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Note 85: 間違いだらけのPCパーツ選び(8)SSD編

素人のパソコンのパーツ選びのシリーズ。
ニワカでいろいろ勉強したのでせっかくだから披露している。
今日はSSDだ。

選んだのはADATAのM.2、NVMe、2TB!

これを選んだ。

ストレージ:ADATA SSD M.2 NVMe 2TB 34699円

前のブログではこう書いた。

さっきから文句ばっかり言っているけどこいつだけは超お買い得な気がする。
ストレージはSSD、それも2TBをボンと搭載して、外付けHDDをつないだりドライブを分けたり仮想的に統合したりセコセコ苦労するのはやめようと思っていた。
それもマザボに直接取り付けられるM.2で、接続方式も最新のNVMeにしようと思っていた。
これは何度も辛酸を嘗めたので、ここで張り込むつもりだった。
5〜6万は使うつもりで、実際そういう製品が多かったのだが、なんと、有名メーカーのADATAから、3万円台という破格の製品が出ている。
大丈夫か?
逆に未だになんか騙されてる気がする。

SSDとは何か

SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)は、HDD(ハードディスク・ドライブ)に代わるものとして現れた、長期記憶装置だ。
SSDやHDDを総称して、ストレージと言うことが多い。
RAMと違って、電源を切っても中身が消えないし、1GBあたりの値段も安いが、RAMよりも遅い。
HDDはSSDよりもはるかに安いが、SSDの方が早い。
HDDも昔は速い、はやいと言われていた。
なんに比べて速いかと言うと、フロッピー・ディスク・ドライブ(FDD)に比べて早かったのだ。

ソリッド・ステート・ドライブ(固体状態のドライブ)とは妙な名前だ。
ハードディスクも、フロッピーも、全部固体である。
液体や気体の記憶装置なんか、過去にはなかったし、かえって作るのが難しい気がする。

これは、トランジスター搭載機器がソリッド・ステートと言われたことに由来する。
昔はラジオとかの電子機器は、真空管だった。
空間を使って半導体状態を作っていたのだ。
それを、ゲルマニウムや、シリコンを使って、固体で作れるようになった。
それで、昔は、トランジスターを使った小型ラジオのことを、ソリッド・ステート・ラジオとか言っていたのだ。
SSDも、トランジスターの固まりだから、トランジスターを使ったドライブということで、ソリッド・ステート・ドライブと呼ぶのだろう。

ハードディスク・ドライブも面妖な名前である。
フロッピーも硬いじゃないか。
でも、フロッピーが固くなったのは、3.5インチのケースに入った、いわゆるMacintoshとかに搭載されたソニー製のFDDがノしてきたからで、それ以前の5インチとか、8インチとかはペナペナだった。

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プラ板の封筒の中にソノシート(と言っても通じないか……)のレコードが入っているような感じだった。
それで、フロッピーディスク(floppyは柔らかいという意味)に比べて硬いからハードディスク、ハードディスクと違ってトランジスターを使っているからソリッド・ステート・ドライブという名称になったんじゃないだろうか。

SSDは速い!

SSDはHDDより全然高い。
ぼくは2TDで3万5千円のを買ったが、同じ値段でHDDを買うと、6千円ぐらいである。

自作マニアには、ちょっとしたことでお金をケチって、ちょっとの工夫でこんなに安く上がった、こんな安いパソコンでも十分快適に使っている、と自慢したいタイプのオタクもいて、そういう人にとってHDDはまだまだ現役だ。

でも、ぼくぐらいニワカで、だらしない性格になると「SSD、2TDでドカン」という運用になっている。
パーティション(ドライブ)を分割したり、RAIDを組んだりといったこともしない。
OSとプログラム領域、よく使うデータはSSDで、めったに使わない大容量データはHDDに「ちゃんと整理して」使うなんてこともしない。
面倒だからだ。

まあ、考え方は人それぞれだけど、初心者で、遅いパソコンで悩んでいる人は、SSD化は安価で安全、確実な投資であるのでおすすめしたい。

なお、キャッシュ技術を使って、よく使うデータをSSDに格納する、SSDとHDDのいいとこ取り、みたいな製品も使ったが、ぼくに関してはダメだった。
素直にSSDを買っている。

SSDは寿命がある?

SSDはいいぞというと「でも、寿命があるんでしょ?」と言われる。
これは正しい。
SSDはセルと言われる半導体にビット(bit=binary digit、2進数1桁、0か1のこと)をオンにしたりオフにしたりして信号を記録するが、ある程度何回か書いたり消したりすると宿命的に使えなくなる。
SSDの寿命は書き換え頻度によって異なる。
5年とも、10年とも、20年とも言われている。
あと、最近の機種なら不良セルができたら常に健康なセルに書き換える機能が備わっているので、データがパーッと消える、ということもない。

ぼくは「パソコンはSSD」という宗教に入ってから10年が立つ。
Amazonの注文履歴によると、2010年に12000円で64GBのMLCを買ったのが最初だ。
2011年に120GB、2013年に240GB、2015年に512GB、2019年に2GBを買った。
初期不良を1回引いたのを除き、SSDがパーッとおシャカになったことはない。
それより先に、容量が足りなくなり、大容量のが安くなるので買い替えてしまうのだ。

基本的に大きなSSDを買うと、小さなSSDからデータを玉突き式に移す。
で、小さなSSDはヤフオクで売る。
いまもどこかでぼくの小さいSSDは元気に動いてるんじゃないだろうか。

ということで、ぼくに関しては、社会的な要因でSSDの寿命に影響されたことはない。

HDDは安全か?

原理的に書き込み回数に限界があるSSDに比べて、HDDは長期に渡って信頼性のある機械であり、寿命はない。
だが、HDDが壊れて致命的な事故に見舞われることはないのか。
ぼくに関しては、あるあるあるったらある。

HDDは中にプラッターというアルミの円盤が高速回転をしている。
つまり、メカ部がある。
SSDは中を電子が移動しているだけだ。

メカ部がある部品は、揺らしたり、落としたり、叩いたりすると、物理的な衝撃を受けて壊れる。
急に電源を引っこ抜いても、雷が起きても、壊れる。
最近のHDDは保護装置や保護回路が進んでいるから、昔のものより格段に壊れにくくはなっているが、それでも壊れる。
ぼくのように使い方が荒く、だらしない性格の場合は、HDDを壊す。
HDDが壊れて辛酸を嘗めたことは、何回もある。
HDDが寿命がないから安全とは、とても思えないのである。
また、メカ部があるHDDの宿命として、騒音や発熱の面でもSSDよりは不利だ。
それも日進月歩ではあるが、ここまでSSDが値下がりしたら、FDD同様だんだん消えていくのではないだろうか。

時代はクラウド

昔は、ディスクをフルでバックアップする、それも定期的にフルバックアップすることが重要だと思っていた。
しかし、最近はそれはあんまり意味がないと思うようになった。
古いストレージは、汚れてくる。
ウイルスなどの攻撃によっても汚れるし、ソフトの異常終了によっても汚れる。
変なデータが貯まるのだ。
自分の操作によっても、汚れる。
汚れた状態をそのままバックアップしてもしょうがないのである。

逆に、重要なのが、コンテンツだ。
それも、プログラムや音楽、映画などの、金を出して買ってくるコンテンツではなく、自分で撮った写真や、音声、文章、プログラムなどの、自分の作業の途中経過である。
このデータだけは、絶対に失ってはならない。

ということで、これらのデータは、積極的にクラウドに保存する。
音楽はApple Music Match(これはすごく不満があるが)、写真やスプレッドシートなどはGoogle Drive、それ以外の生データはDropboxに入れている。
ちょっとした作業でもローカルデータにするのが怖くて、クラウドにディレクトリを掘り、そこに置いて、ローカルにはショートカットを置いてアクセスしやすくしている。

クラウドは、ローカルとシンクして使うのが好みである。
同じデータを、冗長性をもたせて、ローカルのストレージとクラウドに重複保管する。
これでネットワークがオフラインになっても、最悪クラウドがクラッシュしたり、サービスをやめても、アカウントをバンされても、ローカルにデータがある。
私企業に生殺与奪の権利を握られるのもイヤなものだ。
ベネズエラでは米トランプ大統領の以降でアドビがアカウントを停止したそうだ。
日本は安倍政権がトランプの不興を買うことはまずないから安心かとも思うが、何が分かるかも分からない。

Dropboxのデータはローカルのストレージとシンクしておく。
この場合、複数台のPCにシンクさせるのが望ましい。
ぼくはノートPCとデスクトップPCと、両方SSDを2TB入れているので、クラウドも入れて3箇所で保管されている。

OSとかプログラムとか、売ってる音楽とか映画とかはどうでもいい。
これらは買ったコンテンツはそれぞれの会社で保管してくれている。
これをオフラインに落とすほどの余裕はさすがにない。

PCがクラッシュしたらSSDをまっさらに消去し、OSをクリーンインストールし、ソフトもクリーンインストールする。
OSがクラッシュしたということは、クラッシュする前の期間、何らかの病んだ状態がパソコンにあったということで、病んだ状態を復元してもしょうがない。
どこがどう病んでいたかを突き止めるのは、ぼくみたいなニワカには難しいからだ。
で、データはクラウドにあるから、シンクすればOKだ。

クラウドとローカルで大量のコンテンツデータをシンクするには、ストレージが高速であることが必要だ。
そこで大容量SSDが効いてくる。
クラッシュしたPCにデータを復元するのは、さすがに長期間掛かるから、夜初めて朝まで放置する。
シンク作業には多大なCPUパワーを使うので、これと作業を並行するのはあまり得策ではない。

しかし、通常作業をやっていても、作業中のデータをクラウドとシンクするために、常に常駐ソフトが動いている。
だからストレージを大容量SSDにする必要があるわけだ。

SLC、MLC、TLC、QLC

ずいぶん熱く語ってしまったが、ここからはSSDの種類について述べる。

まず、素子がSLC(Single Level Cell)、MLC(Multiple Level Cell)、TLC(Triple Level Cell)、QLC(Quadrable Level Cell)の4つに分かれる。
それぞれセルが、1つのビット、2つのビット、3つのビット、4つのビットを保持するという違いがある。

最初のSSDはSLCだけで、だからそのとき、自分のことをわざわざSLCとは呼んでいなかった。
セルはシングルビットが当たり前だったのである。
このときのSSDは高値の花だった。

そのうちMLCが出て、1つのセルが2ビット、つまり00、01、10、11の4つの状態を保持できるようになった。
同じ面積のLSIで格納できる情報が2倍になったので、小型化し、安価になった。
ぼくが初めて買ったのは64GBのMLCである。
ちなみに、2ビットしか保持できないのだからDLC(Double Level Cell)が正しい呼び名だと思われる。
MLC開発当初には、これ以上の技術が出るなんて思っていなかったのだろう。

そのうちTLCが出て、1セル3ビット、000、001、010、011、100、101、110、111の8つの状態を保持できるようになった。
ぼくがHDDを廃止して、TLCにC:\ドライブをボカーン、と置く運用になったのはTLCからだった。
TLCなんか使うものじゃないという恐怖デマがあった。
TLCなんて遅くて、すぐ壊れるし、使えたもんじゃない。
安物買いの銭失いだ。
いまにTLCによる大量データ喪失時代が始まる。
MLCは淘汰されるから、今のうち買いだめしておいた方が良い。
そういう恐怖デマを、名のあるPCショップの店主が堂々と書いていたのである。
しかし結果は、TLCで全然問題がない。
SSDが原因で故障になったことは、1回初期不良を掴まされた以外、ないのである。
パソコン界には(どの世界にもだが)こういう恐怖デマを撒き散らす人がいるから注意が必要だ。

いまはQLCが出始めだ。
最初は中華ブランドの激安品が出ていて、人柱体質の人が買っていたが、めっきり見なくなった。
まだ信頼性に問題があるようだ。
Intelのこの製品が気を吐いている。

QLCは素子が集積されているので(?)速度が出るという話だ。
でも、技術的にまだ速度が出ないとか、耐久性に不安があるという意見も多い。
気になるのは、まだそれほど劇的に安くないということだ。
ぼくが買ったADARAのTLCより千円ぐらいしか安くない。
だから、まだ積極的にQLCを買う気にはならない。
TLCの遅さを体感したこともないし、人柱でベンチを計測する暇もないからだ。

SATAとM.2

SSDというと、クレジットカードを分厚くしたような筐体を思い浮かべる。

これは2.5インチSATA接続というものだ。
ぼくもノートパソコンではこれを使っている。

デスクトップパソコンで使うには、データ信号と電力をケーブルで接続する必要があり、これが面倒だ。
ショップブランドのPCを最低仕様で買ってくると、たいていHDDがついているから、そのSATAを抜いて、SSDに挿すと手間なしだ。
HDDはもとの状態に復元できるように挿しっぱなしにする。
SSDはちゃんとした人はケース内のドライブベイにネジで固定するが、SSDだからメカ部もないし、デスクトップなら持ち運びもしないので、ケース内に転がせておいても大丈夫だ。
それにしても、ケーブルを回すのが面倒である。

いまはマザーボードにM.2端子というのがある。
これに突っ込んでネジ止めすれば、データも電力も供給される。
超ラクチン!
これも自作したらやりたかったことだ。

SATAとNVMe

M.2は接続方式だが、信号の方式にはNVMeというのもある。
詳しく知らないが、SATAより新しく、当然すごく速いらしい。
SSDにも、マザーボードのM.2スロットにも、接続端子がM.2であっても信号伝送はSATAというのがあるから、ちゃんとNVMeか確認する必要がある。

ぼくが買ったやつ

ということで、これを買った。

2TB、M.2、NVMeのSSDなんて、5万円とか6万円とかするのかと思っていた。
じっさい、それぐらいの製品が多い。
しかし、なんと3万円台の製品も出ている。
ADATAという、そこそこ有名なメーカーの製品だ。

ホントカヨー。
なんかまだ、騙されてる気もする。
こわごわ買ってみた。

ちなみに表面にヒートシンク風のものがついていて、チューインガムみたいな熱伝導シートがあるので、それを介して貼った。
こんなの、ヨシダヨシオさんの動画を見てなければ、何がなにか分からなかったと思う。
ちなみに、吉田さんは普段遣いでヒートシンクによる性能を体感することはまずないという説だ。

総評

3万円のM.2、NVMeのSSD。
結果から言うと、大満足である。
Dropboxのシンクなんか、i5のThinkPadでSATA接続のSSDだと、20時間近く掛かっているが、8時間以内で終わった気がする。
(フワッフワしたデータでスミマセン)
PCを組み立てる動画を、iPhoneやiPadに収めていたのだが、アッという間に転送できた。
まあこれも、CPUやメモリもおごっているからだと思うけど、これまでいかにセコセコ安いパソコンで無駄な時間を過ごしていたか、思い知らされた。
まあ耐久性なんかは分からないが、大事なデータはクラウドやノートパソコンに二重化しているし、もう10日ほどになるけど何の不具合もない。
いい買い物したな!

(この項おわり)

会社員兼業ライターの深沢千尋です。いろいろ綴っていきますのでよろしくです。FaceBook、Twitterもやってますのでからんでください。 https://www.amazon.co.jp/l/B005CI82FA