そのような成長を前提とした経済圏を否定するわけではありません。

しかし、安定した生活を保つための自然に紐づいた経済圏の存在も認めるべきで、それを選べる世界が理想ではないか。これまで当たり前だった「お金」というシステム。その「お金」がないことで死んでしまう人がいる。藤井さんは、そんな「お金」は道具として不完全なものではないかと考えています。

ドイツの児童文学作家であり「モモ」の著者であるミヒャエル・エンデも『パン屋のお金とカジノのお金は違う』と唱えています。

その時代ごとに再定義する余地がある「お金」のシステム。自然の活動をベースとしたお金をデザインすることが可能なのではないか。そんな思いを、Questryがサポートしながら、形作ったものが、西会津の「石高コイン」なのです。

クエストリーが行ったサポート - スキーム設計から運用まで

「石高制」というアイデアを具体的に西会津町に実装するための「スキーム設計」から「システム提供・運用」まで幅広くご提案しました。
特に、NFTやWeb3といった概念を地域の皆さんにわかりやすく説明するのは難易度が高い課題です。

西会津チーム(町で活動するさまざまな方)のアイデアを具体的、かつわかりやすいモデルに落とし込み、プロジェクトとしてスタートする下地づくりから参画させていただきました。

クエストリーは単なるシステム構築だけではなく、金融業界の知見が豊富なメンバー、ブロックチェーン業界の経験が長いエンジニアとともにプロジェクトに伴走できることが強みです。

プロダクト

リリース
Web 3.0と現代の米本位制「石高プロジェクト」モバイルアプリ・リリース開始

公式サイト


取り組みのロードマップ - まずは農家が米の価格を自己決定できる世界へ

本プロジェクトは、まず2023年内に米をベースとした価値交換の仕組みの運用をスタートさせる予定です。その仕組みを使うことで、農家自身が米の価格を決定できる状態を目指します。

運用を通し、この仕組みがビジネスとして成立するのかを確かめる検証フェーズに入ります。そしてこのあとには、この仕組みを運用する組織を設立していく予定です。

プロジェクトが大きくなることで多数のステークホルダーとの連携が生じるため、まとめ役となる会社が必要だと考えています。

例えば、このブロックチェーンに投資してくださった皆さんを招いた「農家ツアー」など、西会津とつながるデジタル的な「コミュニティの形成」が必要になってくるでしょう。いくらシステムを開発しても運用できなければ意味がありません。ソフト面の構築にも力を入れていきます。

西会津町CDO 藤井靖史さんからのコメント

これまでも、ブロックチェーンを応用した仕組みづくりに取り組んできましたが、我々には金融や法律の専門知識が壁となっておりました。仕組みとしては実現可能だとしても、それを取り巻く法律をはじめとした様々な障壁(業界風習等)をどのようにクリアしていくのかという手立てを知りませんでした。

今回クエストリーとタッグを組んだことで、取締役である内田さんや、価値交換といったテーマについても語り合えるエンジニアの皆さんと、具体的な運用まで検討できたことはとても有意義でした。

現在の日本で考えられる一番いいメンバーでプロジェクトに取り組めたのではないかと考えています。

藤井靖史さん プロフィール

1977年生まれ. (経営学修士). 仙台にて株式会社ピンポンプロダクションズを設立して代表取締役に就任, 2012年にKLab株式会社とのM&Aを行い, イグジット. 会津大学産学イノベーションセンター准教授を経て.現在は西会津町CDO(最高デジタル責任者), 柳津町CDO, ばんだい振興公社副理事長, 会津の暮らし研究室 取締役, その他, CODE for Japan フェロー, デジタル庁オープンデータ伝道師, 総務省地域情報化アドバイザーなども務める.

会社情報

クエストリーとは

株式会社クエストリー は、貢献報酬をブロックチェーンの力で可視化・価値化して、制御することで、様々な経済文化活動の効率性向上を図る「Questry Protocol」の活用に向けたコンサルティングや導入支援を行います。

現在までに地方自治体様やエンターテイメント領域で、案件の推進を行っています。

*制御とは

目的を踏まえて入力と出力の関係を調整して、出力をより好ましい状態にすることを指しています。

Questry Protocolについて

Questry Protocolは、NTT(Non Transferable Token)を活用して貢献の把握と収益の分配を効率化させる通信規約(特許出願済)です。このNTTはDIDとしてWorld Wide Web Consortium (W3C)に登録されています。

今後、Questry Lab. がリードする形で、OSSで開発されます。

✅詳細

会社詳細

会社名:株式会社クエストリー (英名:QUESTRY Co., Ltd.)
本社 :東京都千代田区内神田1-5-4 加藤ビル2F
事務所:東京都港区新橋1-12-9 ビジネスエアポート​新橋
代表者:伊部 智信
設立日:2022年9月1日
サイト:https://www.questry.co.jp/
事業内容:貢献報酬をブロックチェーンの力で可視化・価値化して、制御することで、様々な経済文化活動の効率性向上を図る「Questry Protocol」の活用に向けたコンサルティングや導入支援を行います。

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