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【ハワイ】 嘘のような本当の話 〈原体験〉

かなり前の話ですが、この体験があったから、今の僕があるという話です。

僕が22歳のころ、1人で世界一周をしたことがありました。
旅の後半にハワイに寄って帰るとき、単純にお金がないのでドミトリー(相部屋)に泊まりました。

ハワイはサーファーが多いので、若いイケメンサーファーもいっぱいいましたが、その時に僕が一番仲良くなったのは、中年のおじさん(白人)でした。僕が2段ベットの上で、おじさんが僕の下でした。

毎日お互いに「今日は、どこに行って、どうだったよ。」って話をしてました。
そのおじさんは、アメリカ人中年らしく小太り。そして、あまり見た目は気にしないのか、かなり長いこと使っている古びたバックパックを使っていて、服もヨレヨレのタンクトップと半ズボン。僕と同様にお金を節約するためにドミトリーに泊まっている様子でした。

そんなおじさんは底抜けに優しくて、いつも笑顔

ある夜、寝相の悪い僕はなんと、2段ベットの上から落ちてしまい、おじさんのバックパックの上に落下。「バックパックの中の何かを壊していたらヤバイ!」と焦る僕とは裏腹に、やたらと僕の体のことを心配していたのを覚えています。
僕の落下により、夜中に突然起こされて、自分の荷物が下敷きになったのに。
本当に優しい。
幸いバッグパックの中身は衣類のようでした。


そんな日が続いたあと、別れは突然にやってきました。
ある日の午前中「ちょっと郵便局へ行ってくるよ」「これ僕の名刺だから」となぜか名刺を渡されました。
しかし、そのおじさんは、そのままいなくなり、チェックアウトしていたようでした。

その名刺をあまり気にしてなかったのですが、しばらくして、ちゃんと見てみると名前の上に「MIT professor」と書いてあります。

「MIT professor」?

????

えっ?ええー!!!!

あの小汚い格好の(失礼な)おじさんが、マサチューセッツ工科大学の教授!!!!

一切偉ぶってなかったし、それっぽい話何もなかったじゃん!
なんかカッケー、カッコ良すぎる!

嘘のような本当の話です。


それから何年もかかって分かりました。

貧乏旅行は、お金をかけずに旅をする「遊び」なのだと。

きっとおじさんは、お金も権威も人脈もめちゃくちゃあるのに、貧乏旅行を楽しんでいるんだと。

その原体験があって、僕も貧乏旅行を楽しんでいます。

必死になって安いフライトチケットを探したり、タクシーや物を値切ったり、現地の人を同じ安い交通機関を使ったり。

置かれている状況から頭をフル回転させて、より安い方法とそのメリット、デメリットを考えて判断。時には、不便さからトラブルになって、必死になってそれに対応、解決したり。
そして、その過程での現地の方々と様々な交流、体験、リスペクト
楽しくて仕方ない。

最高です!

あの時に名刺を渡してくれて、こういう「遊び」を教えてくれたあのおじさんに今でも感謝しています。
ありがとうございました。



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