怪獣歌会

主に短歌や文学やジェンダーについて考えている創作団体です。

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    Quaijiu Vol.1 案内

     文学はしかし社会の奴隷として、虐げられたものを虐げ、搾取されたものを搾取し、殺されゆくものの背を崖に向かって押すことができる。  文学はしかしまつろわぬ民のアジールとして、体制の破壊者として、楽園からの途絶えがちな音信として、在ることもできる。  斃れゆく怪獣たちに花を。歩きつづける怪獣たちに乾杯を。 怪獣歌会宣言 川野芽生 --  怪獣歌会のネットプリント Quaijiu Vol.1は、2017年1月に公開され、160枚ほど印刷されました。  今回は1ヶ月ほどか

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      • 中立はすでに(フェミニストの訂正)

          山城周です。  短歌ムック『ねむらない樹vol.4』を読んだ。特集2「短歌とジェンダー」の座談会は面白かった。面白かったが、訂正を加えたい箇所がある。  川野芽生、黒瀬珂瀾、山階基、佐藤弓生による座談会では各自が①ジェンダー問題について考えさせられる歌、②ジェンダー問題に触れていると思われる自作、を選んでいる。川野は①に私の歌を引用している。98ページ。 (君は君の恨みを晴らしたいだけに僕は中立だけど見えるよ) 山城周「象使いの資格」(『外大短歌』第9号)  引用歌

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        • 壁新聞を作ろう

           斉藤です。  壁新聞について書こうと思う。 1.  壁新聞を出そうと考えたのは、秋の終わりだった。すぐに専用のノートを作って、思いついたことをメモすることにした。見返しにはかわいい猫のシールを貼った。  ノートの中に「なぜ壁新聞を作るのか?」と題したページがある。「面白そうだから」「文章の練習がしたいから」「新しく買った万年筆をいっぱい使いたいから」など、当時の私が考えた理由が並べられている。「怪獣歌会でフリーペーパーを出せたのが嬉しかったから」というのもあった。リスト

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          • 信頼を返すこと

            人に信頼されるのが苦手だった。信頼を寄せてもらうことは多かったけれど、過分な贈り物をもらったようで怖かった。 人は他者を信じるより、各々自分を信じるべきだとつねづね思っていた。 今年、人の背中を押したり、現状から引っ張り出したりする仕事を何度かした。 そういう干渉の仕方は暴力になりやすいので普段はなるべく避けていたのだけど、それが相手にとって必要で、私ならできるし、他の人ではできないと思うことがあったので、思い切ってしたのだった。 勇気を出してみて分かったのは、信頼はもら

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          • Quaijiu Vol.1
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          • アドベント交換日記2018
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            精神分析に行ったら脳の挙動が安定した

            怪獣歌会の2019年は、週1更新で12月を守る企画が走ります。 毎日更新は面白かった(去年のまとめ参照)けど、大変だった。それでも何かをやりたかったんだよね。  一人大体1記事ぐらいにはなりますが、ぜひお付き合いください。RTとかいっぱい押してほしい。 こんにちは、企画トップバッターのとりいです。 今年は仮テーマで2019年に得た知見の話をしようということになってます。 みんな精神分析って受けたことありますか。 カウチに座って分析医の前で自由に思い浮かんだことを話すアレで

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            Quaijiu Vol.2

            2017年11月23日の東京文フリにて頒布した、Quaijiu vol.2を公開いたします。 ──内容── 特集 2017年短歌研究新人賞受賞作「無垢な日本で」を読む座談会 怪獣歌会宣言 鳥居萌 短歌連作 灼くべき羅馬 川野芽生 山羊 山城周 祈りとは 山城周(2016年歌壇賞応募作) 愚かものたち 山城周(2017年歌壇賞応募作) 212連作 白犬 鳥居萌 Vol.1の内容はnoteで読めます

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            【歌会録】He rules the world. わたしが生き延びるために彼を殺さなければならない

            He rules the world. わたしが生き延びるために彼を殺さなければならない 山城 この歌も、つらい(笑)この〈He〉っていうのは、抵抗すべき総体としてのheだと思って。現代社会の政治に引きつけて読むとしたらドナルド・トランプになってしまうかもしれないけど、別にトランプじゃなくてもよくて、この世に「トランプ」はいっぱいいるわけじゃないですか。だから、この歌に関しては特に言うことがないというか、全部言っている。そうだよね、殺さなければならないよね、という気持ちにな

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            【歌会録】20人のレスビアン来て従順になるなと次々りんごをくれる

             1970, lavender menace 20人のレスビアン来て従順になるなと次々りんごをくれる 川野 lavender menaceって何ですか? 山城 かつてアメリカのフェミニスト団体NOW(National Organization of Women)の内部で、レスビアンは「男性と同一化する女性」だから「フェミニズム運動を撹乱する存在」である、という批判が出たんです。NOWの創立者の一人で、当時の議長だったベティ・フリーダンはレスビアンのことをlavender

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            【歌会録】強ひられて嫁したるごとし 女〈をみな〉としてこの世へいたる閾〈しきみ〉越えにし

            強ひられて嫁したるごとし 女〈をみな〉としてこの世へいたる閾〈しきみ〉越えにし ※〈〉内はルビ 斉藤 えっ、つらい……。ちょっと待って……。えー、つらい。ちょっと待って、つらいよー(一同笑)えーと、まず、〈強ひられて嫁〉すことはつらい、じゃないですか。だから〈女としてこの世へいたる閾〉を越えたこともそれと同じようにつらい、ってことが分かるんですけど……。つらい、よねー。 山城 つらい、分かるしか言うことない感じになってますね(笑)もうちょっとあるでしょ何か。 斉藤 えーとま

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            【歌会録】魂はちいさき鳥の形して雌雄をわける鑑別師の魂

            魂はちいさき鳥の形して雌雄をわける鑑別師の魂 鳥居 魂は小さい鳥、ひよこみたいな形をしていて、その魂の雌雄を分ける鑑別師という存在があるんですよ。魂にまで雌雄を分けるっていう傲慢な存在。でも多分その鑑別師の魂も鳥の、ひよこの形をしているんだろうなっていうのが面白いと思って取りました。 川野 はじめこの魂は死後の魂のことかと思ったんですけど、生前の方が面白いかなって。体の中に魂があってそれは鳥の形をしている。それでひよこ雌雄鑑別師みたいな人が、お前は男でお前は女って鑑別してい

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            俳句連作 雪 (斉藤志歩)

            スコップに凭れて雪の多きを言ふ 水洟の引つこんでまた出てきたる 行列に襟巻の房もてあそぶ 冬の日や吹き寄せらるる鉋屑 寒鴉こころもとなく歩みゆく 桂馬失せ炬燵の下に見つからず セーターにあやしき柄のありにけり 斉藤志歩 寒さに強い。 この連作は2017年1月に公開されたネットプリントQuaijiu Vol.1の再録です。

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            京都造形芸術大学セクハラ告発は芸術をわかっていない女性の「空気の読めない屁理屈」なのか?

             2019年2月27日、このようなニュースがツイッターのタイムラインを駆け抜けた。 「会田誠さんらの講義で苦痛受けた」女性受講生が「セクハラ」で京都造形大を提訴 “京都造形芸術大の東京キャンパスで公開講座を受けたところ、ゲスト講師から環境型セクハラにあって、精神的苦痛を受けたとして、受講していた女性が、大学を運営する学校法人「瓜生山学園」を相手取り、慰謝料など計約333万円の支払いをもとめる訴訟を東京地裁に起こした。提訴は2月22日付。”  ツイッターでは、「ヌードを通

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            怪獣歌会アドベントカレンダー案内【2018年版】

             2018年12月1日、鳥居が突然言い出した。 「明日から25日まで毎日note更新しない?」  やるやる、と山城、吉田、川野、斉藤が気軽に手を挙げて、見切り発車のアドベントカレンダー企画が始まった。  これが愛と自己と世界と物語と神と生命についての怪獣大論争になるとも知らずに……。  初っ端から人間観が対立し、最後までクリスマスそっちのけで反出生主義について激論を交わす怪獣たちとともに、あなたもジェットコースターに乗ってみませんか。  (とはいえどこからでも読めるので

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            短歌7首連作 ヘレネ、手をつないでいて。 (川野芽生)

            白鳥は軍船なれば集ひ来て啄めり岸にひらける傷を 天の堰をあふれて雪は降るものをつね犠牲〈いけにへ〉のイーピゲネイア 強ひられて嫁したるごとし女〈をみな〉としてこの世へいたる閾〈しきみ〉越えにし 詩はあなたを花にたぐへて摘みにくる 野を這ふはくらき落陽の指 なべての詩を遁れあなたを庇ひたきをヘレネ、われさへもパリスの臣か カサンドラの詞〈ことば〉さみしゑ凍月のひかりは地〈つち〉へ落ちつづけたり 月の頬うつくしからぬ岸にゐてをとめらよもろともに老いなむ ※〈〉内

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            短歌7首連作 喩〈ゆ〉ではない(山城周)

            魂のようにレモンは腐りゆき切り落とすとき片刃が光る 窓ガラス殴られがつがつがつと沸き騰がる。穴だらけとは身体とは家 Do the right thing 地上に土あればわたしだけの生まれる難民 普通って百億回言って Pepper の自我[要出典]を破壊 鑑別師の硬き指腹を丘として丘まで歩く何本の脚 忘れられてきた傘たちが好き好きに開き沈んでいった谷間 魂もきょう楽しげに回っているスカートの中の極微の軌道 ※〈〉内はルビ 山城周 殺意を口にしがちです。

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            短歌7首連作 酸化街(鳥居萌)

            八時間/日〈フルタイム〉で寿命を売る契約をした 人間〈ひと〉をやるにはこうする他なく 小雨でも傘さしていく職場には濡れてる人はいらないという 同僚を残して帰るときわれも悪魔のひとりであるかもしれず バカにされても気づかないふりをしろ自我を土曜で支え続けろ 見上げると星は針穴 外側はきっとなんにもなくてまぶしい 猛毒の酸素を吸ってはいと言うシーラカンスが出ていった海 この先で傘は必要なくなってただのひとりで夕焼けを見る ※〈〉内はルビ 鳥居萌  2017年は

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