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【エネチェンジ】目的地充電と基礎充電の収益性の違いについて

こんにちは。MAKOです。
先日エネチェンジが「マンション向けEV充電器サービスに参入した」とのニュースがありました。

エネチェンジ城口CEOは「弊社がホテルなどで設置してきた目的地の充電ネットワークがあるからこそマンションゼロプランを実現できた」と説明しています。つまり「目的地充電に対して基礎充電(マンション)は収益性が劣る」ということが読み取れます。

今回は「目的地充電と基礎充電の収益性はどの程度差があるのか」について調べたいと思います。

EV充電器の収益計算

EV充電器の収益は①EV利用台数×②利用時間で決まります。

①EV利用台数
1年間で何台のEVが充電器を利用するか。

②利用時間
EV1台あたり充電器を何時間利用するか。

目的地充電(ゴルフ場)の場合

①EV利用台数
ゴルフ場の年間平均利用者数は3万5千人程度だそうです。分かりやすいように全員が相乗りせずにゴルフ場を訪れたと仮定、さらに自動車のEV割合を1%とすると以下になります。

35000台/年×0.01=350台/年

②利用時間
18ホール+食事を含めて1回あたり5時間とします。

③年間EV充電時間
計算すると以下の通りです。

350台/年×5時間=1750時間/年
※1時間330円とすると58万円/年

基礎充電(マンション)の場合

①EV利用台数
EV利用者の平均充電頻度は1週間で0〜2回だそうです。分かりやすいように50回/年(1回/週)と仮定して、さらにマンションのEV割合を1%(1台/100台)とすると以下になります。

50回/年×1=50回/年

②利用時間
ある程度充電容量が減ってきた段階で充電すると仮定して1回あたり8時間とします。

③年間EV充電時間
計算すると以下の通りです。

50台/年×8時間=400時間/年
※1時間210円とすると8万円/年

基礎充電は目的地充電の1/7程度

計算の結果、目的地充電(ゴルフ場)に対して基礎充電(マンション)は1/7程度の収益に留まることが分かりました。

目的地充電:1750時間/年(58万円/年)
基礎充電 :  400時間/年(8万円/年)

※充電時間が1/4に対して収益が1/7なのは目的地充電と基礎充電で充電単価に差を設けているためです。
・目的地充電:330円/時間
・基礎充電 :210円/時間

ゴルフ場の収益性が異常に高い可能性もありますが、目的地充電と基礎充電で7倍もの売上の差があるというのは驚きです(城口CEOが最初に目的地充電に注力した理由が分かります)。

ですが見落としてはいけないのは「EVが1台しかないマンション(基礎充電)であっても年間8万円の収益が得られる」という点です。城口CEO曰く「EV充電事業の損益分岐点は30時間/月(360時間/年)」とのことなのでEV普及率1%の条件でもマンション向けEV充電事業は利益が出る計算になります。

極めてリスクの少ないEV充電事業

冒頭に「目的地充電ネットワークがあるからこそマンションゼロプランを実現できた」と書きましたが、現段階でも損益分岐点に達していることを踏まえると赤字リスクは極めて少ない事業と言えます。

将来的には基礎充電も儲かる

基礎充電(マンション)の収益が低いのはEV台数が少ないためであり、将来的にEVが普及してマンション一棟につき7台以上のEVがあれば収益も目的地充電と同等(58万円/年)になります。

350台/年×8時間×210円=58万円/年

そのためのマンション(基礎充電)でのEV充電器稼働率を向上させる対策として、エネチェンジは一定時間出庫しないユーザーに対してペナルティを課す方針のようです。

エネチェンジHPより

1台96万円/年間程度が上限

「EV普及率1%で年間58万円なら普及率が10%になったら580万円になるの?」

残念ながらそうはなりません。EV充電器1台で充電出来るのは最大24時間であり、EVの入替にかかる時間も考慮すると1日8時間程度が限界と考えられます。その場合のEV充電器一台あたりの収益は最大でも年間96万円程度と思われます。

8時間×365日×330円=96万円

目的地充電と基礎充電も「より多くのEVが集まる場所」に充電器を設置することが売上増加に繋がるということですね。

余談:シェア8割の先にあるもの

城口CEOは「目的地充電においてシェア8割を目標にする」と言っていますが、シェア8割を達成してしまえば2割側(競合他社)はスケールメリットもネットワーク効果も享受できないため、じわじわとシェアを奪われるしかありません。
(巨大資本による赤字覚悟の参入を除いて)最終的には2割側の競合他社は撤退もしくはエネチェンジとの協業を選ぶ可能性が高く、シェア8割さえ取ってしまえば実質的には市場独占と同等であると言えます。

エネチェンジがシェア8割を達成できるかどうかについては以下記事参照下さい。

余談:エネチェンジの時価総額

EV充電インフラは①基礎充電、②経路充電(急速充電)、③目的地充電の3つに分かれますが、そのうち2つ(①、③)をエネチェンジが取りに来ています。
しかも②経路充電(急速充電)はEVバッテリー容量の少なさを補うためのものなので、将来的には不要になると言われており、そうなるとエネチェンジが日本のEV充電インフラを独占する可能性があります。

これほどのポテンシャルがある会社の時価総額が300億円程度に留まっているのは本当に不思議です。インフレで小型グロースが売り叩かれているとしても安過ぎますよね‥
とにかく「こんなの絶対に上がるでしょ」と思いながらIPO時から私はずっとホールドしています。上がるといいなあ‥(独り言)

まとめ

いかがでしたでしょうか。
先日、個人投資家セミナーにて城口CEOがEV充電事業を「唸るほど儲かるようになる」と言っていましたが、この結果を見ると納得ですね。
エネチェンジ株主の方は安心してホールドしていいと思います。

P.S.
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