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アドベント交換日記2018

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#エッセイ

たったひとつの冴えたやりかた

たったひとつの冴えたやりかた

 前回はわたしの「もてたくない」という相談にラブフェアリー様が答えてくれました。お返しと言ってはなんだけど、今回はわたしなりの「もてない」ための方法を書いてみようかなと思います。
 「もて」から、というか、様々な加害や侵犯から身を守るための方法としてわたしが知っているのは、ただひとつ「したいことしかしない」ことです。「したいことしかしたくないと知っておく」と言い換えてもいいかもしれません。
 断っ

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小説みたいに生きたくない

小説みたいに生きたくない

 斉藤です。今日は小説の話を書く。

 『先週の記事で、斉藤さんは「私は人生に物語を欲していないのかもしれない」と言っていました。
 でも斉藤さんは、小説をよく読みますよね。ドストエフスキーとかブロンテとかヘッセとか。ドストエフスキーなんかはすごく「物語」があると思うけど、斉藤さんはそうした物語をどう読んでいますか?』

 まず、人生に物語を求めることと、小説に物語を求めることは全く別の問題だ。

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なぜ私は人間のフリをするのか

なぜ私は人間のフリをするのか

 鳥居です。みなさん、人間のフリできてますか?

 人間のフリとくい?

 どうして我々(読者を人間と想定しています)は生きてるだけで十分人間なのに、私は人間のフリをするなんて言いかたをするんでしょう?

 なぜって、生きてるだけじゃあんまり人間じゃないからなんですね。ヒトって。

 これは自分用の理論でどっかで聞いたり見たりしたことのパッチワークなので、あんまり真に受けないでほしいんだけどさ。

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社会は間違ってるし反出生主義者なんだけど

社会は間違ってるし反出生主義者なんだけど

 山城周です。これが私の書く最後のアドベント記事だと思うと、寂しい……。

 と、書いてみて、会話の中で私が「いやだって寂しさがさ、」などと発言すると斉藤さんが「あ、感情の話ですか?じゃあ分かんねえや」って返してくることを思い出して笑う。
 思い出し笑いができるような現在が私にはとても幸せだ。この話はあとで繋がります。

 前回の鳥居の記事を読むまでビオスとゾーエーって概念自体知らなかったんですけ

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クリスマスだから仏教の話をしよう。

クリスマスだから仏教の話をしよう。

 前回前々回はラブフェアリーと二人で楽しくやりましたが、ラブフェアリーはまた愛を求めて旅立ちましたので、今回は吉田一人でやります。でもラブフェアリーは愛のあるところにはどこにでもいる。だからみんなのそばにもいるラブよ。

山城さんからの質問はこちら。

吉田さんは生殖のことどうしますか?こないだ会ったときに色々話したけど、やっぱ生殖やめたほうがいい派?

 生殖ね。わたしは「仏陀の言うこと、マジだ

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見ること、書くこと、その自由

見ること、書くこと、その自由

 私は志賀直哉が好きだ。
 
 本を読むときに勝手に強化月間を設けることがある。昨年の夏は白樺派強化月間だった。武者小路、有島、里見らの作品を読み進む中で、気に入ったのが志賀だ。本当に面白いと思う。何がそんなに面白いのか、今回の記事で少しでも伝われば嬉しい。

 まずは作品から引用する。

『Kさんは勢よく燃え残りの薪を湖水へ遠く抛った。薪は赤い火の粉を散らしながら飛んでいった。それが、水に映って

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クソみたいな世界で反出生主義者にならなかった人のする話

クソみたいな世界で反出生主義者にならなかった人のする話

 鳥居です、前回の斉藤から自由をバトンとして受け取りました。

 自由だ!

 アドベントカレンダーの交換書簡はこれで最後です。そして最後にあんまりいい話をしても仕方ない(寂しくなっちゃうでしょう?)ので、今回は軽い話をします。

 嘘です。

 軽い話しません、なぜなら反出生主義(以下、アンチナタリズムと書きます)がどうしても気に食わないから。
 というのも前々々々回と前々々回の書簡で、山城さん

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